山と僕とカメラ

山と僕とカメラ

登山初心者のバタバタ日記

木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 写真撮影編

安心の宝剣山荘

木曽駒ヶ岳からのスノートレッキングを終え、宝剣山荘に戻ってきた。相変わらず狭い通路を通り、食堂に入る。誰もいない。アイゼンを外し、中に上がる。手袋を外して上着を脱ぐ。それらをハンガーにかけて、ストーブの熱で乾かす。天井がガタガタ鳴っている。主人が掃除をしている音だ。昨日とはうってかわって静かな食堂の中、元旦から2日にかけての今日はやはり人が少ないのだろうか。もしかしたら今夜は、僕1人なのではなかろうかと不安になってくる。そのうち何人か増えるだろうと、根拠なく期待しながら昼ごはんの用意をはじめる。そうしていると、チラホラと登山者が、入ってきて休憩を始める。よかった。そして、どうか帰らないで、泊まってくれますように。

前回

 

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ランチ

本日のランチは「牛飯」のアルファ米に無理やりミートソースの素を入れてみる謎のレシピだ。もちろん家で試作などしていない。ぶっつけ本番のチャレンジメニューだ。お腹に入れば一緒なので気にしない。でも本当はおいしくなってほしい。

昨日と同じテーブルで、お湯を沸かす。持ってきた水がもったいないので、外で雪を取ってきてそれを沸かすことにした。いったん中に入ってあったまった後の外は泣きそうに辛い。雪をどっさりコッヘルに入れて、少し水を注ぐ。鍋との接地面を増やす事で、融ける時間が早くなる。サウナが高温でも耐えれるのは、気体だからだ。あれがお湯なら死んでいる。それと同じだろう。

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お湯を沸かしている間、読みかけの「岳」を読む。そういえば昨日第一巻の初めに、アイゼンを外して斜面を登る青年が滑落するという、最近富士山であった例の件が被ったのを思い出す。山に来て、自然は美しいとか健康だとか人は言うし、僕も思うけど、確かにそういう面もあるが、それは人間が勝手に思ってるだけで、自然は人間に気に入ってもらえるように山をそびえ立ててるわけでも、なんでもない。ましてや、安全に登れるように形作ってくれるわけではない。下山して道路を歩くとよくわかる。

とぶつぶつ考えているうちにアルファ米は炊き上がった。ミートソースの粉を入れる。混ぜる。食べてみる。うまくもまずくもない。

これは、もうないかな。

 

続けてコーヒーを淹れる。インスタントだが、カップに注ぐといい香りがする。おいしい。

まさかのGopro フリーズ

撮り終えたGoproを確認する。先程の木曽駒ヶ岳の映像は青空と雪のコントラストの気持ちの良い動画が撮れている。その一つ前の宝剣岳の動画は、ん、おかしい。

ない。なくはないが、出発してすぐに途絶えた。やってしまった。おそらくバッテリーのケーブルが外れていて、低温で止まってしまっている。あれだけ苦労したのに。無念。といって明日、再アタックするほど愚かではないので、すんなり諦める。はあ。。

主人が宿泊受付を始めると、食堂の数人が窓口に並んだ。よかった。あの人達は確実に宿泊だ。

私は、食事前に宿泊の手続きを済ませていた。聞けば同室のようだ。ソロおじさん3人が同室だ。あと、若者一人は別室だ。何か意図的なものを感じてしまう。

暇なので会話をする。おじさん一人は地元の人で、息子が大学卒業するまで、自由にできるお金が限られることを楽しく話してくれた。もうひとりは名古屋のおじさんで消防士。若者はマレーシアかシンガポールだったか、あのへんのルーツの豊橋の青年だった。彼は日本に来て2年だが、もう20座ほど日本の名峰を登っている。若いってすごい。今日出会う前日も乗鞍岳に行ったそうで、明日からは谷川岳に行くらしい。すごすぎる。

写真撮影

天気は若干悪くなってきた。がしかし、「晴天の写真よりも天気が変わる頃のほうが良い」という事になったので、頑張って行くことにした。

完全防寒で外に出る。風が強く、雲なのか、霧なのか、とにかく白色の風が吹いている。

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剣岳は見えたり、見えなかったり。山荘裏手の撮影ポイントに向かう。そこは先程まで晴天だった帰り道に見定めていた場所だ。谷の際なので気をつけないといけない。

撮影場所に付き、雲が切れるのを待つ。たまに見える山頂部を意識してじっと見つめておく。そうしないといざ張れた瞬間にカメラをフレーミングできないからだ。雲が切れても5秒ほどでまた雲の中に山は消えてしまうのだ。

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体に吹き付ける風は谷からなので、向かい風だ。座ると踏ん張りがきかないし、いざ撮影のタイミングというときに惜しい数秒を使ってしまう。ゆえにじっと耐えながら風に向かい合って立っている。だが時折、風が急に反転することがある。向かい風に体を預けて前かがみでていると、急に背中をドスンと押される風に変わるのだ。目の前は崖なので、それは恐ろしい。こうやって稜線でふっとばされるのだなと、痛感した。前後左右の風を意識しながら、じっと時を待つ。

カメラはSONYのa7iiiに16-35/F4 低温にも強いカメラだ。

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振り返ると木曽駒ヶ岳の方は青空だ。その青空の空洞が宝剣岳にきてくれればいいのだが、残念ながら風向きはそうなっておらず、東の方に晴れ間は向かっていく。それでもたまに西の空からの太陽が眩しく輝くことがある。それも晴れ間を表しているので、まだかまだかと、カメラを構えて待つ。

待つこと1時間。すっと宝剣岳が目の前に現れた。雲が切れたのだ。いそいでフレーミングし、シャッターを押す。そこにずっとある山なのに、撮り方はスポーツの撮影だ。一瞬を逃してはいけない。

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シャッターを押しながら、構図を変えて撮っていく。ショータイムは数秒で終わった。その後の第二波を待っていたが、宝剣岳はそれ以降姿を表さないので、諦めて撮影は終了することにした。

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山荘に戻るとカメラは一気に白くなった。もうこれで当分は撮影できない。

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 つづく

木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 宝剣岳登頂編

9時 宝剣岳に向かう

出逢った人達と、お別れを言って宝剣岳に出発する。まずは小屋を出てすぐ右手の斜面にそって進む。ここからまっすぐ宝剣岳に向かって登って行く。宝剣岳の容姿は、東側カール部はストーンと斜面がまっすぐそして雪が深く積もって雪庇になってるが、西側はゴツゴツの岩が露出し、険しい表情をしている。風の影響だろう。西側から吹いた風が山を越し、カール側へぬけた時、気圧の差で東のカール側から風が吹き込む。紙の平らにして上の方に息を吹きかけたら紙が持ち上がるのと同じだ。

前回

 

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まずは千畳敷を見ながら雪庇に気をつけて稜線を登る。山頂までの距離は大したことないが、登山のリスクは距離ではない。

踏み跡が無いのでゆっくりゆっくり進んでいく。とりつきまで来ると、その迫力に圧倒される。しかし、引きで見てたほど斜面の角度はキツくない、気がする。

稜線沿いに進んでいくが、落ち方が急だったので、少し戻って巻いて登る事にした。稜線はやめてそのまま夏道らしきルートを見つけたのでそちらを選んだ。やや上に上がりながら、先の岩バックナンバーまでトラバースする。雪山のトラバースは恐ろしい。ステップが2箇所抜けたら落ちてしまう。アイゼンをしっかりと蹴り込むが雪の締まりが悪い。チェーンを掘り起こしてピッケルを引っかけて横這いで進んでいく。

雪に埋もれた岩場に着いた。ここからまっすぐ上に登るのだが、ミックス帯なので、慎重に登って行く。雪が深いと思ってアイゼンを蹴り込んだらそこだけ浅く、岩で脚全体が弾かれる事があるので、ゆっくりゆっくり足を置いていく。たまに出てくるチェーンにピッケルを引っ掛けて登る。だが、そのままチェーン沿いに進むと思っていたルートではなくなりそうだ。右側に巻く道はチェーンはあるが切り立っていたので、そちらには行かず、雪壁を直上する事にした。そもそも宝剣岳はもとより木曽駒ヶ岳もこの時期にしか来たことがないので、夏の状態は知らない。先入観がないのはいい事だ。

雪壁はこれまでで一番急で柔らかかった。両手を決めてしっかりステップを作って登る。下りのためでもある。だが、じーっとしていたらそのうち崩れておちそうでもあるので、サクサクと登る気持ちで慎重に足を上げていく。上を見るとゴールが見えている。20メートルか、それ以下か、それ以上か、分からないが、とにかくあそこに着くまで、同じ動きを繰り返す。パソコンも安定している時に、無理にアップデートしたら調子が悪くなる。あれと同じだ。このペースが今日の今の雪には良いのだろう。足を置くときに下が見えるのだが、それはもう恐ろしい。どこまでも落ちて行けそうだ。だが、風もなく吹雪いてもいない。落ち着いて登っていく。

 

雪壁のリップにピッケルを掛けたとき、安心して少し泣きそうになったのは誰にも言えない。そのまま体を持ち上げて立ち上がる。

向こうには千畳敷が広がり、見渡す限り、雪山が広がる。下には山小屋が見える。高度感は大した事はないが、全く気を抜けなかった。慎重に山頂部に上がる。宝剣岳、まずは登頂成功。

剣岳登頂

写真を撮る。少し時間をもらっていろいろ考える。あまり長居はしたくない。あっという間に天気が変わるのが通常運転の宝剣岳だ。とっとと降りたい。登りたいし、登ったらすぐにでも降りたい山は例え難い。ずっと居たい山もある。でも、ここは早く降りたい。

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ホワイトアウトしたら嫌だ。

雪壁のリップに戻る。いつも思うのだが、身長の分、高さが増し、そして斜面の角度に対して身体が前傾しているので、余計に急に見える。斜面が80度ならば、その上からまっすぐ立って見たら10度分前屈みになっているので実際の斜面より急に見えるのだ、多分。

そしてクライムダウン一歩目を決めるのが一番怖い。しっかり手を伸ばしておけないし、今回は雪がゆるいので片足では支えられない。ゆっくり両足を置いてそして一歩づつ降りる。登りで作ったステップはお役に立たないようでサクサクと崩れていく。マジか、、と、思いつつ、それでもゆっくりなるべく雪をこわさなように降りていく。何度かアックスに体重がかかりそうになった。いつまで続くかわからない雪壁を下りる。まだまだあるが、確実に降りているので、気を抜かず、かつ緊張しすぎないようにリラックスして身体を動かすよう、したいのだがそうは思ってもそうはならない。とにかく雪を信じて降りていく。登りでサヨナラしたチェーンがやや右にあった。届かないので、二歩、右に進み、チェーンをピッケルで引っかける。ようやくリラックスできた。そのままチェーンにピッケルを掛けながら降りていく。何という安心感と、セコ技。これで良いのだ。

あとは自分の踏み跡を辿って降りていくだけだ。とは言えまだまだ足場は悪いし雪壁下りもある。最大の難所を越えれたからと言って、今後無事故である保証は無い。私はよく下山終了直前に足首を捻る。心の緩みは足首の緩み、だ。

焦る気持ちを抑えてゆっくり進んで行く。そのコントロール不完全の心の中心に宝剣岳に登れたという熱いものがあるのがわかる。

切れた崖のルートが、終わり、なだらかな斜面に出た時、安心感に包まれた。そこからの記憶はあんまり無いが、小屋の主人に無事帰ってきた事は報告した記憶がある。これは良い思い出なのだろう。でも、こんなソロ、オススメはしない。せめて2人以上で。

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10時 宝剣山荘到着

小屋に入って装備を外す。時間にして1時間もかかってなかったが、午前中まるまる使った気分だった。

小屋では一人ぼっちだ。今夜、私以外で泊まる人はいるのだろうか。不安になった。

そういえば、ここ宝剣山荘はドリンクが売っているが、水もビールも、同じ300円だ。どうなってるんだろう。重さで値段が決まる、そんな気がする。

落ち着くと、暇になった。

明日はゆっくり下山するだけだし、午後から天気が変わるかもしれないので、木曽駒ヶ岳まで行く事にした。

一旦切ったgoproを再度入れる。バッテリーコードが外れていたので繋ぎ合わせる。

ピッケルは一本で良い。

木曽駒ヶ岳へ出発

晴天の中、今度は先ほど登った宝剣岳を背にして進む。すぐ小高い丘が見えるのだが、中岳という中間の山だ。あの先にまだ見えない木曽駒ヶ岳がある。中岳も木曽駒ヶ岳千畳敷から登ると、斜面は短いのでトレッキングにちょうどいい。ただ、景色が短調なので、振り返って宝剣岳を見る事をお勧めする。という事で、木曽駒ヶ岳は、帰り道の方が楽しい。行きはただひたすら、なだらかな斜面を2回登り、1回降るだけだ。中岳のとりつきに見慣れたザックが2個、捨てたあった。置いてあった。あのテント泊2人のだ。気持ちは大いにわかった。中岳の斜面はどこを通っても大丈夫なくらいなだらかで丸い。その頂上部にその2人がいた。お別れをしたのにまたすぐに会えた。よかった。

今度こそお別れを言って木曽駒ヶ岳に出発した。一旦登った中岳を下りる。ここはぜひアップダウンなしで、トラバースしたいが、冬は危険すぎて正規ルートでは無い。

目の前には既に木曽駒ヶ岳が見えていた。こんもりとした山だ。どこから見て「駒」なのだろうか。

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そうぶつぶつ思いながら進んで行く。程なく山頂に到着。ここには祠があるので、初詣をする。寒いのですぐさま引き換えす。

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思った通り、帰りは宝剣岳を見ながら歩けるのでとても良い。来た道を引き返し、たまに写真を撮りながら小屋の方に戻る。

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今夜も晴れるといいな。

続く

 

 

 

木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 初日の出編

2020年1月1日 元旦

朝、目を覚ますと、部屋は電気がついて明るく、既に同室の人は誰もいなかった。食堂に降りると、宿泊のみんなが外に出る準備をしていた。日の出までまだ1時間くらいはあるが、初日の出を、思い思いの場所で見るためだ。中岳に行くもよし、伊那前に行くももし、木曽駒ヶ岳に行くもよし。私も防寒の用意をしてカメラを持って外に出る用意をする。どうやら天気は絶好のようだ。だが外でじっとしてる行為はとても寒い。持ってきた服を全部着込んで外にでる。寒い。風は強いので、ドローンはやめておく。すぐそこの乗越から日の出は見れるので、その周辺をうろうろする。伊那前岳の方に人が集まっている。そこからはモルゲンロートの宝剣岳がきれいに見える。空は青から赤紫に変わっていく。

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前回

 

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初日の出

乗越の高台にて日の出を待つ。次第に向かいの南アルプスの稜線がキラキラと輝き始める。写真ではなぜか表せない微妙な光だ。その向こうの富士山の斜面が明るくなる。一瞬眩い光が差し込んでくる。日の出だ。

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一斉に歓喜の声があがる。目が慣れると太陽の輪郭が見えた。太陽はぐんぐん登りまさに正月の朝、というめでたい光景となった。

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感慨深いものを感じながらじっと太陽を見つめる。この一瞬はもう二度とこないのだ。これは毎日の事だが、いつもは気にしない。

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一通り太陽が出切ったところで、小屋に戻る。初日の出を拝む、というのはどういう事なのだろう?宗教なのか、民族的文化なのか、いまいち確信がない。

 

 

初朝食

7時30分、ちょうど良い感じで朝ごはんができた。例によって、主人ワンオペの作業なのでみんなで配膳を手伝う。朝はなんと、やはり、去年と同じく、プチおせちっぽい献立だみんなで新年の挨拶をしながらゆっくりいただく。

(写真は去年の朝食。今回、撮り忘れた。)

 

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今日は特に急ぐことはない日だ。こういう日を設けるのはとても稀で贅沢だが、焦って無理して行動するよりもはるかにリスクが低くなるからそ安全面では良い。たしかに予備日1日あれば、他の山にも行けるだろう。だが、今回の目的は一点、宝剣岳登頂なので、3日間で一番状況が良い時に登りたかったので、余裕のあるスケジュールを組んだ。昨日が良くて今日が悪化していたら、昨日登っていただろうし、昨日しか登れないならば、諦めてたかもしれない。今日の午前でまとめて登って麓まで降りる事もできるかもしれないが、それはそれ、万事がうまくいったならばの本当の予備日ができただけだ。

 

剣岳

とにかく、私は、今、宝剣岳に登るにはうってつけの状況を得た。風も弱まっている。

皆は木曽駒ヶ岳に行く準備をしている。天気が良いので皆、昨日行けなかった木曽駒ヶ岳に登るのだ。時間と共に人は少なくなっていく。荷物を全て食堂に下ろして、片隅で準備を進める。goproをヘルメットにとりつけ、これまたヘルメットに取り付けた予備バッテリーと繋ぐ。これで止まらないはずだ。

カメラはザックに入れる。ハーネスにセルフビレイコードを結びつける。メインロープはなし。スリングを数本持っていく。

暑くはならないので、着込む。ピッケルを2本、アイゼンをしっかり確認する。ゴーグル、グローブ、ちゃんとある。

いざ出発。外に出ると、テント組の人たちも出発の準備をしている。主人がちょうどいたので、宝剣岳の状況を聞いてみる。ルートは2種類あって、夏道のトラバースか、稜線沿いの冬道。

状況は悪くないとのことだった。安心。でも過信は良くない。人はぞれぞれ違う。小屋開けの準備で千畳敷から小屋まで毎日アイゼン無しで3往復するというツワモノの「大丈夫」はなかなかハードルが高い。

とにかく、天候が悪くなる前に出発。Goproも回っている。ゴーグルのヒーターもランプが点灯している。

 

つづく。

 

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木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 年越し山荘編

木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 年越し山荘編

 

宝剣山荘

剣岳のすぐ脇にある2階建ての山小屋、宝剣山荘。今回の入り口はおそらく冬季用の非常口で、いつもなら広い掃き出しの扉が玄関となる。そこはまだ板に覆われていた。その外はまだ雪にうもれている。狭い通路、まるで炭鉱のような通路を身をかがめながら入る。何度か頭をぶつけ中に入った。暖かい。ストーブが部屋を温め、温度差は30度ほどあるだろう。早速装備を剥がす。アイゼンを外すのがもどかしい。この山荘はベニヤ板までしかアイゼンで入ってはいけないことを覚えておこう。アウターを干し、手袋も干し、軽くなった体でストーブの近くに椅子をおいて座った。一回はほぼ食堂になっていて、食事タイム以外は休憩の間として使われる。ちょうど25mプールぐらいの空間だ。そこに15ほどのテーブルが有り、折りたたみ椅子が備わっている。入口近くは土間のようなコーナがあり、物干しとストーブがある。ベンチもあるし岳も全巻ある。ドラゴンボールもある。続々と人が入ってくる。この中の何割かは宿泊者で、残りは日帰り登山者だ。外は非常に状況が悪い。見たところ、木曽駒ヶ岳の方に向かう人はいないようだ。いや、もしかしたらいたかもしれないが、小屋に入ってきた人たちでもう一度外に出るような動きをする人はいなかった。私も本来なら荷を整理して木曽駒ヶ岳までののんびりしたスノートレッキングをするつもりだったが、天気が悪すぎるので良くなるまで待機することにした。皆もそうだろう。

 

前回

 

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昼ごはんはカレーメシ

荷物からバーナーとシェラカップを出し、湯を沸かす。昼ごはんだ。今回のバーナーはスノーピークの小さいあれだ。出発準備当初は燃費効率のためにジェットボイルを考えていたが、かさばるので小型軽量の仕組みに変えた。メニューはNISSINのカレーメシだ。カレーメシ自体はかさばるので、アルファ米の袋に詰め替えて持ってきた。これはとてもいいアイデアだった。ご飯自体も数分で戻るし小型になる。今後もこのやり方は使われるだろう。

お湯がわき、カレーメシに湯を注ぐ。もちろん湯量も事前にメモし、マジックで袋に書いている。

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まさに準備万端。人は食べるために生きていることがわかる。

数分後、出来上がったであろうカレーメシをスプーンでかき混ぜる。さけるチーズを裂いて投入する。完成。

下であったツワモノクレイジーテント泊の二人組と会話できた。彼らも大阪から来たようだ。

食べながら会話を続ける。うまい。うますぎる。

彼らは今からテントを張らないといけない。あの過酷な状況で。おそろしい。

カレーを食べ終え、コーヒーを飲む。インスタントだが熱い飲み物はうまい。きっと白湯でもうまい。

宿泊手続きが始まる。結構な人数が宿泊しそうだ。よかった。

みんながのんびりご飯を食べている。外に出ていく者はやはりいない。明日が晴れるか心配だ。予報は良いようだが、ここは山だ。信用ならない。

 

ザックを2階の部屋に持って上がる。4名でギュウギュウの部屋に3名が泊まることになった。こんなもんだ。広い広い。

下に降りる。大してすることがないので、何もしない。ただダラダラとお喋りをする。ビールも飲んだだろうか。

2時をまわる頃には人は整理され、宿泊者のみとなった。40人ほどだろうか、想像以上に多かった。

テント設営

外でテント泊の二人組が気になったので、様子を見に行く。

テントは張れていた。よかった。スノーブロックを積めるだけ積んで風に備える手伝いをした。近くにソロテント泊の若者クレイジーガイがいた。彼はまだテントが張れていないようで、ちょうど私のテントと同じものだったので設営を手伝った。ペグが雪用がなかったので、コンビニ袋をかき集めて渡した。ここもスノーブロックを積めるだけ積んだ。他にすることがないときは、何事でも夢中になれるタイプなのか、私は。

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無事両者とも設営が完了したので小屋に戻る。天国だ。

雪山のテント泊が初めてだという二人組の一人、こんな過酷なデビューとはなかなか万能の神もいたずらがすぎる。ただ、どうしようもなくなったら、この小屋にはいいってくればよいのだから、神は優しいのかもしれない。極端だ。

夕方近くになり、ご飯の準備が始まる。昨年と同じならば、めちゃくちゃ量が多いはずだ。なので、昼後以来、おやつなどは口にしていない。どう考えても食べ切れなくなることは明確だ。外はいつの間には天気は回復していた。明日の日の出は間違いない。テンションが荒ぶる。

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大忙しの宝剣山荘

厨房で主人一人が準備をしている。噂ではもうひとり来る予定だったが、これなくなったので一人で切り盛りしているらしい。ありえない。すさまじい手際の良さでご飯の準備が整っていく。彼一人が配膳まで全てやっていたら、ご飯をよそうまで時間がかかりすぎる。そう察した食いしん坊の人たちが配膳をかって出た。小さなカウンターに出されたご飯をどんどんテーブルに運ぶ。そう、ここは自衛隊駐屯地、一人のためではなく皆のために。と見せかけて早くご飯が食べたいだけなのだが、なぜか、主人が感謝してくれて、ビールを一本頂いてしまった。

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最後の晩餐

魚のフライ、メンチカツコロッケ、サバの味噌煮、ビーフシチュー。やはり、とんでもない量だ。

2019年最後の晩餐をいただく。

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同席の人たちと楽しい会話をする。話題は絶対にあるなと思ったがやはり、富士山滑落の件だ。良い悪いとは特に思ってないが、自分ならどうしただろうという感じだった。一人のおじさんは元旦に富士登山をおこなったことがあるかなりのツワモノだった。ほかにもありえない距離の縦走をしたという。下には下がいるが、上にはもっと上がいる。そんな気持ちになった。

満腹この上ない状態で食事を終えた。本来の「宿泊」ならこのあと温泉とかになるのだが、ここは吹雪の山荘、することは飲酒と雑談と、読書しかない。もちろん写経などしてるひとなど一人もいない。

テレビは付いていたので雑音代わりにはなった。テント泊の人たちが食事を始めたので、持ってきたワインとおつまみを持っていき混じった。

そのご飯がかなり凝っていて、アヒージョや、ローストビーフなど、おおよそ山では食べれないものがずらりとテーブルに並んだ。だがしかし、いは満腹なので、目で味わいながら酒を飲んだ。

そういえば、ソロテントの若者がいない。天国へおいでと声をかけ、彼も席に入った。空腹だったので、美味しそうにパクパク食べた。

もうすぐ12時になろうとしたとき、あのソワソワ感が食堂を包んだ。今年はにぎやかだ。その賑やかさをひっぱているのが「2020」と形つくられたメガネを掛けている若者たちだった。場が和む。ストイック過ぎるのもにぎやかすぎるのも、嫌なので丁度いい。

年越し

カウントダウンが始まり、2020年になった。

あけましておめでとうございます。と乾杯をしあう。なんと幸せな空間だろう。まいにちが年越しなら人間は戦争をしないかもしれない。

ちなみに水色のフリースのおじさんが、厳冬期富士登山をした人だ。

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落ち着いたところで席に戻り、あらためて新年の挨拶をする。

ダラダラと時を過ごしていると、消灯の時間になったので、慌てて片付け、私は2階へ、彼らはテントにそれぞれ向かった。

そこからは、グッスリ寝た。星の撮影もしたかったが、また明日の夜もあるので、撮影しないで寝た。後々後悔することとなすことなど、このときの私はもちろん知らない。

 

続く

 

 

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木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 登山開始編

木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 登山開始編

 

 前回

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 バスチケットとロープウェイチケット

昨年と同じタイムスケジュールだが、前回と違うのが今回はチケットをバラで買ったので、登山バスとロープウェイのチケットを菅の台で買わなければならなかった。前回は大阪から千畳敷まで一枚のチケットで行けるものを使ったのでその必要はなかった。

そして去年は多くの人がバス停に並んでいたように記憶している。そのため、バスは8時15分だが、早めに行ってチケットを買って並んでおこうと思ったのだ。

このことは予想通りだったのだが、まだチケットブースは開店しておらず、かつ、前回と比べて人もまばらだった。もう少し遅くても良かったと思う。

チケットブースの前の階段に座り、空いた時間で準備を進める。ゲイターを履いてギアを外につける。ヘルメットはバックパックにつけるより満員バスならば、かぶったほうがザックを持ちやすいはずだ。トイレもあるので済ませる。

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それでもまだ時間があった。最近ハマってる詰将棋のアプリをする。3手詰なのになかなか難しい。

基本的に相手玉将の周辺1マスにすべてこちらのコマを利かすわけだが、そうできないマスは相手のコマをうまく誘導してそこに導く。これが結構難しい。

そんなこんなでチケット売り場も開いて無事購入完了。人も増えてきた。バス停に並びバスを待つ。

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大きな虹が歓迎

まもなくバスが来るというときに山の方に大きな虹ができた。そう、この日は朝から霧が濃く、次第に晴れつつも湿気の多い日だったのだ。上の方は流石に雨ではなく雪だろう、だが晴天は望めないかもしれない。

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バス待ちをしている中に明らかにテント泊のバックパックを背負っている二人がいた。CRAZYガイたちにエールを送る会話をする。

バスが来た。直ちに乗り込む。

バスは数名をバス停に残し、出発した。だがおそらく彼らを運ぶ臨時便が出ているはずだ。でなければ1時間待たないといけない。そんなつらい感じの残されかたではなかったように思えたからだ。

バスはつづら道を駆け上がりどんどん登っていくが、雪は非常に少ない。

ロープウェイの乗り場についた。だがしかしここでも雪はほとんどなく、雨上がりの様相だった。不安で仕方がない。

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ロープウェイの出発時刻も計算されているので程なく出発。もう半ば諦めた精神状態で外界を見る。やはり雪は少ない。地元の人にとってはとても良い。過ごしやすい冬で良かった。雪なんて春までたまる粗大ごみだ。次第にガスが濃くなっていく。ガラス窓も曇っているので、真っ白で何も見えない。

千畳敷に到着

荒んだ気持ちでいたせいか、ロープウェイ山頂駅、千畳敷につくとそこは猛吹雪だった。ドキドキしながら最終準備に取り掛かる。行動食のパンを一つ食べる。上着のポリゴン4は着ないでザックの上部に詰める。ゴーグルをつける。電熱ゴーグルなので曇ることはない。goproはガスガスなのでつけない。トレッキングポールは役に立たなさそうだ。アイゼンを装着し出発。

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9時50分登山開始

真っ白。看板がかろうじて見えるだけでどこがルートか、初めてなら見当がつかないはずだ。

視界は10メートルはありそうだ。先に行く人や、帰ってくる人が小さくは見えないが、近くにいると見える。

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建屋右手の坂を降りて千畳敷に出る。広いなだらかな場所なので、方向がつかめない。2方向に人がいて、一方からはこちらに向かってきてるので、上の状況を聞いてみたところ、彼は迷って引き返すところだったようだ。もう一方の人のトレースを見つけながら進む。なんとなく点々と人が先に進んでるのが見えた。目を放すと人影が消えてしまう。足元は粉雪がつもり、トレース以外は埋まる。トレースでも埋まる。

やや迷走

ようやく斜面にたどり着いたが、先のほうで停滞している。嫌な予感というか、状況は予感ならずとも悪い。GPSがそういえば先程からピーピーなっていた。ただのアラームかと思っていたが、もしかしてと確認すると、ルートを大きく30メートルほどそれていた。このカールはすり鉢状なので、大きく迷うことはないが、ショックだった。大きな声でルートの間違いをそれぞれ共有し合う。こういうときは恥ずかしがってはいけない。先頭の人も手振りで確認できた。コースに戻るべく斜面をトラバースする。私の後ろについていた人には申し訳ないことをした。しばらくして、目指す谷が見えてきた。一安心。コースにも復帰した。

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あとは延々と登るだけだ。頂上の尾根は全く見えない。淡々とグラウンドを周回し、誰かが「あと1周」と言われるまで走り続ける気持ちに近い。

前の人のトレースは間合いを開けると消える。それほど雪に締まりはなく、崩れていく。

 

埋まる斜面

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斜面の傾斜はしいだいに角度を増していく。これがきつい。まるでサラサラの砂丘を登ってるようで、埋まってしまって上に登れない。そういうのを何度か繰り返していくと、視界に柵のようなものが見えた。あれは間違いではなければ、乗越浄土の柵だ。いつのまにここまできたのだろう。なんだかワープしたかのようだ。

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先頭集団は、何故は柵の方ではなく、左手のストイックな斜面を選択した。まじか、、、、。

私もそれに追従することにした。記憶はないが、しんどかった。

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11時20分乗越浄土到着

斜面を乗り越え、まさに乗越浄土についた。そして予想通り、猛吹雪。さっきまでかいた内部の汗が冷えていく。この先にあるはずの宝剣山荘を目指す。もちろん左手にそびえている宝剣岳はガスで見えない。何度もいうが、ガスはもともと気体を意味するので「ガスで見えない」は表現上おかしい。

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宝剣山荘についた。天国についた。

入り口は左手のトンネルのような低い横穴から入っていく。

中に入る。暖かい。天国だ。

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つづく

 

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木曽駒ヶ岳 宝剣岳 年末年始 厳冬期登山 準備編

年末年始は木曽駒ヶ岳

昨年と同じく今回も木曽駒ヶ岳にある宝剣山荘で年越しをすることにした。

例によって駒ヶ根までのバスに乗ってお気楽にアクセスの予定だった。だがしかし、年越しをどこの山ですごすか迷っている間に、直行バスが売り切れてしまったので、今回は行きは大阪から名古屋経由で駒ケ岳に行くことになった。そう、年越しに開いている山小屋意外と多く、八ヶ岳などは盛んに空いている。他にも燕岳、西穂高も年越しの営業を行なっている。にぎやかすぎるのが苦手な人は、木曽駒ヶ岳の宝剣山荘がおすすめだ。カウントダウンなどのパリピなイベントはない。

 

2019年12月30日10時半

私は大阪駅にいた。西側にモンベルやその他のアウトドアメーカのモールがある。しかしまだ営業前だった。どうしてこういう店は11時オープンと決まっているのだろうか?幾人の山野郎が、忘れ物を買いに来てうなだれて帰ったことか。私も特に忘れ物はないのだが、うなだれて踵をかえした。

バス停はこのアウトドアショップモールの前にあるのだが、まだ時間は早く、バスは来ていない。昼ごはんを済まそうとその向かいのラーメン屋行ったが、何の因果かこの店もまだ空いてなかった。例によって11時オープンだ。そうして、やはり、スターバックスへと誘われていったのであった。

コーヒーを飲むという時間潰しをして、11時になり、ラーメン屋へを向かった。このラーメは博多ラーメンで、とても美味しい。とにかく一番硬めで麺を仕上げてもらう。クリーミーかつ割とあっさりしたこのラーメン、「一幸舎」という、店だ。かつて博多店で食べ、「また食べたいな、また博多に行ったら食べよう」と思っていたところ、なんと大阪に堂々と営業していて歓喜に沸いたのは3年前だろうか。それ以来、食べても神様に許してもらえそうな日はこの店に行く。

替え玉をするという煩悩と戦いながら、スープを飲み干した。飲み干したら私の勝ちだ。もう、替え玉はない。

そんなこんなで店を出る。アウトドアショップも開いている。まだバスは来ていない。軽くモールを巡って知り合いの店員さんに今年一軽いトークをすませる。

特に必要なものはないが、欲しいものはある。そんな感じでバス停に戻る。

ちょうどバスが来た。ザックをバスに預ける

今回のザックはHyperlitemountaingear社の「PRISM PACK」だ。

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40Lにして余裕で1キロを切るこのザックは防水性も高く。雪山の登山にもってこいだ。アックスも挿せるので申し分ない。登山の荷物は私だけのようだ。そういえばこれはただの名古屋行きのバスだった。合計金額からして、新幹線でいくのもシャクだったのでバスにしたのだ。バス車内は若者が殆どだ。そりゃそうだ。

12時。

バスは発車し、15時を過ぎて名古屋に着いた。到着が予定より遅れている。大変だ。

次の名古屋発駒ヶ根行きのバスは15時30分だ。そしてバス停は同じではなく、大きな名古屋駅の反対側にある。しかも駅ビルの3階にあるという。謎だ。いや、なんだかそんな場所に行った事がある気がする。思い出せない。

とにかく小走りで、次のバス停に向かった。人質はいないが、メロスな気持ちだった。待ってろよ親友。「何かあればここにかけろ」とバス会社のメールに書いてあった。信号待ちの間にその番号にかけた。

私「来たバスが遅れたので、そちらに着くのがギリギリになるか、微妙なので電話しました」

相手「そうですか、でもバスは定刻に出発します」

私「ありがとうございます、失礼しました」

なんの甲斐もないやりとりをしてしまった。今年一意味のない電話だった。

なんとかギリギリに間に合った、つもりだった。だが、時間はまだ数分あり、その時間でコンビニに行き次の日からの予備食を買う。

寿がきやの本拠地だけにカップ麺が立ち並ぶ

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バスに乗り込む。登山者は多少はいただろうか。確認できなかった。

15時30分名古屋出発。

予定通り18時17分駒ヶ根到着。

商店街にクリスマスの名残かイルミネーションが光って先まで続いている。がしかし、人は殆どいない。年末の商店街とは思えぬ静けさだ。キラキラした通りを進み駅に向かう。駒ヶ根駅はロータリーがあり、タクシーが誰かを待っている。その一台に乗り込んで、ホテルに向かう。去年泊まった「駒ヶ根プレモントホテル」だ。タクシーの運転手に明日の迎えを手配してもらった。様子を見て7時。ホテルに着いた。一般的なビジネスホテルだが、若干平均より綺麗だ。

 

駒ヶ根プレモントホテル

チェックインをすませ、部屋に入る。多少タバコ臭かったが、空き部屋はもう無いだろうと判断し、そのままにした。

明日は、シャトルバスに乗りすぐさまロープウェイに乗る。そしてそのまま出発なので、着替え、あらかたの装備は既に装着した状態でホテルを出るのが良い、と思う。知らんけど。

幸楽苑

準備が終わったら外出だ。このホテル街道近くにラーメン屋がある。またラーメンだ。最後の晩餐になるかもしれない、好きなものを食べるべきだ。

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10分ほ暗い夜道を歩くと、見えてきた。「幸楽苑」と書かれたラーメン屋だ。なんて事はないただの安いどこにでもチェーン展開している普通のラーメン店だが、なぜかここのラーメンに軽薄ながらも深い味わいを感じる。

年越しに特別メニューがある。迷わずそれを注文。去年は売り切れていたが、今年はあった。素晴らしい。

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それと、餃子とビールを。間違いないラインナップだ。

商品が次々と目の前に到着する。ビール、美味い。餃子、美味い。そしてラーメン、やはり美味い。

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周りも楽しげにラーメンを啜っている。なんでこんな年末にラーメンなんか食べているのだろう。いや、自問ではない、彼らだ。他にもあるだろう、もっと美味しいものは。いや、そうではないのだ。年末、平日にかかわらず、自然とここに向かってしまうこの軽薄ながらも深い味わいに皆もやられているのだ。

そう感銘を受けながら、完食した。

準備

程よく満腹になった。ここに来る時に見つけたディスカウントストアに水やビールを買いに行く。去年こんな店はあっただろうか?思い出せない。思い出は全部記憶しているが、記憶は全部思い出せない、という名言がある。

そこに入り、ビール1本と水2リットルを買う。ビールは今夜飲む分、水は明日からの分だ。山荘では水は有料だ。雪を溶かせばいいのだがそれでもガスのコストが高くくつ。

ホテルの部屋に戻り、明日からのおつまみを1つ拝借して今夜の酒のアテにする。

飲みながら、明日の準備を続ける。なんと、水は蛇口から飲料可能の水が出るようだ。しまった。アルプスの美味しい水をここで汲めばよかった。

ザックには大体詰め方が本に書いている。下から軽いもの、上にに重いもの、というやつだ。だが、実際はそうすると不便になる。底の方にダウンジャケットなどがきて、緊急時、非常に取り出しにくい。私が思うベストは、次のチェックポイントまで必要で無いものから下に入れていく、だ。そうすることで、山荘での飲食物や、食器が下に、レイヤリングや、グローブ、カメラが上に来る。多少アンバランスでもテントもシュラフも1週間分の食料も積んでないザックなどでは、上下のバランスなど無いに等しい。雪山、吹雪の中、ザックを開け、外に置いた物は、全て遥か彼方に飛んでいく。

次第に眠気が発生し、この日を終える。

 

 

12月31日朝5時

起床。その直前に目覚ましが鳴った。かけててよかった目覚まし時計。寝ててもしょうがないので、早めに起きる。適温のシャワー浴びて着替えをすます。

テレビをつけると、見慣れないテレビ番組が流れている。ここは長野県駒ヶ根市

冬のレイヤリングが十二単のように重ね着が多い。

とはいえ、今回は千畳敷カール内は無風に近い可能性が高いのでそこまで防寒でなくてよいはずだ。

レイヤリング

アンダー

ファイントラック ドライレイヤー

ファイントラック ラピッドラッシュ

ファイントラック ドラウトクローパンツ

MAMMUT  ノードワンド HS FLEX

 

ラピッドラッシュは沢用なのだが保温性に優れていそうなので今回導入した。結果を言えば全く問題なし。

 

トップス

 

ファイントラック ドライレイヤー

モンベル スーパーメリノウールシャツ

モンベル シャミースジャケット

ファイントラック ポリゴン4ジャケット

ファイントラック エバーブレス アクロ

 

ポリゴン4 は初投入なのだが、軽量且つ抜群の保温性で、とても良いかった。

 

グローブ 

モンベル ゴアテックスグローブ

マジックマウンテン ヒマラヤングラブ

 

ヒマラヤングラブのみだと通気性が良すぎてすぐに皮膚が冷えてしまうので、オーバーグローブは外では必須。

 

バラクラバ  

ファイントラック 

このバラクラバは立体構造で、吐く息が素直に出ていき、ゴーグルを曇らせない。間違いない一品だ。

タクシーで菅の台へ

装備をまとって、荷物をまとめる。6時半の朝食に合わせてチェックアウト。

朝食はバイキング式でしっかりと食べる。

7時前にタクシーが来た。タクシーに乗り込んで「菅の台バスセンター」まで行く。

料金は1690円(赤穂タクシー0265-83-5221)

ものの10分ほどで到着。

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さて、いよいよ出発だ。チケット売り場はまだ開いていなかったので、しばし待機。

 

つづく。

 

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海外撮影 ATAカルネのお話

今回イタリア10日、フランス7日を撮影で行ったりきたりした。機材が高額になるとのことで「カルネ申請」をすると制作会社からの申し出があり、書類作成をした。

ここで初めて「ATAカルネ」の存在を知り、説明を受けた。「ATAカルネ」簡単にいうと、高額な物品の国家間の移動は通常税関の検査があり、関税がかかる場合がある、その場合、一時物品は保留されてしまう。自国から他国に一時的に輸出入し、また自国に持ち帰る等の場合に限り、この通関手続きを予め簡易的に済ませるための書類が「ATAカルネ」なのである。しかも課税された場合の保証金を予めカルネ協会に収めないといけない。帰国し、すべての書類に各国の通関のスタンプがあれば無事保証金は戻ってくる。

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私はその書類にはカメラ、レンズ、三脚、バッテリーなど、充電器やケーブルなどのアクセサリー以外のすべての、製品名、生産国、シリアルナンバー、重量、価格等を記入しなければならない。項目は60以上になった。もちろん全てのシリアル番号を突き止める事は出来なかったので空欄もあった。

さて、出発当日、その書類を持って日本を出国する。いわゆる「輸出」となるらしい。

まずは関西空港の税関を探すところから始まった。すべてが終わってみると、大したことがないのだが、この「税関探し」がカルネを持った人たちをかなり疲弊させることとる。

なので、今回は写真は景色だが、メモ代わりに税関探しについて書こうと思う。

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関西国際空港はさすが日本、かなり親切な空港で、チケットチェックインのときに税関職員を呼んでくれた。だが、結局その人は場所をなんとなく教えてくれた程度でどこかに消えてしまった。が後々考えてもイタリア、フランスで別の部署の人間を呼ぶなんて親切なことは一切なかった。

セキュリティチェックを通過し、出国手続きの手前になんとなくそれっぽいカウンターがあった。そこには中国人がレシートの束をカウンターに次々と置いている。カウンターにいくと、なんとなく分かっていただいたのか、カルネの書類にスタンプとサインを貰えた。担当管は関西弁を交えながら慣れない手付きで作業していた。大丈夫かこの先。

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とにかく無事、1つ目の輸出のサインはもらった。

そして日本を出国、飛行機に乗り、そしてイタリアのミラノに入国。

 

ここで輸入のスタンプをもらわないといけない。

イタリア入国を終え、荷物をピックアップ、あとは税関を探す。通常なら全く不要な手続きのために目の前の出口に出れない。税関、これがなかなか見当たらない。いろんな係員にカルネを見せるがこんなもの見たことがないと、相手にされない。税関だということが伝わると、真っすぐ行って曲がってさらに真っすぐ行けと言われた。そこは先ほどとは違うターミナルの出国ゲートでその角にそれっぽいオフィスがあった。思えば遠くへ来たもんだ。きっと現地の人との待ち合わせ場所はこのターミナルではない。

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恐る恐る税関らしき場所に入る。日本とは違う、警察な雰囲気。大抵の職員は拳銃を持っていたので、警察の管轄なのだろうかそれとも着用の権利があるだけか。

カルネを見せると、ここであってたらしく、座れと言われた。

荷物はどれだ、機材を見せろ、シリアルナンバーはどれだと聞かれ、素直に応じた。

すべての機材は見ることなく、カメラだけ確認して、あとはサインをくれるそうだ。だが、この書類をあまり記入したことがないのか、なにやら悩みながら記入をし、ようやくすべての手続を終えた。そしてきた道を引き返し、ようやく入国を終えた。

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と、まあ、税関をさがして、記入してもらうのがとにかく大変だった。

今回は、日本出国、イタリア入国、イタリア出国、日本入国、日本出国、フランス入国、フランス出国、日本入国、と8回税関でスタンプを貰ったのだが、イタリアフランスの空港が全て違うため、税関を探すのが毎回の恒例行事となった。

特に大変だったのだ、最後の出国のフランス、シャルル・ド・ゴール空港。ここはだめだ。

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まず、チェックインを済ませ、セキュリティを通る。ここがすべての過ちだった。関所ごとに、税関を探すが見つからないので出国手続きをする。搭乗口近くまできてもそれらしいものは見つからない。今考えれば当たり前のことだが、そのときはよくわからなかった。それっぽい人に聞きまくる。

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空港職員に聞いてもわからないという、あの上司が知っているかもしれないと言われたが、すでにやつには聞いていたので堂々巡りだった。2階に上がれ。と言われるばかりだ。聞き方がおかしいのか。その2階でとうとう1階の「ポリスオフィス」と言わた、じゃあそれはどこだときくと、下のトイレのフロアの小さな出口の外だと言われた。

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そのドアはすでにチェックしていたが、いかにも入ったら向こうからは入れない雰囲気だった。本当にそこか、ときくと、そうだと言われたので、仕方なくその帰れないドアまで行く。向こうは静かな広いフロアで、いかにもなんか違う雰囲気だ。迷っていると後ろからまた別の係官が通りかかり、何してんだこんなとこでと言われたので、このドアを通過して、ポリスオフィスに行きたいんだ。

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でもここに帰ってこれないよね、このドア?と聞くとノープロブレム、と言って私達を率いてドアを開けた。私達は「ノープロブレム」だけを信じてドアをくぐり次の関所へと向かった。まるでドラクエの夜の街の宝探しのようだ。皆てきとうな助言だけして、私達を放つ。関所はまさに入国審査所だった。あの中川家がやるやつだ。

 

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まてよ、私達はすでに出国を済ませている。ここで入国したらもう、出国はできないんじゃないか?と変に疑ったが、もう行くしか無い。二人で良さげな人のところに行き、カルネを見せてこれにサインしてくれるポリスオフィスはどこだ?さらに翻訳アプリで「税関はどこですか?」という画面を堂々と見せると、笑いながらパスポートにスタンプし、通過よしと言われ外に出された、とはいえ、じゃあどうするんだ?と後ろのドアからアピールすると、出て左行って右行ったとこにある。と言われた。その通り歩いた。その先、そこはもう、ただのフランスだった。人名を書いた紙を高く上げるあの場所である。振り出しに戻った。。。

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とそこに警備員みたいなニーチャンがいたのでその人を捕まえて、カルネを見せると、フォロミー的な感じで笑顔で答えてくれた。今回唯一カルネを知っている人だった。

いざなわれて入ったらまさにそこは見慣れた税関だった。ホッとした。

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一通りのやり取りをすませた。ほんで来た道を戻る。あの入国審査官に、ここから入れるのか?と聞くと、無理無理、最初からセキュリティを通ってくれと言われた。まさにふりだしである。時間もない。チケットカウンターを通り過ぎ、私達は大急ぎでセキュリティを通過し、出国審査を終え、飛行機に搭乗した。

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無事日本に帰国すると思いきや、トランジット前の機内に私はスマホを忘れてしまった。こんどはドバイ空港である。またまた右往左往し、スマホを探して届けてもらうべく、カウンター、遺失物受付所、そして搭乗ゲートを回った。

スマホを探して見つけて、届けるには最低2時間、人によっては3時間、更に人によっては、もう無理、機材は動いちゃったから探せないよ。と人によって違う。結局、搭乗ゲートで素早くきくのが良かったような気がした。搭乗ゲートに間に合えば持ってきてくれるというので、そのゲートで待ってたが結局間に合わず、そのまま日本に帰国した。

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さて、関西国際空港、ここの入国税関は2回目なので慣れたもんだ。入国を済ませ、右側の税関カウンターでカルネを見せる。後はサインを貰うだけ。

とおもったら、なんと、フランス出国のサインの場所が違う、日本入国の場所に書かれてしまってるから、サインできない。と言われた。そんな、、私達は何も悪くない。一生懸命駆けずり回って押してもらったサインとスタンプだ。書く場所は各国の 税関職員に任せている。だってプロだもの。でもみんな、慣れない手付きと顔つきで、何か見ながら人に聞きながらやってたような、、この役所仕事の日本の税関が書くべきところが無いということで書類を完成させてくれる気がしない。。。

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と思ったら、なんとか書類項目を書き換えてくれて、空いているところにサインをしてくれてメモ書きをしてくれた「フランスの税関がヘンテコなとこに書きやがったから仕方なくここに書きました」的な。

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こうして私達は無事、カルネをコンプリートすることができたのであった。ATAカルネエストだった。

正式なチケットとパスポートがあれば、空港でぐるぐると出入国できることが分かった。試したのはシャルル・ド・ゴールだけだが。

みなさんも一度申請し、空港を駆けずり回ってはどうだろうか?