雪彦山とは
もう関西はどこもかしこもこも山は雪が溶けてしまっている。今回は方向性を変えてまだ登ってない山に行くことにした。
この「雪彦山」、実は複数の山頂からなる峰々の総称だと登りながらはじめて気がついたのはさておき、今回は電車ではなく自動車で2時間。というのも、登山口が公共交通手段がない場所にある。私たちは5時前に大阪を出て、7時過ぎに雪彦山の登山口へと着いた。
登山口の駐車場は広く、20台ほど停めれそうなスペース。まだ一台も停まってなかったので、私達が一番乗りなのだろう。
最近、暖冬のおかげかで、暖かくなってきたはずだが、肌寒い。
アウターはゴアテックスのハードシェルは持ってきたものの、使うことはなかろうと思っていたのだが、早速それを着てしまった。
いざ出発
今回は、全く雪がないので春山の装備と服装、背中がとても軽い。
出発前夜、パッキングしていたのだが、ザックに入れるものが、なにもないと疑ってしまうほどだ。雪はないのは寂しいが、荷物が軽いのは嬉しい。
ザックの中は、、、、
ロープ(非常時確保用)、スリングカラビナ類、ツェルト、バーナーコッヘル、非常キット、ヘッドライト、食料、久々登場ハイドレーション、タオル、着替え。だけ。
なので、ザックは28リットルのオスプレイのバリアントで充分すぎる。
岩場が多いのでトレッキングポールもいらない。そういうわけで、忘れ物があるんじゃなかろうかというくらい軽い荷物で私達は出発した。
駐車場からすぐそこが登山口だ。丁寧な登山ルートの看板がある。
「いきなりの急登」と書いてあった。。。。。
登山コースは反時計回りの大回りの周回コース。途中、地蔵岳までピストン。この地蔵岳までのピストンが急な斜面でなかなかタフなルートだとのこと。今回の一番のごちそうだ。
詳しい地図が置かれているのを相方が発見した。これは嬉しい。
いきなりの急登
登山口は階段が作られていて、とても整備がよいように思えた。とおもったら、いきなりのとうせんぼの岩崩れ。「この先渡るべからず」とでも言っているようだ。乗り越えて進む。
そしてガレた石の斜面、木の根の階段。登山口から見えた数段の階段のもてなしはどこへやら。
さらに今回、実は2週間ぶりの登山、いきなりの急登というのもあるが、やや心拍が上がるのが早い。情けない。相方もヒーヒー言うてる。
出だしから手を使って登る坂道、標高は1000に満たないので、すぐに頂上に着いてしまいそうな斜度だ。
周囲は恒例の杉林。花粉満載の環境だ。
花粉症シーズンだが、過去にこんな話を聞いた。
彼は花粉症が毎年ひどいのだが、山奥の杉林がある山に入ると、途端に花粉症がその時だけ治まるそうだ。彼いわく、花粉自体が原因ではなく、それに接続する人工の微粒子が原因なのではと仮定していた。
ナウシカも言っていた。
「ここの水は、地下500メルテから上げている水です。綺麗な水と土では、腐海の木々も毒を出さないと分かった。汚れているのは土なんです。この谷の土ですら、汚れているんです。なぜ…誰が世界をこんな風にしてしまったのでしょう…」と。
毎年花粉症にならないか、ビクビクしている私は、「花粉が許容量を越えたら発症する説」を真っ向から否定する。
幼少期、杉の木を揺すって「雪じゃー!!」と浴びるように遊んでいた私は、その瞬間、とうに許容量を越えた花粉を吸ったはずだ。
持続的に息があがってきたが、はじめての山は楽しい、次は何があるかワクワクする、という気持ちが勝る。
この山は、出だしから大きな岩が多い。それを巻いたり乗り越えながら上へと進んで行く。目印は明白で赤いスプレーで必ず書いている。ただし、トラバースの道は細く、油断大敵。
事故は、如何にもという場所ではなく、なんでもないところで起きやすいという。気持ちのゆるみが足元をゆるくする。
冬なのか春なのか
時折、つづらの曲がり角が見晴らしの良い場所になっていて、そこで上がった息を整えるのにちょうどいい。
すっかり暑くなってきたので、上着を脱ぐ。ほんとにもう春だ。いや夏だ。
30分ぐらい進むと、次第に空が広く見え始めた。向こうに目指す雪彦山の山頂の峰々が見えた。そこは展望岩という場所、まだ先は遠いようだ。
登ってしまうと、後は降りるだけなので、登りが遠いのは良いことだろう。しんどいが。
ここからは、岩場の乗り越えが続く。
この山の石は流紋岩という石質らしい。勝手に「花崗岩」だと思っていたがどうやら違う。この石は非常に硬いので、風化に耐えて残り、特徴的なそびえ立つ岩壁になったということだ。
たまにあるのだが、足の裏の土踏まずの部分が、出だし痛くなる。今回も。きっとストレッチせずに運動したからだろう。ジョギングしててもなる。
この山はヒルが多く出るらしい。4月から11月にかけてということだが、ほとんどじゃないか。末恐ろしい。ちょうどいい時期に着たのだろう。まだ朝なのか、ヒルは出ない。とダジャレを思いついた。
暫く進むと、岩場は穏やかになり、真っ直ぐな尾根になった。
いや、こういう道はそんなに続かないのを知っている。
思ったとおり、また斜面に出たが、さっきの休憩もあり、慣れてきたこともあり、やる気十分で登っていく。途中「ガンバレ」ときに書かれた文字があった。少し気味が悪いが、目立つ目印らしい。
相方が言う。「ガンバレの文字が、怖いことで有名」確かに。
相方が続ける。「樹海で誰かが書いた文字に間違いがあって、『祝ってやる』と書かれているらしいよ。」とのこと。
そしてわたしたちは先へ進んでいった。
つづく。