山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

六甲山、表から登るか裏から登るか(中編)

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そう、というわけで平日、男二人で、六甲山を登る事になったのである。

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 初めてのルートで、道案内の人が一緒にいてくれるというのはとても助かる。普段、登山ではどんな場所でも単独の私である。分かれ道や、状況が変わったらそのつどポケットからスマートフォンを取り出し、山登り専門のアプリケーション、最近は「アプリ」と省略するらしいが、本来の省略読みの「アップ」でもないなら、それならいっそのこと、かの膝に縫い付けるあのオサレなフランス語系の「アップリケ」でもよかったのではなかろうかと、で、そのアプリを起動させて現在地を確かめているのだが、それはもう、周りを見る余裕もなく、忙しい。ながらスマホ、とはまさにこのことである。幾度と足を躓かせたであろうか。ただし、そのソフトのおかげで地図上の現在地を俯瞰で考えれるようにはなっているのかなと、数少ないソロ登山のメリットを感じてはいた。そもそも、コンパスと地図を持って来ているのに、全く登場しないのは、反省しなければならない。いかんいかん。

二人組、私が先に歩き、おんじが後をついて来てくださっている。後ろは任せたぞ、じい。私は歩調をおんじに合わせてゆっくりと上がって行くことに。こう言うのも慣れてないから、なんだか新鮮。

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しばらく、今回のルートの説明を享受。どうやら、この先、結構な斜面を降りたり登ったりしないといけない場所があるらしい。ほほう、急とはわかっていたが、結構な斜面か。。。

返事をするたびに、振り返ると見えるおんじの姿勢はスタスタと、装備はきちんと本格的のをしている、からして、登山にかなり慣れてはいるが、やや新しいザックと靴、私より少しを経験なさってるのかな。

「登山はもう長いのですか?」

と、まず誰しもが、聞くであろうこの質問から入りました。すると、おんじは

「長いといえば長いけど、若い頃だったからね、最近仕事をリタイヤして、また登るようになったってやつかな、多いでしょ、そういう人、僕もそれですよ。」

なるほど、なるほど、そういうことか。

少し前から思っていたのだが、昔、と言っては失礼だが、三十年ほど前は若者の趣味といえば、登山、というわけではないが、海水浴や旅行など、ダイレクトに体験するものが多かったはずだ。何をいわんやというのは、今の若者にとって趣味はインターネットや、ゲームなどで、疑似体験する趣味が多い、というかそういうのが増えた。とくらべて、昔はそんな手段はないので、実際に出かけたりすることが多かったに違いない。それがインフラの整備とともに、マイカーブームや登山ブームと言われる現象になったのではなかろうか。そして、おんじたちは、その若い頃の経験を生かし、定年退職後に、こうやって、もう一度登山を楽しむのである。なんたる幸せであろうか。ということは、今度私たち世代以下の大多数が、退職した後は暇な時間に何をするのだろうか。することが、「若い頃やった登山」とはならない図式だ。昔取った杵柄といえば、ファミコンに息を吹きかけることぐらいだ。ほんとうに、なにをして老後は過ごすのであろうか。やや不安だ。その頃は、オワコンの、ああ、オワコンとは、終わったコンテンツと言う意味らしいが、なつかしのVRで3Dゲームでもするのだろうか。

そして、このおんじ、こんな平日に来れるとは、きっとお家が近いのだろう、羨ましい。

「今朝何時に起きたのですか?私は4時くらいで、もうすでに眠いですよ(笑)」

と言うと

「何時かな、早かったよ、僕も4時くらいかな」

「えー、早いっすね、近いんでしょ?もっとゆっくりしててくださいよ」

「いや、近くないんだよ、明石のもっと山奥、車できたんだよ」

明石というと、詳しくは知らないが、ここからまだまだ何十キロも離れている。そうか、おんじ、なかなかタフガイだ。

「奥様が、よくお許しになって、いいご関係ですね」

「いやいや、彼女は彼女で友達と白馬の方に一週間ほど旅行に行ってますわ、あっちの方が好き勝手やってるんで、僕は気が楽ですよ」

なるほど、それはぜったいに出かけても何も言われない。素晴らしい、あっぱれおんじ夫婦。

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つづら道を登る。わかるだろうか、いつもは下りで通るので、そこを登るのは、なんというか、しんどい。止まったエスカレーターを登るような気分だ。いや、そこまでではない。とにかく、私はこのつづら折りが嫌いだ。下りの場合だったら、ショートカットで降りていくほどだ。大学時代の友人がペルーあたりに行ったとき、こんな話をしていた。

マチュピチュからの帰り道、バスでつづら折りの道を降りるんだけど、一番上で「さようならー」と声をかけてくれた地元の少年が、バスが出発して、何回かつづら折りを曲がった時に、現れて、「さようならーー」と声を張り上げる。そしてまた、バスがくだったら、また先回りして「さようならーー」と叫ぶ。どうやら、道を通らずに直線で、そう日向小次郎のように直線で降りて先回りしているのだ。なんとも可愛らしいなあと、最終のコーナーを降りたところでバスが止まると、その子がバスに入ってきて、チップを求めるのだと。なんともたくましい子どもたちだろう。そんなことをなぜしっかり私が覚えているかというと、数年前に、テレビでなんとその子達、とはいえ、世代はかわっているだろうが、その子達が「グッバイボーイズ」として紹介されていたのである。彼のいうことに間違いはなかった瞬間であった。そのテレビでは、電気がギリギリ通っているだろう質素な村のなかで、子供達が「しょーーりゅうーーけーーん!!!」といいながら、プレステでストリートファイターをやっていることは、紹介されなかった。惜しいぞ、取材陣、もう少しでもっと面白いネタに。。。

(まさかの明日へ続く)