山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

北穂高岳敗走記 その2  雨の上高地編

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バスに乗り込んで、おにぎりを食べながら、スマホで天気予報を確認する。

明日は午後から回復ということなので、最初のほう我慢していればなんとか安全に涸沢に着きそうだ。

今は雨は降っていないので、もしかしたら天気予報が外れてくれるかもしれない。

まあ、あまり考えてもどうしようもないので、諦める。それにしても空席が多い、あれから更にキャンセルが増えたのだろうか。バス会社にとっては大切な連休の週末、天気による減収はとても痛手だろう。

ありがたい乗客を乗せ、バスは新大阪、京都に停まり、上高地へ目指し進んでいった。

 

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前回

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それにしても、せっかく高速道路に入ったのに一旦降りて京都駅によるシステムは、なんともあれだ。京都に住んでる人にとってはとてもいいのだろうが。そうか、高速道路が京都の主要地域にまで伸びていないのが悪いのだ。景観的には悪くない、致し方ないのだろうか。地下とかじゃあ駄目なのだろうか。そもそも京都駅はなんであんなとこにあるのだろうか。理由はなんとなくわからんでもないが。

電気が消え、先程まで賑やかだった団体も静かになってくれた。人は暗いと静かになる。

目をつむり、なにか考え事をしているとそれが夢に繋がり、やがて思考せずとも物語が始まっていく。夢中、まさに夢の中では物語に夢中なのだが、ドスンと揺れるたびに夢が終わる。そしてバスの中に私は舞い戻る。

休憩のためにサービスエリアに着いた。雨が降っていた。おお、そうか、やはり雨なのか。小雨程度なのでまあ、問題ない。この雰囲気が上高地まで続いていることを願う。

休憩を終えると、再びバスは発車する。やはり天気が気になるのでもう一度、スマホで確認するが、天気予報は変わっていない。今回念のために持ってきた傘があるので、それをさして前半は乗り切れるはずだ。

二度目の休憩、バスを降りると猛烈に雨が降っていた。

まじですか、これですか今回の雨は。

少しドキドキした。これは結構は雨だ。一時的な集中豪雨かもしれない。おとなしくなれ。

あまり寝付けない。狭いバスの車内というのもあるし、窓の外のせいでもある。だが、時間は真夜中、次第に脈略のない夢の中に舞い戻っていった。

体が左右になだらかに揺れている。そして振動が収まった。外を見ると、トンネルの前で停まっている。例の上高地手前のオープンゲート待ちだ。雨は降り続いている。いつの間にここまで来たのだろう、5ページぐらいしか夢は進んでいない気がしたのだが。

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ゲートはしばらくすると開いてバスはトンネルに入っていった。

トンネルを出ても、当たり前だが、雨だった。

いや、切り替えて雨を楽しもう。楽しめなくても前に進もう。そのために来たのだ。周りの皆もおんなじだ。

バスは大正池でいったん停まり、そこで下りる乗客をおろした。だが乗客はまたすぐにバスに入ってきた。そしてバスは発車した。間違えたのではない、たしかにここで下りるような、会話をしながら降りていった。きっと一度降りて雨の多さにやられ、屋根のないバス停、出発の準備をすることができないので、帰ってきたのだろう。たしかに屋根のある上高地バスターミナルまで、いったほうがいい。

バスは問題なく上高地に着いた。

雨。

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いや、これは止む雨、午後には止む雨、気にしない。

私達は案内所の中にはいり、雨の準備をした。中にはすでに日本全国から来た登山客が大勢いて、いや、連休にしては明らかに少ないか、皆、雨の準備をしたり、朝食を食べたり、雨の止むのを待っている様子の人もいた。皆、これぐらいの雨、といった感じで、慣れたご様子で過ごしている。諸先輩方、励みになります。

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途中のサービスエリアで買ったご飯を食べながらザックから雨具、傘を取り出し、ザックカバーをかける。

準備が整ったところで、出発。

いざ、というより、なんとなく出発した。6時。

河童橋、誰もいない。まあ、この時間だから晴れていてもそんな感じだろうが。

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傘をさす人、ささない人、どうあれ皆一路涸沢を目指して遊歩道を進んでいく。道は水たまりが広がって、まさにどこも池となっている。靴が浸水しないように橋の方を歩く。ジグザグに濡れていない地面を探しながら歩いていく。

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そうやって夢中になっているといつのまにか一時間が経過し、靄の向こうに最初のチェックポイント、明神館が見えた。

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明神館という山小屋施設、その一階は広い食堂兼ロビーになっている、そこで一旦休憩できるはずだ。建屋の前で人がいっぱい並んでいた。どうやらまだ開いていないようだ。トイレを済ませた頃にちょうどよく開いた。中に入り、ザックを下ろし、休憩する。コーヒーを頼んだ。温かくて美味しい。まさか、出だしからこんな休憩をすると思わなかった。だが、私達はたしかに、そうしたかった。

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つづく。

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