窓の隙間から明るくなった街が見える。
スマートフォンで現在地を確認すると、どうやら富山駅近くまで来たようだ。天気は良い。
到着時刻に着きそうだ。実は、次の電車の乗り継ぎにあまり時間がなく、それを逃すと、30分は待たなければならないのである。
前回↓
少しでも早く着いて出発したほうが、気温的にも、山行のスピードにも有利なので、できる限り早く出発したかった。
今日はスタート地点の室堂から雷鳥沢を通って雷鳥坂、剱御前小舎、そして剱沢キャンプ場まで、である。剱御前小舎で昼食、そして剱沢に降りる計画だ。当然テント泊なので、荷物が多い。
雷鳥沢でテント泊というのも考えたのだが、そこは室堂平の一番底部に当たる。誰が好き好んでここからスタートをするであろうか。
それならば、荷物を全部持ってのトレッキングにはなるが、初日に雷鳥坂を上がってしまって、次の日は頂上からのスタートと、ゆとりのある行程のほうが良いのではないかと思ったのだ。
剱沢の登り降りのぶん、少しUターンはするけれども、雷鳥沢から登るよりは数段マシだ。およそ300メートルの高低差がある。すこしゆとりを持ち過ぎだが、時間はあるに越したことはない。
二日目の予定は、名残惜しみながら、剱岳を背に、別山へ向かい、そこから稜線沿いに、富士ノ折立、大汝山、雄山、一ノ越、そして室堂に帰ってくるプランである。余裕があれば、浄土山に登り返しても良い、がきっとそんなことはしないだろう。余った時間はみくりが池温泉で使う。
富山駅についた。朝だからか、北だからか、若干涼しげである。もうこれで来たかいがあったというものだ。ザックを背負い、富山地方鉄道の発車ターミナルに向かう。
そこはJR富山駅と隣接しており、とてもアクセスが良い。「RAILWAYS」という映画で一躍有名になった。
ターミナルにつくと、すでに乗客が切符売り場に並んでいた。みな、とは言わないが、ほとんどの人が、ザックを持っていたので、立山に行くのだろう。と思った。
中にはそうでもない格好の人もいたのだが、この人達は、どこへ何をしに行くのか、そちらも気になった。
切符を買い、一旦落ち着いた。チケットは、これから乗る電車、そしてケーブルカー、そしてバスのすべて、そして復路まで一式購入できた。しかも、ケーブルカーは予約指定ができており待たずに乗れるというなんとも素晴らしいシステムである。このシステムに後で驚かされることとなることを僕たちはまだ知らない。というタイトルのアニメがあったような気がしてならない。
ホームにはすでに電車が停まっている。始発駅なので、正面から車両が見れる。東京のことはよくわからないが、どうみても西武鉄道である。この富山地方鉄道は他社の旧型の車両を塗装を変えず、導入しているようだ。鉄道に愛を注いでいる人たちのメッカになっているかもしれない。そういえば、前回来たとき、京阪特急が北アルプスの山麓を走っていておののいた。
ホームで待っていると電車が来た。京阪車両、テレビカーを期待していたのだが、来たのは東急であった。それはそれで面白い。
さあ、いよいよ立山に向けて出発である。立山は北アルプスの北部に位置し、雄山、大汝山や浄土山、大日岳、奥大日岳、そして剱岳という3000メートル級の山々で成り立った山域である。氷河も存在する。ブラタモリでもやっていたように高所にもかかわらず、広い湿地帯が広がっているのも特徴だ。そして、火山活動もあり、温泉もある。もう何でもありのテーマパークなのである。そこに、これから向かう。
次へ続く