山と僕とカメラ

登山初心者のバタバタ日記

北穂高岳敗走記 その3  止まない雨編

午後からは晴れると、予報では出ている。

雨量の多い時間に、わざわざ急いで涸沢に行く事もない。雨が少し止むタイミングを見ながら、明神館を出ることにした。

30分後、やや小雨になった気がしたので、明神館から出発することにした。まだまだ先は長い、せめて16時には着きたい、晴れていれば全然余裕の時間だが、もし雨が降り続くようならペースも遅くなり、ギリギリであろう。

 

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またもや、水たまりだらけの道を歩く。時刻とともに、山の上のほうから上高地に帰ってくる登山者とすれ違うことが増えてきた。

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すれ違う人の、着用している衣服の状態でこの先の天気などがわかる。

間違いなくこの先も大雨だ。皆ザックカバーをかけ、レインウェアで降りてきている。私たちより濡れている。

天候はここまで崩れることは考慮していなかったのだろう。誰一人傘を持って歩いている人はいなかった。最終日の早朝のためだけに傘を待って行く人もいない。私だってそうしない。または、涸沢や槍沢は風が強く、傘がさせない状態で、すでにずぶ濡れになったのかもしれないが、とにかく皆、濡れていた。私達と、唯一違う点は、水たまりだろうがなんだろうが、気にせずただ黙々と前へ進んでいた。なんとなく気持ちがわかる。

次に目指すは徳沢である。とにかく屋根のある場所に行きたかった。傘はさしているものの、やはりかなり濡れてきた。

桜の木がある場所に近づいてきた。5月に雪で押し倒されて、その後、支えを使いながらも再度、地に根を張った状態に戻った桜の木。

この前の台風21号でこのへんも被害があったはずなので心配だった。

桜の木があった。大丈夫だった。良かった。

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そこをすぎると、もう徳沢だ。

徳沢の小屋についた。とりあえず、休憩をする。時間的にもぜんぜん大丈夫だ。ほかの登山者も同じ様に休憩している。

中に入り、またコーヒーを頂く。何回飲めば気が済むのだろう。

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雨は強くなったり、ふっと小雨になったりを繰り返す。

雨雲レーダーを見ると、もう少し待てば雨雲が抜ける予報だった。ここは焦らず、じっくり待つことにした。

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待つ間、山頂で飲む缶ビールを買った。上よりは少し安いのでここで買って持って上がる。水はまだ十分にある。次の横尾で、再度継ぎ足そう。

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レーダーで雨雲が抜けた。

だが窓の外の雨は、一向に止む様子がない。レーダー干渉が記録できないくらいのうすい雨雲が上にあるということだ。ということは、今後、もうこの雨雲レーダーの意味はもうない。止むこともないかもしれない。

前へ進むことにした。

徳沢を出て暫く行くと、橋が見える。「新村橋」という橋だ。涸沢から前穂高のはしのはしの峠を渡って、横尾を通らず、ここ、新村橋に直接出るコースが有る。パノラマコース、という名前がついている。

その橋を左手に見ながら進む。ここから次第にゆるい坂道になる。

相方は冗談で「もう、私、さっきの徳沢でテント張ってもいいかなー」なんて言う。

後日聞くと、冗談ではなかったらしいが、そのときは冗談だと思った。

坂道に流れる雨の川を進んでいく。けっこう休憩が長かったので、わりと周りにいる登山者は少ない。みな、じゅうぶんベテランなのだろう、雨を全く気にせず進んでいった。

途中、道端に松ぼっくりが削られて落ちていた。何個も。

そしてその先には、猿がいた。彼らが食べていたのがさっきの松ぼっくりだ。美味しいのだろうか。

人間はいつから調味料を使うようになったのだろう。不思議だ。

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猿にカメラを向けると、「シャーーー!!何カメラ向けてんねん!わしゃあ食事中じゃけ、邪魔をすな!シャーーーーー!!」と怒られた。

ごめんごめん、と言ってさようならをした。

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すれ違う登山者に「こんにちは~」とご機嫌に、声を掛けずらい雰囲気があった。みな、疲れ果てて降りてきていた。明日は我が身だ。

徳沢を出て、一時間後、横尾に着いた。ここは雨をしのぎつつ座れる場所がなかったので仕方なく、トイレ前の屋根の下でザックを下ろし、休憩をした。

少し早いが、昼食。買って持ってきたパンを食べる。美味しい。

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諦めがつかず、再度スマホで雨雲レーダーを見る。画面には雨雲はない。目の前は大雨だ。スマホをポケットに戻す。

此処から先は、傘を指して行くのは危険かもしれない。岩や、根っこが多く、バランスを取りながら歩かないと滑って転ぶ。

傘をしまい、トレッキングポールに替える。

フードを深くかぶり、水を調達し、出発。

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水滴が当たる面積が傘よりもフードの面積のほうが小さいのか、傘の湾曲した効果のせいか、さきほどよりも雨音が小さく聞こえる。こういうことは普段からあるだろう。ポツポツと傘をさしている時の音よりも、実際は雨が降っていないことが多い。

まあ、今回は十分降っているのだが、気持ちは幾分傘をささないほうが、楽なのかもしれない。実際は濡れるのだから、体力の消費の差は激しいはずだ。なだらかな道になったら傘に戻すほうがいい気がする。風が吹いてなければなお良い。

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この先、雨の中、滑りそうな石と、全く信用できない木の根と、その木の根の間の茶色いぬかるみの連続に、肩がこる。ずっと下を見続けないと危ないのだ。おかげで屏風岩はいつの間にか視界から消えていた。

細い道ゆえ、登山者の列は、グループでなくとも、一つのユニットになりやすい。その中で、ペースの最もゆっくりの人に合わせるのでどんどん列は伸びていく。まあ、今回は私達もかなりゆっくりなので、全く問題ない。むしろこのまま後ろをつかせてもらったほうが良かった。

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「お先どうぞ」

言われてしまった。仕方なく、止まった隊列の隙間を通り前へ出る。

こういうときは後ろが絶対いい。前方で何が起きてるかが、隊列の伝達で後ろに伝わりやすく、例えば、先頭がチェックポイントに着いたとき、おや、そろそろ休憩だな、と後ろでも、なんとなく、わかるのだ。反対に先頭や、単独の場合、もうすぐ、という間もなく、チェックポイントに着いてしまう。あの「もうすぐ」というあれは、とても役に立つ。頑張ったり、リラックスしたりできる。

ところどころ、台風で折られた木が増えてきた。やはりここも猛烈な風が吹いたのだろう。通路にまたがる木は、きちんと整備されて撤去されていた。ありがたい。

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そんなこんなで、前触れ無く本谷橋に着いた。チェックポイントだ。

ここを渡ると、しだいに傾斜はきつくなる。山裾をトラバースしながら登っていくのだ。

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ここで十分に休憩をとる。この先はあと二時間で着く。普段なら。今日はどれぐらいで着くだろうか。

午後に差し掛かっていたが、雨は一向に止む気配はなく、むしろ強くなっていた。

 

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 つづく

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