山と僕とカメラ

登山初心者のバタバタ日記

2019年 新年 山は吹雪の木曽駒ヶ岳 その10

極寒の登山から宝剣山荘に帰ってきて待っていたのは、やっぱりあたたかいご飯だ。

元旦の夕食、その食卓は昨日とは違い閑散としている。私たちを含め、3組くらいしかいない。ほとんどの人が一泊のみで下山したのだ。まあ、そりゃそうだ。私達はせっかくの休みだし、ゆっくり過ごす事を目的として2泊とした。天気のこともあるし。

晩御飯は、昨日よりも豪勢だ。

 

前回

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エビフライに唐揚げ、ビーフシチュー。まるで学食のようなボリューム。ビーフシチューが絶品だった。ペロリといただいた。

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フライとカツの違いとはなんだろうと皆、日々考えていると思う。調理法が同じなのになぜなのだろう。カツはカツレツの短縮形で、カツレツとはカットレット=「切り身」の変化形である事はご存知の通りだ。フライはフライドチキンなど、パン粉をつけないものもあるが、主に魚介をパン粉であげるとエビフライ、白身のフライのように、フライになる。しかし、近年、「エビカツ」と呼ばれるようにもなり、もはや、「肉の切り身」としての調理法を意味していた「カットレット」という名前が「パン粉揚げ」と変化し、一人歩きしてしまっている。

そんなこんなで、お腹いっぱいに平らげた私達、その外ではすでに夕日など穏やかなイベントは無い猛吹雪の夜になっていた。

部屋に戻る。一部屋貸切状態なのでゆっくり休める。小屋泊では、耳栓が必需品だ。

今日のような貸切ならなんてことはないが、大勢の方が泊まる場合、イビキをかく人に出会う確率は高くなる。体力の回復を目的とした睡眠、耳栓があれば心地よく寝れる。

 

途中何度か目を覚ましてトイレに降りた。その度に外の様子を見るのだが、吹雪はおそまるようすは無い。ほんとに山の天気は変わりやすい。天気予報は夕方からCと出ていたので予報自体は当たっている。明日は下山するだけなので大丈夫だろうが、おそらくステップは全て消えてしまっているはずだ。時刻は焦らずとも良いので、ゆっくり降りよう。

 

いつのまにか寝てしまった。という事にしておいてほしい、あまり記憶が無い。

 

朝になり、出発の準備をして下に降りる。

木曽駒ヶ岳、宝剣山荘での最後の食事だ。

焼き鮭、山頂で焼き魚は贅沢な極みだ。

ごちそう様でした。

食事は終わった。

外に出たいが、玄関のドアは凍りつき、なかなか開かない。

小屋の人がせっせと昨晩に積もった雪を外で取り除いている。出てみる。昨日から更に

膝丈以上に積もっていた。すごい。

 

まだ時間に余裕があるので、少し外に出てみる。ガスガスで真っ白で何も見えない。白さと寒さに負けてすぐに引き返した。

ほかの人達はほとんどが撮影目的で来られたいは常連客のようだ。彼らもガスが抜けるのを待っている。正確には「ガス」ではないのだが。

 

いつかは晴れる、の通り、次第にだが晴れ間のような瞬間が増えてきた。すぐにまたホワイトアウトに戻るのだが、それでもだんだんと良くなってきている。この時、「見慣れる」というのを除外しないといけない。

 

程よいタイミングを見て、撮影のために外に出る。

昨日とはうってかわって、真っ白な宝剣岳がそこにあった。

見事なまでに白である。振り返ると、宝剣山荘もまるで南極基地のように真っ白に包まれている。こんな変化を感じられる機会を得られて本当に良かった。

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昨日と今日の宝剣岳

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一瞬の光のタイミングを逃さない気合いを感じれる人がカメラを構えて立っていた。

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かっこいい。

 

伊那前岳の稜線に粉雪が舞っている。

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剣岳には雪の波が光を受けて輝いていた。

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さていよいよ下山である。

アイゼンを付けて歩く。

昨日とは明らかに質が違う雪面、心して降りよう。天気は悪くはない。先に降りた人もいる。

乗越浄土まで行く、やはり昨日までのトレースは消えている。先に降りて行った人のツボ足がある。それに従い、ゆっくりと降りていく。

すでに下の方に本日一番の隊が登ってきている。今日はなかなか登り甲斐があるだろう。

次第に登りの人が大きくなってくる。頑張れ。

深いところは腰まで埋まってしまう雪の中、足跡の上をゆっくりを降りていく。

とうとう登りの先頭の人とすれ違う。

ジャケットを脱いで暑そうだ。実際にはとても寒い。彼はラッセル役でゴリゴリと登ってきた。湯気が出てそうなくらいの気迫を感じた。

その後に続いて多くの人が登っている。

それを避けて待ち、降りていく。

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行きも雪だが帰りの雪の量は全く違っていた。

行きは見えていた木々も、先端を残し、すっぽり埋まっている。

登りの辛さを、垣間見ながら次第に傾斜の緩い裾野部分についた。もう後少し。下山は楽チンだ。全く疲れない。

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そしてとうとうロープウェイ乗り場にに着いた。おつかれサマンサ。

中に入り、アイゼンを外す。

そこで奇妙な事を耳にした。

係の人と、男性登山客が話ししている内容が気になったのだ。

「そーですか、カメラありませんかー。」

「また、届いたら御連絡しますね」

といった内容だった気がする。

私はその時、昨日、乗越浄土で忘れられたカメラの事を思い出した。

「もしかして、昨日か一昨日、乗越浄土にソニーのカメラを置きっ放しで忘れられたお方ですか?」

「え、あ、はい!そうですー!」

「カメラは上の山荘に預けてます、連絡したら届けてくれると思います」

まさか、昨日拾ったカメラの持ち主が忘れた事に気がついて、今日また来ていたのだ。

彼は山荘に連絡し、無事確認が取れたようだ。

良かった。ほんと良かった。

タイミングが少しでも違えば、どうだっただろう。係の人も自分の事のように喜んでいた。良かった良かった。

 

と、ロビーのその先に黄色いテントが張られた状態で置かれていた。

モンベルと書いてあるそのテントは、なにかのキャンペーンだろうか?係の人に聞いてみた。

「いや、これ、届けものなんです。テントがカールに飛んできたのを拾った人が届けてくれたんです。」

一体どこから来たのだろう。係の人がいうには、変わらないはテント禁止なので、もしかしたら山頂部から落ちてきたのかもしれない、だとしたら持ち主は、テントの無い状態でどうしていたんだろう。届けられたのは1日、これまた偶然なのだが、山荘で出会った陽気なお姉さんの隊だったようだ。後にFacebookでその日記を見つけ、狂喜した。何事も縁である。そのテントは飛んでたらしい。見たかった。

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その後、ロープウェイを待っていると、先ほどのカメラの男性がやってきて、お礼にと飲み物をいただいた。

きっとこの日記も読んでいただいているはずなので、この場を借りて、、

 

「ビール美味しかったです!ありがとうございます!コーヒーもありがとうございます!」

 

山で会った人達とは、またいつかきっと必ず会えるはず。

 

私達はロープウェイに乗った。先ほどまでの世界とは真反対の人であふれる満員状態だ。世の中こんなに人がいるのか。

そして、ロープウェイを降り、バスに乗り、途中の温泉に寄った。「こまくさの湯」という温泉で、とてもくつろげた。露天風呂からは先ほどのまでの千畳敷が見え、なんとも贅沢。

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座敷にて、ビールと食事をして、少し寝る。

高速バス乗り場までの路線バスの時間までしばし休憩。

すっかり腑抜けになった私達を乗せてバスは無事、駒ヶ根ターミナルへ。

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スーパーで買い物をし、高速バスに乗り込む。

夜遅くに大阪につく予定だ。

次のアルプス雪山はいつになるだろう。当分先なのかなと、バスの車窓から遠くに見える八ヶ岳を見ながら寝てしまった。