そろそろ関西の低山も涼しくなってきた。というわけで、初めての霊仙山に行くことに。
霊仙山は関西を代表する山の一つ。滋賀県の東部にあり、鈴鹿山脈の北端に位置する。伊吹山の向かいにあり、なだらかな山容の頂上部はカレンフェルトのカルスト地形。
標高は1,094m。
今回は一泊のテント泊、この山には宿泊施設の山小屋はないので、水の準備はしっかりしておかないといけない。
いつも関西の山登りは日帰りなので、朝イチ出発と決まっているのだが、今回は一泊なので第二便、といったゆっくりした出発。
今回はソロテント泊、荷物もそれなりに多い。ただし、天気は良いようで、テントはいつものカミナドームではなく、LOCUSGEARのクフ。これはいろんなモデルが有るのだが、私のはタイベックスのタイプ。柱はトレッキングポールで代用でき、やや軽量化できた。
大阪駅から新快速に乗り、米原駅へ。ここまでは伊吹山に行くのと変わらない。そこからは、バスの乗るのだが、実は定期便は終了していて、計画当初は少々悩んだ。醒ヶ井の駅から歩くか、はたまた柏原駅から縦走するか。
いろいろ調べた結果、米原には、なんと相乗りタクシーが存在していた。米原駅をハブにして、様々な停留所に相乗りで乗せてくれる。廃線になったバスの代わりだ。
米原だけに「まいちゃん号」という名前がついている。かわいらしい。
事前に予約が必要だが、そのコースによって最短ルートで運んでくれる。予約は1時間ぐらい前にするとちょうどいい。近江タクシーTEL0749-62-0106に電話をして、「まいちゃん号お願いします」と言う。出発停留所と目的停留所を伝え、名前をいうだけで、後は待てばいいらしい。
しかも値段は一人500円だけ、3000円くらいかかるのに、これはとってもお得だ。
ぜひ、みなさんもこれに乗って霊仙山にいてほしい。
ということで、米原駅につき、近江タクシーに電話をする。
電車内では電話できなかったので、暫く待つことになるだろう。電話をかけると、おそらく、定期の時間を少し越えてしまっていたのだろう、1時間ほど待つことになった。
次回からは、時刻をあらかじめ決めて出発前に電話予約をしよう。
この米原駅はレンタサイクルもしている。ここで借りて琵琶湖散策だろうか。
米原駅の東出口から出発なので、その付近に唯一ある喫茶店にて時間を潰す。1時間でお得な別案はない。待てばいいのだ。なんてったて今日はテント泊だ。まだ朝の八時半だ。
喫茶店にてモーニングをいただく。思わぬ食料ゲットに大喜び。これで行動食が担保できた。
一時間の後、停留所に戻る。目印は道路に書かれた「まいちゃん号」の文字。
例のまいちゃん号がやってきた。本当に普通のタクシーだった。
名前を呼ばれ、荷物を載せ、中に入る。運転手さんが言うには後二人乗るそうだ。というわけで、前列シートに座る。暫く待つとその二人も乗ってきた。
出発だ。タクシー相乗りは初めてで、なんというか、新鮮。
目的地は醒ヶ井養鱒場。「養鱒場」これをなんと読むか、ここでやっとわかった。「ようさんじょう」だった。後列の二人は登山スタイルではないので、この養鱒場で楽しむのであろう。きっと、釣りとか、食事とか、バーベキューとかできるんじゃなかろうか。私はこの醒ヶ井養鱒場から出発し、榑ヶ畑登山口に向かい、そこから出発。この「榑ヶ畑」もなんて読むのだろう。
タクシーは無事に到着、ほかの二人は想像通り、養鱒場に向かっていった。
ありがとうまいちゃん号、帰りもよろしく。
ここから1時間ほど車道を歩き、登山口に向かうのだ。
天気はとても良く、青空が広がっている。前回の涸沢とは雲泥の差だ。車が何台も通過する。この先は登山以外で行く目的はない。今日は賑やかのようだ。
木漏れ日が綺麗だ。木漏れ日というのは丸い形をしているが、これは虫食いの後ではなく、太陽の形だ。パパさんは覚えておくと、息子さんに自慢できる。ちなみに日食中の木漏れ日も、綺麗に日食しているので見ておくと良い。
登山口の途中でも駐車している。これは相当人が多いな。
一時間、きっちり一時間後、登山口に到着。車がいっぱい駐車していた。やはり、今日は晴れた土曜日、登山日和だ。
時刻は10時半、日帰り登山にしては遅すぎる時間だから、車はあれど、人はいない。
では、出発。
早速、暗い谷に入り、沢を登っていく。杉林だ。
暫く行くと建物が出てきた。「山小屋かなや」である。ここは営業しているのか、若干不安である。人を寄せ付けないオーラを発しているわけではないが、なにかそういった雰囲気だ。
一応テント場みたいな場所もあるが、ここでテント泊をする人はあまりいないだろう。
がしかし、登山案内は、しっかりしている。昔は流行っていたのだろう。
しれーっと通過し、ここからは若干の斜面になる。とはいえ、しんどい坂ではない。
すぐに峠に出る。「汗フキ峠」と名前がついていた。まったく汗は出ていない。命名した由来がいまいちピンとこなかった。
ここからは霊仙山に向けて一気に登っていく。この登山道が、一番楽なショートコース、ということはどこかで急登があるのだが、それがこの峠からか始まり、暫く続くようだ。
峠からは谷道ではないので気持ちが良い。このコースは、なかなか良い。標高を上げるに連れ、見晴らしも良くなり、涼しくなってきた。冬は樹氷のトンネルが期待できる。
しだいに道がぬかるんできた、非常に滑る。ヌルヌルだ。そしてそこが一番の急登ということもあり、降りてくるおじさんが転んでいた。下りはここは危ないな。もし、別ルートで帰れるならそれも一考だ。
だが、そこを抜けると一気に樹林帯はなくなり、白い石の大地が見えてきた。空も見えてきた。
なんと心地よいのだろう。素晴らしい。こんなにお手軽に見事な景色に出会えるとは、さすが霊仙山、人によると伊吹山よりも好きだという、その気持がわかり始めてきた。
白い岩の間を抜けてずんずんと登る。カレンフェルトという状態らしい。石灰岩なので、削られやすい。ここはもちろん昔は海で隆起したのだ。伊吹山と同じだ。
暫く行くと、登りはなくなり、広い大地のような景色が広がっている。そこに3つほどの丘がある。その一つが、霊仙山の最高峰だ。なんとも不思議な光景だった。
その景色の中には池と鳥居があった。その際でおじさんたちが酒盛りをしていた。麓の張り紙でお祭りの準備をしています。と書いていた。そのおじさんのようだ。しめ縄がきれいに巻かれていた。
登山客は張り巡らされた登山道を思い思いに歩いている。一本道ではないのだ。あちらの山、こちらの山にそれぞれ登れるようになっている。私は地図を確認し、とりあえず、最高峰へ向かった。
つづく。