山と僕とカメラ

山と僕とカメラ

登山初心者のバタバタ日記

霧氷バスで行く三峰山

三峰山、といえば霧氷バス

「霧氷バス」、関西では有名な(のかどうかはわからないが)奈良交通がこの時期だけ運行させる登山バスがある。

https://www.narakotsu.co.jp/rosen/rinji/index-muhyou.html

今年もその時期が来たので早速霧氷バスにのって霧氷を見に行くことにした。

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このバスで行ける山は、三峰山、高見山、和佐又山、観音峯、と意外とたくさんある。その中で、一番霧氷がついていそうな三峰山に向かうことにした。

 朝、近鉄本町駅から榛原駅に向かう。上本町駅は複雑な構造で、2階建てのホームになっていて、上のホームから出発する電車に乗る。

この上本町駅、始発駅のホーム形状で情緒がある。阪急梅田駅しかり、こういった形は「旅立ち」をうまく演出している。

上本町ホームの近辺にはコンビニがあるので、ここで朝ごはん等を仕入れる。

電車に乗り、しばらく寝る。すると榛原駅についた。

実際は1時間かかる。しっかり寝たということか。

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【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その8

走った。

相方をとりあえず無視して走った。私が間に合えば、土下座してでも待ってもらえばよい。

 美濃戸口に着いた。バスはまだ発車していないが、今にも動きそうだ。

もうバスには満員の乗客。

 はたして、私達の運命はいかに。。

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 前回

 

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私達は、手を振りながら走った。なにか叫んでいたかもしれない。林から叫びながら走ってくる登山客を見たら、それはもう、熊が出た以外ない。後でそっと恥ずかしくなった。

 

間に合った。。

 

バスのドアに駆け込んで、謎の笑顔を振りまいた。

すぐさまバスは発車した。

よかった。

 

よしよし、これで楽天の予約をキャンセルできるし、夕方のバスも購入できる。

と、思っていたのだが、ここでまた新たな壁が。

バスの中なので、キャンセルの電話ができない。

もどかしい、到着まで待たないといけない。ということは、残り2つの空席がこの1時間で埋まるかもしれない。それはとても悲しい。

ここからの1時間はとても長かった。トイレに行きたいときの新快速車内ぐらい長かった。

相方とは少し離れた場所に立っていたので、状況と役割分担をLINEでやり取りした。

私のほうが後部にいたので、相方が下車後、ダッシュで窓口まで行く段取りとなった。

その後、手配完了の後、落ち着いて楽天をキャンセルすれば良い。

刻々と時は過ぎていく。

後少しで着く。

読者の皆様は、西宮神社の福男の気持ちになってほしい。今、あの状態だ。

さあ、バスが着いた。しかし、最前線ではないので順に相方はソロリソロリと降りていく。そして、バスから出た途端、境内にいや、販売所に向けて走っていった。

私も、ゆっくり降りた。

 

相方が帰ってきた。

判決がおり「無罪」の紙を持ったような並の満々たる笑みで帰ってきたのだ。

私達は勝った。何にだろう。自分たちに。

あらためて、楽天のキャンセルをし、無事1時間後のバスで帰れることとなった。

売店でビールを買い、祝福しあう。

ココ最近、ほんとに帰りは走ってばっかりだ。いつか痛い目に合いそうだが、今回でなくて良かった。

相方の話によると、福男状態で受付でチケットを買った後、隣に違う福男さんが来て、同じチケットを求めていたが、売り切れたということで、うなだれていたというのだ。

なにか、社会の縮図のようなものを垣間見た。誰かが得するということは、誰かが損するということだ。

心してバスに乗らせていただこう。

 

今回、初めて八ヶ岳に行ったのだが、人気のエリアというのがよくわかった。

アクセスはすこぶる良く、車ならばかなり近くまでスタートを稼げる。ただし、車高の高い車でないと入れないだろう。ステップワゴン等は途中で諦めの駐車をしていた。

赤岳鉱泉は年中営業しており、周りに様々な山が迫っていて風もなくいい場所だ。その山々、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳へのアクセスがこれまた非常に良い。

毎回違ったいろんなルートで楽しめそうだ。そして登頂すれば隣り合った山の迫力ある姿が見られる。富士山も大きく見れる。すばらしい。

そして、そう、ステーキも食べれる。

 

今季、再度行けるかどうかは未定だ。今度は雪のない八ヶ岳に出会うことになるかもしれない。それも楽しみである。

 

16時のバスが来た。

私達は、天気に恵まれ、怪我もなく、道迷いもなく、無事に帰れたことに感謝しながら、大阪へと帰っていった。 

                                   おしまい

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 参考資料

アルピコ交通 大阪ー茅野

https://www.alpico.co.jp/access/express/suwa_osaka/

 

アルピコ交通 茅野ー美濃戸口

http://www.yatsu-akadake.com/1211bus.html

 

赤岳鉱泉


 

 

 

【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その7

赤岳鉱泉からの下り道、これまでの赤岳の登山道とは明らかに違い、なだらかな道となるので「エンディング感」がある。この道をスタスタと短時間で行き来することがそこからの本当の登山までの時間を有意義に使えるのだろう。がしかし、木の根と石が見え隠れする道は足を引っ掛けやすいので慎重にならざるを得ない。このくだりで怪我をする人は多いだろう。そういえばバス停からスタートした直ぐの場所で降ってきた人、彼にとってはゴール間近だが、すってころりんとコケていた。

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一度きた道は、一度しか来てない道、勘違いも多い。あの先を曲がったら確か橋があって、とか思ってたら、全然まだまだ先だった。といった現象だ。これは登りの時に、何にも考えず、タラタラと無の境地で歩いていたからその記憶が、海馬からスパッと抜けてしまっているのだ。

そういうことを繰り返し、私たちはヨチヨチとチェックポイントの橋に着いた。

 

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しばし休憩する。ここからはアイゼンは不必要はずす。

そう、今回から私のアイゼン、ペツルのリンクスのフロントにグリベルの「クランプオーマチック ベイルハンガー SP」を取り付けた。ペツル純正のハンガーはもう発売されておらず、ワンタッチの安全面の保険とでも言うと正しいだろうか、ベイルハンガーがほしかったところ、このグリベルのベイルハンガーがピッタリと装着できた。SCARPA モンブランPROにあうサイズはSP、ただし、自己責任で。

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www.kamoshikasports.com

さて、ここからは、チェーンスパイクが欲しい。雪はあまりないものの、路面が凍っている箇所が多いのだ。無い物ねだりをしても仕方がないので、注意して降りる。なるべく土手沿いを歩いて、滑らないようにするも、我々は何回かフィギュアスケート並みのスピンをしてしまった。それはもう、走馬灯のオンパレードで、何度心の中で「あっかーーん!」と叫んだであろうか。なーむー。

 

さて今回、前回とGopro7というカメラを付けて歩いているのだが、このGopro7、やたらバッテリーの消費が激しい。1時間もたないし、氷点下では数秒も持たない。シビアな状況でのバッテリー交換はままならず、美味しいところで映像が切れることが多かった。 後日、いろいろ調べると、いや皆さまはご存知とは思うが、簡単に解決できた。

本体の横に蓋があり、その中にUSBの差込口がある。蓋は簡単に外せるので、スマートにUSBのケーブルを刺すことができる。そしてそのケーブルでモバイルバッテリーから電源を供給できる。本体付属の10倍ほどの容量を確保できるので、一日充分回すことができる。次回からその方法で撮影できるようになった。この場合、隣のHDMIのコネクターは専用のキャップで閉じておくと良い。カメラでパシャパシャ撮影しながら登るというのは、実は危険な行為なので、この撮りっぱなしの映像を後でキャプチャーすればある程度の記録写真として使用できる。

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しんどい時の、写真はたいていない事が多いのだ。

 

さて、登山道は次第に「道路」という状況になる。轍には氷がびっしり付いているので相変わらず危険だ。慎重に。

 

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そうして、次第におだやかな林道に戻ってきた。

 

なにか忘れてないか。。。

 

ああ

そうだ、本日、夕方発のバスで帰れるかもしれないということだ。電波が通じなかったので、その連絡は今の今までできなかった。もし、16時台の茅野発のバスに間に合えば、夜には大阪に帰れるので、次の日の仕事まで充分に寝れる。これが深夜バスになると、朝についてしまうので、できれば16時台のバスに乗りたい。

運良く、電波は圏内になっていた。センターに電話をすると、「あと2席空いてます」とのこと。急いでその便に振り替えてもらう。

がしかし、ここでトラブル。私は楽天トラベルを通してバスを手配していたので、バス会社の直接の変更ができなかったのだ。

まず、楽天をキャンセルし、その上で改めて直接バス会社からチケットを手配しなければならなかった。当日便の楽天、ならびにバス会社のネットでの購入はできない。すべてがアナログ。私達は今歩いている。これは極めてややこしい。

そして、さらなる懸案事項勃発。

茅野までのバス、16時の高速バスに間に合う最終の路線バスがなんと14時台の美濃戸口発だった。15時台があると思いこんでいていた、それがなかったのだ。 現時点で、ペースは15時にバス停に着くかどうか。間に合わなかもしれない。これでは、16時のバスを手配して、深夜バスをキャンセルした場合、もし、14時の路線バスに乗れなかったら、大阪に帰る手段がなくなる。 一旦バスの変更は「14時のバスに間に合うまで保留」

まずは、とにかく14時の路線バスに間に合うように、急いで下山することにした。今までの呑気な下山行為が、物悲しい。いや、難所を焦って降りていては、怪我の元だったから、知らぬが仏ということか。

最近、毎回帰りに急いで歩いている。これもさだめなのか、ナウシカのババ様が脳裏をよぎる。

とにかく急ぐ、急ぎ慣れさえしている私達は、同意し合うこともなく、スピードを上げることに否定はない。

ここでまた例の、「ここを曲がったらゴール、、、じゃないんかい!!!」現象が多発する。

バスの出発予定時刻に近づいてきた。だがまだ、私達はつかない。

とにかく、歩みを止めることなく急いだ。間に合わなかったら呑気に待てば良い、ただひたすらに、今は急いだ。

 

予定時刻と同時に、バス停に停まっているバスが遠くに見えた。

どうだ、間に合うか。。。。間に合わないかもしれない。

 

走った。

相方をとりあえず無視して走った。私が間に合えば、土下座してでも待ってもらえばよい。

 

美濃戸口に着いた。バスはまだ発車していないが、今にも動きそうだ。

もうバスには満員の乗客。

 

はたして、私達の運命はいかに。。

 

続く

 

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【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その6

目の前には阿弥陀岳がそびえている。当初の予定ではこの阿弥陀岳の手前の中岳までならば行けるかもしれないと思っていたのだが、どうしても時間的に間に合わなさそうなので、諦めた。初めての山でも、事前に地図を見ながら予定時間を計算しておくと、当日の実際のチェックポイントまでの時間と照らし合わせて掛け算すれば全体の当日のトータルの時刻、下山時刻まで再計算できる。だが、地図によく書かれているタイムは夏道での参考時間なので雪山の場合はあまり参考にならない。

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前回

 

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冬は、時間がかかる事もあるが、直登できる箇所もあるので、意外と夏道よりも速かったりする事もある。速ければ無理せず急がずに、チェックポイントにて当初の時刻まで休憩すれば良い。ただし、天気が不安定で、今ここでホワイトアウトした場合危険度が増す、という時は問答無用で体に鞭打ってでもその場を離れた方がいい、と思う。そんな経験はまだ無いが。

あと、日照時間、夏に比べ冬は短い。夏は13時間程度、それに比べて、冬は明るい時間は9時間程度、夏の2/3しか冬は動ける時間がない。そのため、スタートは日の出前から始められる環境を用意しておく必要がある。というわけで今回もステキな食堂での朝食を諦めてのスタートとなった。あとで時間が余ったらそれはそれで良いのだ。「早起きは三文の得」。今も私は仕事現場前の喫茶店で早く来すぎた時間を潰しにこのブログを書いている。こういうのを「メタ」と言うのだろうか?いやフィクションの小説ではないから、メタではないのか。わからない。

 

阿弥陀岳にそっと手を合わせる。これも今回の大切な目的の一つだった。今、無事そうする事が無事できた事に感謝しつつ、しばし目を瞑る。

ここ赤岳は、ガイドさんらしき人とペア、もしくは複数で登山している人が結構多い。とても多い。こういう人達から学ぶことは自分の経験から得られるものよりも、果てしなく多いはずなので一度、お願いしたい。

さて、下山である。ここからは来た道とは違い、文三郎尾根を下りて行者小屋までもどる。

稜線をてくてく歩かない分、急な下りになる。

スタートいきなり崖っぷちで相方がビビる。

私が二股になっている険しい方を選んだばかりに。何かしら大きな声で叫んでいる。それにビビる。しばらく不機嫌と岩場が続く。しばらく降りるとややマイルドな下りになる。赤岳に行くために、ここを行きで使う人、目の前にチラホラ登っている人がいるが、なかなかのM気質な人だろう。

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そうこうしているうち見晴らしのいい広い場所についた。振り返ると、やはり急だった事がわかる。向かいには阿弥陀岳の山容が綺麗に見えている。ここでしばし休憩。そういえば、持ってこようと思って何度も忘れていた日本酒を今回は持ってきていた事を今の今まで忘れていた。それは写真を撮る目的で持ってきた。ちょうどいいのでここで撮影する。

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本日は本当に天気がいい。風がまったくなく、快晴。こんな日は珍しいのだろう。初めて来てこの天気は、次はこれと同じか、これよりは悪い天気だ。確率でいうと圧倒的に後者になる可能性が高い。

365日ある一年間で週末の土日は50回、そのうち冬は12回となる。この12回が晴れる確率は恐ろしく低いだろう。しかも前回の木曽駒ケ岳の例もある、丸々一日晴れということは殆ど無かろう。だが冬山といえば、雪。天気がいい日ばかり続くと、山に雪は積もらない。難しいところだ。下山中、太陽が稜線を越えてきて、ぱっと明るくなってきた。雪面は日にあたっている部分は眩しく白く輝き、影は薄い青に染まっている。モネのかささぎやラヴァクールの絵のようだ。

斜度は次第に穏やかになり、樹林帯に入る。気温は相変わらず高く、まるで春山。 行者小屋についた。多くの登山者がいて、休憩している。私達も休憩と装備のやりかえを行う。ハーネスやスリングをしまい、レイヤリングを薄くする。時間も充分にある。

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身軽になったぶん、背中の荷物が少し重くなる。ジレンマだ。荷物は背中に背負うよりも、体にまとったほうが、体の芯に近いので軽く感じる。バケツをまっすぐ下に手を伸ばして持つのと、90度曲げて水平に持つのでは重さが違ってくるのと同じだ。

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行者小屋から樹林帯を通り、降りていく。やがて見慣れたステキ山荘、赤岳鉱泉につく。立ち寄る用事もないので、トイレだけすませて素通りする。時刻は12時、バスは16時くらいのに乗る予定、ここから3時間なので充分間に合う。

私達は、アイゼンは付けたまま、バス停に向けて登山道を降りた。

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 続く

 

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【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その5

真っ暗な山道を歩く。昨日、明るいうちに入り口付近だけは確認していたので、数ある登山口から迷わず赤岳方面に向かう道を確認できた。ホテルでの非常口を確認するようなものだが、それはあまりした事がない。夜明け前1時間という事もあり、次第に周囲の状況が見え始めた。「日没」これは皆、日々経験していると思うが、「日の出」はあまり意識した事がないかもしれない。日が地平線を越えて出るまで、あたりは真っ暗とお思いであろう。たしかに真っ暗な部屋にパッと明かりが灯るような印象が日の出にはある。現実は30分前くらいから次第に空は青く明るくなり、そして日の出を迎える。日の出の写真を見るとわかるが、だいたい空はすでに青い。

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というわけで、すっかり明るくなったのでヘッドライトを消し、登り続ける。雪はしっかりしまっており、流石の人気ルート、トレースがある。赤岳鉱泉は赤岳の西側に位置している。というわけでコースは天気が良くても頂上まではずっと影だ。そういう事情もあり、赤岳山頂で日の出を拝むのを一つの目的としてナイトトレッキングをしている人もいるはずである。きっと輝かしい光景が見えるだろう。

日陰には良いこともありる、身体が暑くならない、それくらいだが。

ああ、伊吹山のつらさよ。。。

 

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 前回

 

しばらくすると行者小屋に着いた。ここでも、宿泊を考えたがステーキに負けた。

ここからはすでに取りつき部分なので急な斜面が待ってるだけだ。

同じ100メートル上がるのにも「緩やかに長い斜面派」と「急な短い斜面派」がある。日頃からあるはずだ。私は後者。

ここからは尾根を上がっていく。急激に視界が広がっていくのはとても気持ちいい。

樹林帯を抜けようとするぐらいから目指す山頂が見えてきた。

ああ、あれが赤岳か、立派な山容だなあ。それにしても北斜面はなかなか手強そうだけど大丈夫だろうか。とビクビクしながらも前進した。

次第にあれは「阿弥陀岳」ということが、わかり、その奥に赤岳の山頂らしき可愛らしい突起がみえたので、安心した。

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いつのまにかすっかり朝、振り返ると中央アルプスがくっきりと見えた。振り返ると奴はいた。いや、ヤツは正面にいる。八ヶ岳だけに。

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今、シーンと静まり返っているだろう。

 

そう、そんな雰囲気に包まれた赤岳登山。そこにガシガシとアイゼンが凍った雪面に刺さる音だけが聞こえる。

 

樹林帯を終えると、そこから梯子が始まる。凍り付いているし、斜面が急になる。私たちはハーネスにロープをつけて1人づつ登った。梯子を登ると今度は鎖がある。これに頼るかどうかは別としてその鎖のルートを進んでいく。

 

早速降りてくる人がいた。聞いてみるとやはり日の出を見に登った人だ。凍った梯子を降りるのは少し危険だったので、私達は帰りはここではなく文三郎尾根というもう一つの登山道で降りる事にしていた。

事前にYOUTUBEでこの赤岳の、登山の動画を見ていた。魚眼レンズで撮られた「goproあるある」、にいい意味でまんまと騙された。映像ではどんだけ細い尾根筋なんだろうとビクビクしていたのが実際にはそうでもなかった。そういえば「第一印象が大事よ」と魔女のキキも黒猫に言っていた。

そんな第一印象超絶キレット、第二印象、安心登山の赤岳の斜面を順調に登りきると「ご苦労様」と語りかけてくれた地蔵様がそこにいた。

彼はまるで後光のような太陽を背に浴びこちらを見ていた。

何という美しさでしょう。その向こうには富士山があり、完璧な3Dウェルカムボードだ。

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この地蔵さまに感謝して手を合わさなかった人はいないのではなかろうか。

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私たちはとうとう稜線に立った。苦節1日、バスに揺られ、チェーンスパイクを渇望し、ステーキを満喫し、綺麗なトイレ、暖かい部屋で寝た苦労が一気に解放された。

何と清々しい、登山道だろうか。まるで人が作った、いや、登山道は人が作ったのだが、そうではなくこの場所に山荘があり、いや、山荘も人が作ったのだが、この場所に来て初めて見える風景、そうこれ、これは人のために、いや全ての頑張って登った鹿や猪や人のために神がつくりたもうたのだ。知らんけど。

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私たちは感動しながら赤岳に向かった。その途中に山荘がある。赤岳天望荘、本当に山小屋の多い山だ。素晴らしい。そこで少しばかり休憩をした。山荘にいたおそらく働いているであろう人が、もう1人の人に「1時間半で降りる」とか言っていた。え、どこまでだろう。もしかしたら超人なのかもしれない、が、恐ろしくて詳しくは聞かなかった。

すっかりほっこりしたところで、再度赤岳山頂を目指し出発した。

ここからは斜面をひたすら登るだけだ。細かくジグザグになった道を登っていく。あまり雪はついてなく夏道のようだ。日々、風もあるのだろう。木の生えてないない景色は距離感がわからない。遠くのようで実は近くだったりする。

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ここも山頂近くの人を見る限り、そんなに距離は無さそうだ。私は日々、距離感を日常に置き換えて考えている。そうすれば、遠くに見えていても、なんだが頑張れそうな気がする。

それの応用だが、垂直に立っているものは90度傾けて水平に考えると意外と高くないことが分かる。高くないと言うと語弊があるが、垂直の100メートル、水平の100メートル、同じ100メートルと考えると大したことない。必要なエネルギー量は雲泥の差というのは置いておこう。

と、言ってるあいだにいつものことだが、山頂に着きかけた。そこにさらに山荘があった。なんだこの山は、すごいな。営業はしていなかった。

そこから少しばかり歩いたところに頂上の神社などがあり、人が混み合っていた。

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私たちも山頂に向かって歩いた。

無事、今回の目的地、赤岳頂上にたどり着いた。ほんとに混み合っており、あまりゆっくりはできそうにないし、ゆっくりできる場所もない。狭いのだ。落ち着ける場所を見つけて少しだけ休憩する。

あとは降りるだけだ。復路というのは、少しだけ寂しい。だが、待っているのはビールだ。頑張ろう。

 

あれが富士山です。

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続く

 

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【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その4

お腹いっぱいご満悦。食堂中がご満悦。でも、次の組の時間もあるので、あまり長くはいられない。そそくさと2階の寝室に戻る。いったい何人泊まってるんだろう。

寝室であらためて明日の行程を確認する。明日は、日の出前に出ないと私達のペースでは帰りの最終バスに間に合わなさそうだ。間に合うのは間に合うのだが、ギリギリは怖いので30分か、それ以上は余裕がほしい。というわけで、明朝5時半をスタートとした。

ということで、事前に朝の食事はお弁当にしてもらった。朝食は6時からなので、それでは間に合わない。お弁当にしてもらえば今夜中に預かる事ができて、出発前、6時を待たずに食べられる。お弁当は外で食べなければならないなど、誰が決めたのだ。

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出発まで、まだ12時間以上ある。仮眠をとっても寝すぎてしまうほどだ。廊下で明日の支度を整える。もう、寝ている人もいるのでここは静かに。明日は地蔵尾根というルートから入り、稜線まで出たらそのまま赤岳に向かう。下りは文三郎尾根を下ってまたここ赤岳鉱泉に帰ってくる。あとは来た道を帰る。10時間ほどの行程だ。というわけで、しっかりと身体を休める。1Fからは多くの楽しげな宴の声が響いている。がここは流れに身を任せてはいけない。寝よう。

お弁当が届いた。この部屋には20人ほどはいるはずだが、お弁当にしたのは私達だけだった。やや不安。時間読みすぎたか。

何時間がすぎ、すっかり静かになった頃、目を覚ました。カメラを持って外に出た。明日の天気も良い。満点の星空だ。アイスキャンデーがライトアップされていた。テント泊の人達がチラホラ起きて外に出ている。今夜は風もなく過ごしやすそうだ。

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カメラはいつものSONY a7iii

写真を撮り終えると、寝床に戻る。カメラの電池を満タンの物に替えて、下山後のビールの事を考えながら寝た。

 

 

アラームが鳴り、目を覚ます。4時過ぎ。

廊下に出ると、周りの人の中にも数人が起きて準備をしている。よかった早出の人達がいる。あながちスケジュールは間違ってないようだ。トイレ、着替えを済ませるとなかなかいい時間になってきた。朝はそうゆうものだ。日々の生活で、朝は分単位で出勤の準備をしている習慣なので、イレギュラーの朝の準備は時間が過ぎるのが早く感じる。こういう時こそ無駄に寝ないでとっとと起きた方が出発は定刻でできる。出発といえば、待ち合わせで、だいたいちょうどの時刻に皆んな集まれるが、あれはいったいどんな魔法を使っているのだろう。時間を潰しているわけでもなさそうだし、集合時間きっかりに駅の改札から出てくる。

私はそうゆうギリギリが怖い性分なので、1本前、いや、トイレに行きたくなったり電車が遅れたりするかもしれないので2、3本前の電車、に乗ろうとすると、その乗り換えでさらに前の電車で、となり結果、集合時間の1時間前とかについてしまう。これは乗り換え、距離が長くなればなるほど顕著だ。もう一度家に帰っても間に合うほどだ。仕方ないので、喫茶店に入って、時間を潰すが、ここで気をつけないといけないのが、ギリギリに行ってはいけない。せっかく早く来たのに、1番最後だと「すみません」と言わないといけない雰囲気なのだから。ああ、ジャストタイミングで颯爽と改札を抜ける日が来るのだろうか。

と、うだうだ言ってるあいだに、出発が近づいてきた。荷物を持って下に降りて、お弁当を食べる。お湯を沸かしてサーモスに入れる。

水を補給し、最後のトイレを済ませ、いざ出発。外はまだ暗い。ヘッドライトを点け、アイゼンを装着する。よく研いだ刃が凍った地面にサクッと食い込む。よしよし。

お互いの装備を確認しあって、赤岳に向かう。

まずはここから45分くらいの行者小屋を目指す。あたりは暗く、ヘッドライトで照らされた場所だけが白く光っていた。

振り向くと、暖かそうな山荘の灯りが見えた。

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 続く

 

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【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その3

イスクライミングを初めて見たのは去年の今頃、登山を始めて間もない時期だった。私は六甲山の裏にある有名な氷瀑を見に山に登った。そこには本当に凍った大きな滝があった。私達登山者は下からそれを眺めていた。すると上からロープが降りてきて、次に人が氷の壁をカマキリの様に降りてきたのだ。それにはたいそうビックリした。

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 前回

 

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ここ、赤岳鉱泉ではそれを気軽にといえば語弊があるが、アイスをやる人にとっては適切な練習ができる場所だ。柱にネットを張りめぐらして、そこに水をかけて人工的な氷壁を作っている。そこを先が1本爪のアイゼンとアイス用のピッケルを使って登っていけるのだ。

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実はこれがもしかしたら体験できるかなーっと思っていた。が、ちゃんとしたビレイヤーとロープが必要だという事を知り、また次回、キチンとできるようになってからさせてもらおうと、高嶺の花子さんを諦めるように私は赤岳鉱泉の宿に向かった。

小屋周辺にはテントが沢山あった。この連休は天気が良く厳冬期と言うよりは春山といった環境。もしかしたら、このアイスクライミング だけをしにここに来ている人は少なくないのではなかろうか。察するに、テント泊+アイスクライミング なら現地でかかる料金は0に近い。関東人なら毎週末ここに来てもいいくらいだ。

 

赤岳鉱泉の宿は、まるで都会の中にあるオサレアウトドアショップのようだ。全体的にしっかりとした建築で、各メーカーの展示があり、先ほどのアイスクライミング のギアのレンタルも豊富だ。食堂は広く、部屋数多い。個室にはコタツがある。トイレはもちろん洋式、水栓でなんと便座が暖かい。ありえない。すごすぎる。寝室は大部屋でも暖かい。そして、なんと言っても夕食のステーキ、これがついて10000円ほどなのだ。一度は来てみる価値はある。いや、最初にここに来たら他の小屋は泊まれないかもしれない。幾多の山小屋を経験した上で、ここが特別な、山小屋である事を理解した方がいいかもしれない。そう言った意味では、初心者にはオススメしない山小屋だろう。

さて、私達は早速チェックインをすませ、ビールを買い、乾杯する。相変わらずうまい。行動食として持ってきた柿ピーは大抵ここで「思わず」平らげてしまう。危険だ。命取りだ。と思って、予備柿ピーを持ってきた。危機管理は徹底しなければならない。

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本日の行動はこれにて終了なので、夕食までゆっくり寝る。山を登ってないとしても結構歩いたので程よく疲れていたのだろう。ぐっすり寝させていただいた。

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夕食の時間が近づく。誰からというわけではなく、皆自然にできた列に並び、食堂への着席の誘導を待つ。皆さんこなれている。それに従っていれば間違いはなかろう。私たちの順番になり、大きなテーブルの角に案内していただいた。よくできた配席、すべてのグループが角に配置され、会話が盛り上がるように、且つ他のグループが気にならないやうに気配りされている。5人以上のグループは事前にテーブルが別で用意されている。さすが、年中毎日開けている宿は違う。当然ながら水もタダで確保できるし、お茶などさえも無料でいただける。今回だけでなく毎回100円玉を大量に用意しているのだが、今回は要らなさそうだ。

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目の前に用意された簡易コンロの上には肉がのっている。紛れもなくステーキだ。

こんなことがあっていいのでしょうか、いいのです。

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ジュージュー焼ける間が待ち遠しい。持参したワインを飲むのも待ち遠しい。テーブルのあちこちから、歓喜が聞こえ始めてきた。どうやら食べ始めたようだ。

私達ももういいかなというお肉の焼き加減。実食。

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う、う、う、う、うめーーーー!!!

こんな美味しいステーキは今まで食べた事がない。本当に美味しい。なんだこれ。

焼き方は私達素人がじっと見ていただけなので、何の匠の技もない。なのに、この美味しさ、不思議だ。疲れ、山、高揚感、を差し引いてもトップクラスだ。私はグルメでもなんでもないので、毎日美味しい物を食べてる人に、ぜひ客観的なご意見をいただきたい。お肉好きの方、是非、ここまで足を運んでこのステーキを食べて食べログにでもアップしてほしい。

ワインもとっても美味しい。肉にはワインだ。ワインには肉だ、もしくはビールだ。

私達は美味しい美味しいを繰り返し食べ続けた。かつて、大阪の地にある尾道ラーメンの店で、ある女の子がお父さんと一緒に来客し、ラーメン定食のライスが先に到着した。女の子はそのライスをひとくち食べた。私が今まで見た、聞いた中で一番の笑みと高ぶる声で「おっいしーー!」と女の子は叫んだ。ライスでだ。

それを思い出した。

私達は、残り少ない夏休みの日のように、やがて無くなっていく肉片に寂しさを感じつつ、一口づつ味わって食べた。テーブルには塩胡椒の調味料があり、それが絶妙に合っていたので、それで食べ続けていたが、お盆の片隅にタレがあるのを後半に気がついた。それで食べたが、私は塩胡椒の方が好きだ。もう一度言おう、私達は塩胡椒の方が好きだ。

 

続く

 

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