山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

六甲山、表から登るか裏から登るか(後編)

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今日のご飯はカップ麺だ。

チャカチャカと慣れない手つきでガスバーナーを出してお湯を作る。おんじは、あ、おんじもカップ麺だ。彼は魔法瓶のお湯を直接注いでいる。賢い。この時間ならお湯もまだ冷めないだろう。(前回)

 

www.yamakamera.com

 

「では、いただきまーす」

声を合わせ、合掌!

この瞬間が一番危険だ。なにせ平らな机でもなんでもない場所にこの貴重な食料を置かないと、合掌できない。なんとも因果な仏システムだ。

やんごとなきを得たあと、あらためて箸をくるっと回し、その熱いカップから麺を挟みあげる。そしてその熱々の麺は、周りのひんやりとした空気の中を瞬間漂ったせいで、適温になり、口に入る。

「はぁー、、、、うまいわーーー。」

「おいしいよねー。なんでだろうねぇ。」

「これに勝る料理は知らないっす。わたくし」

「でも下界に帰って、ビールも美味しいよね」

「、、、でーすーよーねー!!!、そのために登って降りてるようなもんすよね!!!」

と、まあ、世界一どーでもいい会話で、しばらく口と顎の仕事を増やしつつ、昼食を済ませる。

それにしても人が多い。

やはりこの六甲山の、「七曲の滝」は氷瀑としてかなり有名なのだ。私もインターネットで、六甲山の冬の楽しみ方を調べるうちに、この滝にたどり着いて、まさに今、私はたどり着いたのだ。今年は例年になく、氷瀑具合が良いとして、見応えがあるらしい。初めて見たので評価のしようがないが、タイミングが良かった。ビギナーズラックいただきました。

ここの周辺には、こういった滝が多く存在し、「有馬四十八滝」として有名だ。50弱も今は無いだろうが、当時は秘境の奥にある〇〇の滝として、色んなところにあったのだろう。その一つが今、目の前にある「七曲滝」である。

上の方から何段も重なり合って下に落ちている様から名付けられたのだろう。実に見事である。決して大きな滝ではないが、錐状に広がったシルエットで実際よりも大きく見える。

大きなカメラを持ってきて良かった。

目の前のグループが、何回か入れ替わって相応の時間が経ったことを考え、そろそろ行きますか、となった。

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「この先の百間滝とその先の滝も行きますか?」

間髪入れず

「もちろんです!ご一緒させてください!」

即答である。

この谷には少し入り組んだ奥にまだ滝が何本かあって、それをぐるりと見るコースが冬の有馬の滝の定番コースである。

少しわかりにくいので説明しよう。

 

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 青い線が今回の登山ルートだ。

有馬温泉から本来であればロープウェイの駅付近から川沿いに上がってこれる登山道がある。等高線を見てわかるように、この道はアップダウンはない。

これが土砂崩れで封鎖されて、地図で言うと右の「魚屋道」を登って迂回して行くのだ。わたくし、ちなみにこの迂回路の「魚屋道」の事を、最近まで「うおやみち」と呼んでしまっていた。知人から聞いたのだが、正しくは「ととやみち」である。そして、一旦登った道を「炭屋道」を使って降りる。一気に降りる。そして谷沿いにもどって、遡上していく。そして、また潰れた道を避けて尾根を巻き上がって、その奥の「七曲滝」に到着したのである。そして、一旦戻り、となりの沢に出て、別の滝を拝みに行くのだ。

ちなみにだが、六甲山には「〇〇屋道」というのが何本かある。魚屋さんが使ってた「魚屋道」、炭を作って運んだ「炭屋道」、筆を運んだ「筆屋道」。それにしても筆をそんなに運ぶことがあったんだろうか。六甲山はこの前の応仁の乱や、源平の合戦の時に、大いに荒れ果て、そして、西洋人のリゾート開発でさらに禿山化してしまっていたらしい。今では想像できないが、何枚か写真を見たことがある。ほんとに禿山だった。「六甲山  禿山 」で画像検索してみるといい。びっくりするだろう。 

というわけで、私達はさっき来た道を一旦戻る事にした。その前に、実は方向的には私達の真後ろがその登るべき尾根なのだが、そこにちょうどよく、やや角度がきついが登れなくはなさそうな窪んだ斜面があった。

「かかって来なさい」

と、聞こえたので、試しに、軽く登ってみたが、早々に負けを認めて、来た道を戻る事にした。次回はしっかり装備を整えて挑戦しよう。ちなみにおんじもまさかのチャレンジで敗退していた。気持ちはまだまだ若いおんじであった。

 いざ次の滝へ!われら探検隊は、昼食と休憩の、甲斐あって元気いっぱいである。沢をくだり、細い崖を渡って尾根に上がる。

サクッと説明したが、緊張が緩むと足元も緩む、帰りに事故が多いのはこのためである。尾根をしばらく進むと、反対側に降りる道があった。一人では決して見つけられないような小さな分かれ道だ。今後私は、こういった道を見分けれるようになるのだが、この当時はまだ全然見当がつかなかった。

「ここっすか!!わかんないっすね」

「私も久しぶりだから、見落とすとこだったよ」

「おんじ、今後ともよろしくお願いします!」

「あ、また、兵庫の奥においでよ、良い山が沢山あるんだよ」

「まじっすか!!行きます!!行きますともーー!!!」

「そこも氷瀑が綺麗なんだよ」

「まじっすか!!」

何たるご縁、何を気に入ってくださったのだろう。是非ともご一緒にまたご陽気な登山を楽しみたい。

「ここを降りると、すぐに次の滝があら、がんばろう」

「はい!先輩!全然疲れてません!!」

「元気だね」

と、そんなこんなでつぎの滝に着いた。

(続いちゃう)