ラーメン屋「幸楽苑」、その名は有名なドラマの中で出てきそうな名前のラーメン屋だが、どうだろう?
実は「幸楽苑」の看板を発見した直後にCIA並みの調査能力で私たちは裏どりをしていた。全国に500店舗を持つ大型ラーメンチェーン店だが、私たちには初めてだった。長野県の名物ではないが、なぜか惹かれた。窓ガラス越しに店内に大勢の客が入っているのが見える。年末とはいえ夜10時近くにこの人数はすごい。私たちは自信をもってその扉を開けた。
「いらっしゃいませ〜」
私たちは空いているテーブル席に着いた。
前回
とりあえずビールを注文し、メインのラーメンを迷う事にした。
う、うまい。相変わらずビールはうまいなあ。
メニューを見る。
さまざまな味ベースのラーメンがある。醤油、味噌、担々麺、鶏白湯。
イチオシは醤油ラーメンのようだ。
ラーメン、うまい!
と、ふとテーブルに貼り付けられたメニューに目が止まる。「年末限定年越し肉ラーメン」
豚のバラ肉薄切りがのったラーメンだった。
よし、これにしよう。ベースは醤油だしだし、年末限定という事で。
相方は一番人気の「醤油ラーメン」。
店員さんを呼んで注文したのだが年越し肉ラーメンは、なんと品切れであった。
振り出しに戻った。
まじか、、、一旦店員さんにお帰りいただいて、相方のラーメンだけ注文を通した。
悩んだ。どうしたらいいのか。同じ醤油ラーメンもいいけど、せっかくなので違うのにしたい。この「せっかく」というのは後悔の元になる事が多いので、更に悩む。最後まで候補に名を連ねていたラーメンがあった。ランクでも上位に入っている「ねぎラーメン」これは辛味噌ベースのラーメンで、醤油ベースではないが辛いラーメンが好きな私にはとても興味深いラーメンだった。他にも担々麺などもあったが、トリッキーな仕様にもかかわらずランキング上位に入る理由が知りたくて、この「ねぎラーメン」に一応決定した。
と、考えているうちに相方のラーメンが来た。
味見をさせていただいた。
醤油ラーメンを少しいただく。
甘みがある。とても懐かしい良い味だった。
明日からは山なのでゼロカロリーの法則を生かして、チャーハンと餃子のセットにした。
待つ間、気がついた事があった。
異常に安い。
390円である。
平成も終わろうとしているこの時期にこの値段はいくなんでも安すぎる。
不安がよぎった。
この値段で原価率を1割としてどんなものが作れるのだろう。いや、そもそも原価率ってどれくらいが普通なのだろうか、いや、普通とは何か。と、無理矢理前向きに考えて時間を過ごした。
ラーメンが来た。とうとう来た。
目の前に出されたねぎラーメンは、白ねぎの細切りがどっさりのり、その下には透き通った赤いスープがあった。刻まれたチャーシューも入っている。
具を崩していただく。
、、、
うまい。
普通に美味い。値段かしたらとても美味しい。いや、値段をさておいても美味しい。
相方はすでに醤油ラーメンを泣きながら食べ続けていた。
これは良いラーメン屋さんだ。
昼に来たら白ご飯が無限に食べれる味だ。
私たちはこの長野県で大阪にもどこにでもある美味しいラーメンに出会った。
私たちはスープを飲み干し、食べ終わった。
満足満足。
良い出会いだった。
店を出るときに隣のファミレスが見えたが、あそこに行かなくて良かったと、つくづく思った。よくある個人経営のこだわり抜いたラーメン、というわけではない、それゆえの誰でも好きな、とても懐かしい良いラーメンであった。
ようやくホテルに
帰りにコンビニに寄ってビールを買い、ホテルに戻った。
明日からの登山の安全を祈りながら飲みながら、パッキングをし直した。
今回は冬季宿泊の装備だ。
メインのザックをに全部突っ込んでしまうと一回りザックが大きくなる。
アウター、アイゼン、ゲーター、ハーネス、ギア、ヘルメットなど、スタートから外につける機材を入れる必要の容量は実際には必要ないのでサブのアタックザックに分けて持ってきた。
そうすればちょうどいい大きさのザックで上がれるから重量も、バランスも良いのだ。
我ながら良いアイデアだ。
そうして夜が更けていき、私たちは明日に備えて、寝るのであった。
さあ、明日はいよいよようやくやっと木曽駒ヶ岳だ。
続く