山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

北穂高岳敗走記 その4  涸沢到着編

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ここまでくれば、後はただ、進むだけだ。

雨は一向に止む気配はなく、しだいにその雨は強くなってきた気がする。

しばらく休憩する。周りには同じく休憩している人がちらほらいる。それにしてもこの雨は、ほんとに止まないのだろうか。明日から晴れるのだろうか。

 

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前回

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休憩の後、出発だ。斜面をしばらく登り、そこからは緩やかな坂道、沢沿いを歩くのだが、石はある程度平たく、足は置きやすい。

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しばらくして、傘をさして歩くことにした。風は若干あるものの、傘が飛ばされる程度ではない。

GWの雪道以来のこの涸沢までの道、通った記憶がある場所と、こんなところ通ったけな、という場所が入り交じる。前回は雪の下は土だと思っていたのだが、石の道だとは驚いた。

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ペースが次第に落ちてきた。休憩後から相方が先頭にたって彼女のペースで進んでいるのだが、若干ゆっくりになっている。そしてそれは20歩に一回休憩を挟むようなり、そしてその休憩は長くなってきた。涸沢まで30分から1時間ぐらいだろうか。少しづつでいいから進めば、そのうち着くので無理はしない。充分休んでも大丈夫だ。

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相方のザックから、重いものを取り出し、こちらのザックに入るだけ詰め込む。

少しは楽になったかもしれない。だが、雨のため、多少水を吸い、ザック自体が重くなっているらしい。もうすこしだ。頑張ってほしい。

ここから徳沢に引き返していいが、進んでもいい。おそらく進んだほうが楽だ。

相方のモチベーションは低く、完全に雨にやられていた。相方もGWのこの道を経験している。残雪期のそれよりはしんどいらしい。私の感想とは逆だった。

休憩の後、涸沢に進み始めた。先程よりは、テンポがよい。聞くところによるとやはり幾分かは軽くなって楽なようだ。この気持ちが続いているうちにゴールに着くことを願った。反省、疲れは両者50:50であるほうが、共有できる。もちろんすべて安全側の範囲内での話だが、体力の差を十分考慮し、雨の疲弊も考え、持てるだけ私が持つべきだった。次回からの荷物割当はそうしようと決めた。恐るべし雨の作用。

雨と雲のためGPSが効いていない。現在地から目的地の距離がどれくらいか、知らせることができなかった。「もうすこし」という言葉は3回ぐらい使うとそれ以上は逆効果なので、悩む。

GWのころは目的地が見えつつ近づかなかい状況にもやもやした。今回もそんな感じかなと思っていたのだが、雲のせいか、夏道のせいか、山小屋はいっこうに見えなかった。

沢を渡り、看板が見えた。「↖涸沢ヒュッテ、涸沢小屋↗」と書かれている。

地図を参照すると、もうすぐだということがわかった。

もう目の前に来ていた。その手前で、凹んでいたのだ。

そして10分ぐらい林の中を歩いたであろうか、目の前に急に建物が現れた。

暗がりの海上、小舟に乗って漂流していると、急に大きな客船が目の前に現れたかのようだった。

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正面から入るのかと思ったら、西側の脇からヒュッテに入る。こんなコースだったのか。

着いた。

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食堂の周辺には人が雨の中、食事を楽しんだり、ものを買ってたりしている。

その中を抜け、テント場に向かう。

涸沢小屋の方を見ると、その右の沢、北穂高に登るルートは滝と川になっていた。なかなかの雨量だ。

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雨なので、オープンデッキで休むこともできない。とにかく濡れていない場所を作り、濡れていない服に着替えたかった。

テント場で程よい場所を見つけて、テントを張る。すでにコンパネが置かれている場所だったので基礎づくりは無く済んだ。

雨の中のテント張りはなかなかつらい。いつもより時間をかけて完成した。

服を着替える。外はまだ雨が降っている。時間は4時を回っていた。

食堂エリアでご飯を作ることにした。

12人ぐらい座れるその席は来たときから満員だった。行ってみると、まだ席は空いていなかった。宿泊ではないので、あたたかそうな室内には入れない。

暫く待つ。15分くらい後、一組が食事を終え、席を立った。そこに座る。

椅子というのは素晴らしい。心地よかった。

パスタを作った。

そそくさと食べ終え、テントに戻った。

涸沢までの道中、相方が疲れ果てているとき、帰りの距離に不安を覚え、「もし明後日もこんな雨だったら、涸沢から上高地まで、一日で降りれる気がしない。」と言っていた。確かにそうかもしれない。それほど相方は疲れていた。

明日からの穂高岳はまず晴れていても登らないほうが良いようだ。というのも、例えば早朝から登って午後に降りてきて、テントを片付け、そこから横尾か徳沢に明日中に降りる、そうすれば三日目は雨でも楽な行程になるのだが、逆にその方が明日、体力的に、時間的にそうとう難しい。そもそも、相方に穂高に登るモチベーションは無くなっている。そんな気持ちで絶対に山に登る訳にはいかない。置いて一人で行くわけにもいかない。たとえ一人で登ったとしても、明日の下山のタイムスケジュールはさほど変わらない、雨が降っていたらなおさらだ。だが、明日、相方のテンションと天気が回復している可能性もないこともない。

そんなことを考えながら、ポツポツと雨音を立て、ゆさゆさと風で揺れる涸沢のテントでねむりについた。

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つづく
 

 

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