大阪からバスで出発
四日市に向かうバスは大阪の梅田の端、スカイビルから出発する。ピンク色のWILLERという会社が運行している。初めて使う。
夜の10時過ぎの出発、そして着くのが4時半、なかなかスローペースの運行だ。距離が長いからではなく、大阪の終電と名古屋の始発に合わせたのだろう。そう、バスは四日市によって名古屋に着く。殆どの客は名古屋に行くのだろう。
スカイビルに行くための地下道は、なんだか短くなっている。昔は無限に続くと思っていたのだが、大人になるとそうでもない感覚、ではなくて大阪駅北ヤードの開発で、トンネル部分が半分以下になってしまっただけのことである。おとなになって大阪を離れ、たまたま帰ってきた人が、ここを通り、その人は素直に「ああ、昔は雪も積もったし、このトンネルもすごい長く感じたんだけどな、そうでもなかったな、ははははは。」というのかもしれない。
さて、スカイビルに着いた。バスはすでに待機している。バス停の近くにコンビニがある。バスの食料を買っていざ乗り込む。
前回
荷物を下に入れて客席に入る。即座に靴を脱ぎ、リラックス体制に入る。なんてったって、もう深夜だ。良い人は寝る時間だ。
続々と乗客が入ってきた。満員だ。
何割かが団体客のようだ。嫌な予感しかしない。
賑やかな車内はまるで修学旅行の観光バスのようだ。大学生だろう、ナガシマスパーランドにでも行くのだろうか。あそこのプールに一回行ったことがある。ウォータースライダーがあって、ものすごく高い。落ちるときに、本来あるべき体重による背中と滑り台の摩擦が0になった感覚で、ふわっと浮いた。そのまま、シューッと落ちていった。あれは「落下」という現象だ。りんごと一緒だ。あれは、怖かった。
とか、話しているのであろうか、いっこうに賑やかさが収まらない。
バスはすでに発車している。「電灯が消えたら会話はお控えください」とアナウンスがあった。良かった。
、、、
全く効果なし。今の彼らにそんな遠回りな言葉は軽くスルーされるのだ。
わかる、わかるよ、その気持ち、、だが
「えーっと、面白い話はいいんですが、もっと音量を下げてもらっていいですか?」
と、振り向いて後ろの乗客に提案した。小声で。
それを機に、バス全体が静かになった。なぜだろう。
とにかく、無事、乗客全員がバスで就寝できることとなった。
何箇所かバスは停車し、時間を潰していた。
ないだろうか?目を覚ましたら、バスがSAで停車して休憩していて、さらに目を覚ましたら、まだ同じ場所にいるときのなんとも言えない切なさ。
いや、到着しましたと深夜2時に放り出されるよりもマシだ。
そんな気遣いのおかげで、私達は無事、四日市に着くことができた。
ここで降りたのは私達だけであった。
朝、四日市に到着
三重県四日市、名前はよく聞くし仕事でも何度か来たことがある。
近鉄とJRの駅がある大きな街である。とりあえずまだ4時半だ。ここから近鉄電車で山の方にトコトコ進む。それがまだまだ先の時刻なので、とりあえず、時間つぶしをしなければならない。こういう時、ぱっと入った店でベストなお店であってほしい、が、そういうことはめったにない。と思っているから、なかなか適当なお店が決まらない。5時で終わるという店が多かった。ようやく一軒のやる気のないラーメン屋を見つけた。朝からラーメンとは、これ如何なものか、とも思いつつも、意外と欲している胃袋が店のドアを開けさせた。
多国籍な店員さんたちが迎えてくれた。様々なラーメンがあるが、胃腸に気を使い、あっさりなラーメンを注文した。
意外とうまかった。
ここで、しばらく時間を潰させてもよいのかな?と思って周りを見ると、ガッツリ客だけでなく、店員も寝てたので、気兼ねなくここにいることにした。
とはいえ、そんなに居ても申し訳ないので、いい感じのころに出た。
相方がイートインなるものができるファミリーマートを見つけてくれた。そこで気がついたのだが、四日市駅周辺はファミリーマートだらけだ。いたるところ、水色と黄緑だ。どういうことだろう。経営者が同じなのか、不思議な街、FOUR DAYS TOWN。
数ある中からイートインファミマを見つけ、コーヒーを頂きつつ、更に時間をつぶした。
ついでに外で湯を沸かし、サーモスに注いだ。
尾高タクシーという神
湯の山温泉からバスが運行しているのだが、その始発が遅い。なので、タクシーで向かうこととした。タクシー会社は一社だけで、「尾高タクシー」だけだ。
電話番号は059-396-0108
ここにかけて予約をするのだが、7時からの営業、さらに配車数が少ないようで、7時半とかになるようだった。
いったん、落ち着いて考えた。バスの時間は8時半、、、
プランBは存在しなかったので、あらためて尾高様にお願いした。
一応、少し早く着いておこうということで、電車に乗り込んだ。
進行方向に鈴鹿の山々が見える。ワクワクタイムだ。
雪も多少ある。天気はスカッとはしないが、大荒れでもないので、良しとしよう。
電車に揺られ、無事湯の山温泉駅についた。
文字通り、温泉の街の起点であるが、ここからさらに山に入らないと温泉地、そして御在所岳にはたどり着かない。
ここでタクシーが来るのを待つ。
ところが、すでにタクシー乗り場に、一台タクシーが停まっていた。まだ30分も早い。
なんという幸運、早速運転手さんに事情を説明し、乗せてもらうことに。もちろん尾高タクシーということは確認済みだ。
運転手さんはよく知っているようで、私達が行く山と、登山口を伝えると、まかせなさい、みなまで言うなと言わんばかりに、ハンドルを握った。
今日は鎌ヶ岳を長石尾根を通って登り、ピストンで帰って来る予定だ。
タクシーはピタッと長石谷の登山口に止まった。すばらしい。
準備を整え、いざ、私達は鎌ヶ岳に向かった。
つづく。