山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

2019年 新年の登山は木曽駒ヶ岳 その9

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元旦の朝食@宝剣山荘

有り難い朝ごはんを食べ終える。もう一泊するのだが、一旦チェックアウト。ここ宝剣山荘はそういうシステムらしい。今日は午前中伊那前岳にいって、午後からもう一度木曽駒ヶ岳に登る予定だ。

宝剣山荘は中での自炊は禁止されている。お湯を作るくらいは許されると思っていたが、そんな心配は無用であった。ストーブがあったので、その上に鍋を置いてお湯が沸かせてしまう。よかったよかった。

熱々の湯をサーモスに入れて、いざ出発。

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 前回

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 伊那前岳

早朝よりも、少しガスって風もある。

相変わらず寒い。

山荘周辺はガリガリに雪が凍っている。今回アイゼンは私のはリンクスの14本爪なのだが、相方のはレオパルドという10本爪のバックカントリー用の軽量モデル、前後が紐で結ばれるタイプなのでかそもそも爪が短いのか、やや刺さりが悪いようだ。よって後日、彼女はちゃんとした12本爪を買い直すに至る。山と山の間に山ショップに行くぐらいが一番楽しい。

足が小さいので、店でも10本か12本で悩んでいた。結局12本にして正解だったのが後に行く赤岳でわかったらしい。私も負けずに出発前にヤスリでガンガン研いで赤岳に挑んだ。

 さて、時間は元旦に戻る。伊那前岳は宝剣山荘の東にある山だ。

そこに行くルートは最初から頂上稜線という素晴らしい楽チンな道だ。

同時に言えることだが、稜線は風が強いのでロープをつないで進んで行く。一歩一歩飛ばされないように。右手にはカールが見える。そこには粉雪が複雑に風を描いている。

吹き上る風、カールに滑り降りる風、その間で竜巻のように巻く風。ある一方向だけの風に対しての耐風姿勢で良いというわけにはいかないのが分かる。視界にフワッとこちらに向かって砂嵐のように粉雪が舞う。その数秒後にドーンと風が打ち寄せてくる。いつも風が見えるナウシカが羨ましい。

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足元は先人のステップがある。それをしっかり踏みながらすすんで行く。風は収まる事はなく、ただずっと吹いている。あまりゆっくりのんびりとしてられない。黙々と歩いている間に、山頂に着いた。意外と近かった。早く歩いたという事はない。

一応写真を撮って引きかえす。

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風に耐えながらすすんでいく。

一度来た道というのは頼もしい。こうして経験を少しずつ脳と身体に入れていくんだなと。

ところで遠足でも何でも、行きより帰りの方が早く感じる事がある。

あれは眠いから寝てた、という事以外ならば、

帰りの方が場所を知っているからだ。

先ほどの例とは若干違って、「帰る」という事は自分の知ってるエリアに入って行くという事だ。

わかりやすく解説すると、100キロ先の場所に行くとする。行きは20キロくらいまでは、あーまだこかか、まだまだだなーと感じるだろう。

反対に帰りは、80キロ進んだところで、あ、もうここか、ここならもう自宅まではあと少しだ。と、すでに着いたモードになっている。

おわかりだろうか。チコちゃんは知っているに出そうなネタだ。だから先に書いておこう。

 

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 乗越浄土の忘れ物

乗越浄土の看板の場所に登山者がいた。下山するようだが、カメラが忘れられて看板にぶら下がっていたという。彼はこれから降りるのだが、どうしようと焦っていた。カメラ、結構高いカメラだ。無くした人は心配だろう。発見者は、降りる時に落っことしたりしたら嫌だろう。それでなくてもこの天気だ、余計な心配はもちたくない。そこで、私達が山荘に預ける事にした。山荘ならすぐそこだから、もし仮にたちまち連絡が入っても、無事確認が取れるはずだし、そもそも絶対に壊す事なく難なく、届けられる。もしかしたらまだ上にいるかもしれないし。

というわけで、そのカメラを山荘に届ける事にした。

そして、私たちは、山荘に戻ってきた。

カメラがカチコチ

私のカメラは真っ白に凍った。正確に言うと、室内に入ったせいで、室内の水蒸気がマイナス20度のカメラに触れて解けて液体になり、そのまま凍ったのだ。

 

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ストーブの前に置いて元に戻す。この時、カメラは決してレンズ交換はしてはいけない。開けた途端、一気にセンサーが壊れてしまうだろう。

後日、知ったのだが私達が、折り返したピークは伊那前岳の頂上ではなくて、その手前の2911峰だった。どうりで近いと思った。いや、あの状況で引き返さない変な理由が無くて良かった。結果オーライは良くないが、今回は良かった。

 昼食を食べる。持ち込んだ多分どら焼きだ。文章は現在進行形だが、今はあれから2週間はたっている。記憶が次第に薄れていくのだ。というわけで、多分どら焼きを、食べる。

(後日確かめたら、どら焼きではなかった。)

 そしてチェックインし直す。同じ部屋にしていただけた。良かったよかった。

天気は次第に良くなってきた。青空も見えかけている。

昨日の宿泊者はほとんど降りて、代わりに今日、日帰りの登山者が千畳敷から上がって山荘に立ち寄っている。

 再度木曽駒ケ岳

午前の悪天候は何処へやら、すっかり晴れたので私達は木曽駒ヶ岳へ意気揚々と出発した。

昨日と同じくらい晴れてきた。清々しい気分で歩いて行く。やはり一度通ったので、とてもわかりやすく、想像もしやすい。よって疲れにくくなる、と思う。アップダウンの見た目と実体験が重なり、ちょうどいいペースというものができてくる。

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私たちは問題なく2回めの木曽駒ヶ岳山頂に着いた。鳥居で初詣をし、しばし休憩。寒いのは寒い。

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上空の風は速く、雲がすごいスピードで通っている。

前方に太陽が見えるが、薄い雲に覆われて太陽の輪郭がはっきりと分かる。

綺麗だなーっと言い合っていた。

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寒いので降り始める。

先程まで、青空だった空がいつのまにか真っ白い雲に覆われ、その雲が上だけでなく、正面にも広がり、私たちは軽いホワイトアウトに包まれた。ロープはしている。がしかしドキドキもしている。

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木曽駒ヶ岳は広いなだらかな尾根筋なので真っ直ぐ歩くリード的なものは無い。目の前にあるはずの中岳が、見えない。進んでいくと、左手に小屋が見えてきた。間違いなく真っ直ぐに進んでいる事がわかり安心した。さらに進むと、山頂こそ見えないが斜面が現れた。中岳だ。ここも広く緩いので登り口を間違えないように確認してから上がっていく。下りは真っ直ぐに降りれるが登りはステップのジグザグで真っ直ぐ歩くのが実は難しい。いつのまにか違う方向に登ってしまう事がある。目標を遠くに設定して、方向修正しながら登らないといけない。あみだくじのようなものだ。

軽いホワイトアウト

無事、中岳山頂まで着いた。この状況では、こかが一番危険だ。360度、来た道以外が下山できそうなルートなのだ。本来ならば、山荘が見え、その向こうにある宝剣岳を目指し進めば良い。真っ直ぐに。がしかし、その目視できる目標がない。足元のトレースを信じきるほどバカでもない。2回目でよかった。山頂の岩場の感じからルートは2人とも覚えていた。初めてならばどうだっただろう。

斜面を下りていくと、正解です、といわんばかりに左手に小屋が見えてきた。この先に山荘があるはずだ。

しばらくいくと、山荘も見えて来た。ほっとなで肩の肩をなでおろした。

山荘に入ると、宿のご主人がいた。

キョトンとされたが、名前を告げると、ああ、と、わかってもらえた。それくらい外は吹雪いていた。

装備を外し、暖をとる。ホッコリ。

山の天気はと言うが、まさにそれだった。

外は夕日もなく暗くなっていった。吹雪は治ることはなく、さらに激しくなっていった。

あと1時間遅く出発していたら、途中で引き返していただろう。引き返すタイミング、難しかっただろうな。

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 続く

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