バスは途中誰も乗せず誰も降ろさず、伊吹山登山口に着いた。
私達2人、そして11人の登山グループは全員降り、神社の前で準備にとりかかる。伊吹山登山口の隣には神社があり、ここで祈願をした後、登山をスタートするのだが、今回はすっかり忘れてしまった。これがのちにとんでもない事になるとはこの時はまだ気がつかなかった、なんて事は一切ない。
前回
ジャケットは脱ぎ、登山口に新設された案内所に入山料を入れ、山に入る。
まずは1合目までの、無駄に長い杉林。
ややぬかるんでいる九十九折の道を登っていく。何度折り返したら、1合目につくのであろうか。8/30に溜め込んだ延々と終わらない夏休みの宿題のようだ。
寒かった身体も次第に暖かくなる。心地よい瞬間
は通り過ぎてすぐに「暑い」に変わる。というところで、ひらけた場所に出た。1合目。風は冷たいが、身体は暑い、そして陽が当たるとさらに暑くなるが、曇ると冷え、そして、高度が上がると更に冷える。レイヤリングの重要性が感じられる季節だ。
まだまだ暑くなるとふんで、ソフトシェルを脱ぎ、ゲーターを外す。
そして、いざ見晴らしの良い山、伊吹山に登る。ここからが伊吹山だ。さっきのは、山道。
雪はまだなく、秋の雰囲気の伊吹山の麓。
すすきがまだ朝日に輝いている。
足元は緩く、先週の雪が溶けて泥になり足につく。溶けないでほしかった。このまま山頂まで、こんな泥なのだろうか。小屋があるところあたりからはせめて雪であってほしい。
と淡い期待とともに山道を登っていく。
荷物はまだ重い、と感じない。このままそんな前向きな気分で山頂までいけるだろうか。自信はあるが、どうだろう。
山道は石と滑りやすい土が合わさったような道だ。向かいの霊仙山と確かに似ている。形成時期が似ているのだろうか。
見晴らしが良い場所に出るとその霊仙山が向かいにある。本日は霊仙山も、雪を被っているようだ。右手には琵琶湖がある。大きい。伊吹山は距離の割には勾配が急なので一服し、振り返るごとに高さが違う事に気づく。いつまでも届かない山頂にくらべて、振り返る景色の違いに、元気をもらえる優しい山だ。
またしばらく岩と土の道を行く。丘の向こうに広い土地が広がる。
そして堂々たる伊吹山が見える。山頂の方に少し雪がある。
ここは、いわゆる3合目だ。かつてはスキー場だった名残がある。私もここでスキーはした事はないが、夏にMTBのレースがあり、何度か来たことがある。あの頃の名残がある。トイレはあるがすでに冬季休暇中で、使えない。東屋があるので、ここで少し休憩をとる。
相方も元気いっぱいだ。無駄な荷物を持った2人はまだ元気であった。
続く