山と僕とカメラ

山と僕とカメラ

登山初心者のバタバタ日記

小説

槍ヶ岳へ表銀座縦走 その4 燕岳の午後編

テント場は見た感じ、思いっきり満杯だ。残念無念。 でも、一応とりあえず燕山荘に入り、受付でテント泊したいです、と聞くと 「実際テントを張れたら、いいですよ。その時、再度受付しに来てください」 とのこと。 よし、テント張れたらいいんだなと、我々…

槍ヶ岳へ表銀座縦走 その3 急登とスイカ編

今回の登山は4泊、総重量は重いので、なるべく荷物の重量を減らしたい、ということでほぼアルファ米である。そして山荘のご飯も利用し、さらに重量を削る計画。 4泊5日の行程で、昼ごはんは山荘のご飯を利用する予定だ。 アルファ米は飽きのこないようにメ…

槍ヶ岳へ表銀座縦走 その2 登山口まで長い旅編

新大阪から名古屋。新幹線で行くと中途半端な旅気分になる事請け合いの1時間。 「京都を出た」 「そろそろ眠い」 「まもなくー、名古屋ー名古屋」 となる。遠いようで近いようで、やっぱり遠い、そして速い新幹線。 そこで私たちは眠らないように、眠ったら…

槍ヶ岳へ表銀座縦走 その1 出発の朝編

8月のお盆休み。 8/11 タクシーに乗った。朝6時。新大阪まではすぐだ。おおよそ10分で新大阪駅に着いた。朝は流石にまだ涼しく、このままこんな天気であって欲しいなと思った。この時期、本来なら西行きの新幹線に乗るが、今回は名古屋に行く。北アルプスに…

海の見える坂の街

車が停車すると、僕は、いの一番に車から飛び降り、砂利の撒かれた駐車場から駆け出してその先の坂道を登った。この坂道は急だ。右手には小学校がある。通ってない小学校というのは、独特の近寄りがたい距離感がある。門の向こうに見える校舎、ひまわりか何…

立山縦走 その12お寿司編

帰りのバスの予定時刻までまだもうすこしあるが、充分癒されたので、早々にバスターミナルに向かう。 温泉&ビールの後のザックは重い。本当に重い。何が入ってるんだろう。誰かが石でも入れたか。 とにかくこの重さとも、あのバスターミナルまでの辛抱だ。そ…

立山縦走 その11 下山そして温泉編

雄山を下りる。この先を降りると、一旦「一の越」という場所につく。そこまでこの坂は、延々とガレ場になっていて非常に危ない。しかも下からわんさかと登山者が登ってくるので、避けながら譲りながら石を落とさないように歩くのはなかなか難しい。 室堂から…

立山縦走 その10 のどかなトレッキング編

この空間は特別だ。目の前に悠然とした山を見つつ、ここで食べようと決めたとっておきお菓子と、沸かしたてのコーヒー。インスタントだが。 そして、この朝の太陽が景色を彩るために光を注ぐ。これほど大胆で優雅な一瞬はなかなかないだろう。違いをわかろう…

立山縦走 その9 「一日目の夜、二日目の朝」編

目が覚めた。何時間寝ただろうか。横になってても、頭が痛くてしばらく眠れなく動けなかった。いつのまにかお薬が効いて、眠っていたのか。今は状態は良く、頭痛も治まっていた。あの痛みは、なんだったんだろう。 とにかく良くなったし、じゅうぶん横になっ…

立山縦走 その8 「山よりだんご」編

何は無くとも、ビールである。がしがし、持ってきたビールは冷えてないので、隣の雪渓でまず、冷やす。 テントも張り慣れて来た。とはいえ、テント泊を始めてまだ半年も経っていない私たちが「慣れた」と言ってもまだまだ不慣れだということはわかっている。…

立山縦走 その7 「偶然と必然の境目」編

「おおおー!?!おお??、、、!どどどど、どしてーー?!、なんでーー??!」 「いやー!!ジャンイチさんーーー!!」 「ひゃーーー!!」 「びっくりーー!!!わらけるーー!」 こんな事があるだろうか。あのゴールデンウィーク、涸沢で出会い、愉快…

立山縦走 その6 再会編

彼らと初めて出会ったのは、今年のゴールデンウィークの穂高だった。 その時、私達は上高地から涸沢へ行き、一泊し、次の日の早朝、雪山を登って穂高岳山荘に着いた。まだ午前中であるが急登を登り終え、お腹がペコリンコであった。 アイゼンを外し、山荘に…

立山縦走その4 出発直前編

何駅か停まるたびに、登山の姿ではない人達が降りる。そりゃそうだ。電車の終点の立山駅までにも、うちの田舎より立派な街が沢山ある。 そこまで通勤通学で通ってる人達がいててもおかしくない。遠くから夜行バスに乗ってわざわざ山に登りに行く私達をきっと…

立山縦走その3 富山地方鉄道編

窓の隙間から明るくなった街が見える。 スマートフォンで現在地を確認すると、どうやら富山駅近くまで来たようだ。天気は良い。 到着時刻に着きそうだ。実は、次の電車の乗り継ぎにあまり時間がなく、それを逃すと、30分は待たなければならないのである。 前…

約束の夏の話

今日から夏休みだ。その当時、小学生だった僕は、毎年この瞬間のために生きていた、と言ってもおかしくないくらいだ。午前の授業が終わり、先生が例によって、海で泳ぐ時の注意事項、次の登校日までにする宿題を伝えて、日直に挨拶を促す。 「きょうつけ、れ…