夕方の西穂山荘のご飯
連休の小屋は大賑わいだ。それに加えて生憎の雨天で急遽テント泊から小屋泊にかえた人たちもいるだろうか、時間を2つに分けての夕ごはんのようだ。私達は17時からで18時からの組もあるようだ。
ご飯はアジフライとハンバーグ。昼の登山があまりカロリーを使っていないのか多く感じる。でも明日のこともあるのでしっかりいただく。なぜだろう、美味しいと、多くても全部食べてしまう。
前回
天気予報
食事中に明日の天気を西穂山荘の名物気象予報士の方が解説してくださった。
ネットの天気予報よりもより細かい説明によると、朝早くは天気は回復し、上に上がれは雲を抜け、もしかしたら雲海が見えるかもしれないとのこと。食堂じゅうがワッと賑わった。
取材陣は空腹を抑えながらインサートを撮りまくっている。お疲れ様。
明日の準備
食事後は、明日に備えての準備、明日は3時に起きて4時に出発ということになったので、明るいうちに準備を済ませておく。
西穂山荘には乾燥室があるが、多くの湿った服で乾燥しきれていない。朝まで吊るしておく。プラティパスいっぱいに水を汲んでおく。寝床には着替えとヘッドライトをおいておく。
あらかたの準備が終わると、程よい時間になってしまったので、寝にかかる。
当然相部屋なので別グループもいるが、その人達も早々に寝ようとしているようだった。その中のひとりのが、半分寝かけている別の人に携帯の着信音を切るようにと訴えているが、当の本人は無理やり起こされたので、意味不明の回答をしていた。六百山というこの部屋に謎の笑いが漂った。
着信音が無事消されたようで、部屋はシーンと静まり返った。
よく寝た。
ここは自宅ではなかろうか、という目覚めだった。私の携帯電話のアラームもうるさい。なんとか一小節目で切ることができた。皆、おのおのの夢の合間になぜか「瀬戸の花嫁」のBGMが奏でられたであろう。すみません。
起床
3時、暗闇の中、着替えを済ませる。廊下に出ると、すでに数組が準備をしている。天気はどうだろうか。少し前に目が覚めたときには、まだ降っていたのだが。
天気を気にしても仕方がないので、淡々と準備をする。乾燥室のものもすべて乾いている。本日は上下レインジャケットでスタートする。
上はモンベルのバーサライトジャケット、圧倒的な軽さ。正直ずるい。
下はファイントラックのエバーブレスレグンパンツ、これまた軽量コンパクト。
難点が一つだけ、この組み合わせ、上下ともポケットがないので急な小物を収めるのにやや不便なことぐらい。あとは完璧。
出発
準備完了で、4時出発。いざ西穂高岳へ。7時頃到着予定。
雨は降っておらず、予報通り、ありがたい。このままスカッと晴れて朝日でも出てくればいいのだが、そこまでは期待してはいけない。
昨日、下見で歩いたので暗闇でも大丈夫だ。丸山まで着いた頃にはあたりはもう明るくなっていてヘッドランプがいらないくらいだ。この時間のヘッドランプは個人的な意見だが、早々に消したほうが、照明されてない場所との明暗差で一瞬暗くなるのを防げる気がする。灯すならば遠くに広くが良いだろう。
丸山からもしばらくハイマツの尾根を歩き、やがて岩稜帯になり、独標へとつながる。
独標
独標に着くことにはすっかり日の出の時刻は過ぎて典型的な「曇った朝」、という感じになっていた。
霧の中
ここで、昨晩預かっていた西穂山荘の朝ごはんのお弁当をいただく。ソロで来た人と少しお話をしながら。ご飯はおにぎり2つとおかず少々。ちょうどいい。
ご飯を食べているうちに次第に雲間から晴れ間というか、青空というか、白でない部分が見えてくる様になった。このままスカッと一気に晴れてくれたらいいのに。せめて今年はもう雨はふらないでほしい。
独標から西穂高岳へ行くまでには11峰の峰を越えていかなければならないという意味で、この独標は「11峰」である。とはいえ、距離も短いし2時間ほどなので、そんなに延々と続く感じでもなさそうだ。ここから数字はカウントダウンされていく。
再スタート。一応、はじめての場所なので、いらないとは思うが、ハーネスを付ける。いざ、必要なときに、えっちらおっちら付ける余裕はないはずだ。ここからは、ハイマツの尾根よりも岩稜帯の尾根が増えてくる。昨日の雨の滑りやすさと、ふとした時に出てくる浮石に注意しながら進んでいく。峰を越えるそのたびに現れる数字のペイントを確認しながら淡々と進んでいく。下は雲で隠れているし、もちろん遠くの山々は見えない。それどころか、見えても次の峰しか見えない。高度感がないのであまり怖くもない。ただ目の前に見えた道を進む。
つづく。