山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

剱岳の夏登山 その9 水平歩道 (阿曽原温泉小屋〜水平歩道〜欅平)

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阿曽原温泉小屋

仙人谷ダム建設のために資材運搬用のトロッコ軌道(現関西電力黒部専用鉄道)トンネルが掘削された際、阿曽原谷付近で160℃を超える極めて高温の岩盤に行き当たり工事が難航した。この区間は「高熱隧道」と呼ばれ、トンネル開通後に導水管の設置などで若干温度は下がったものの、それでも依然として40℃前後を保っている。風呂はこのトンネルにつながる坑口のすぐ脇にあり、湯はトンネル内から引かれている

このトンネル掘削に際して阿曽原谷にコンクリート造り6階建(2階までは鉄筋入り)の作業員宿舎が建設されたが、トンネルが貫通した後の1940年1月8日未明、阿曽原谷で発生した泡雪崩の直撃を受けて倒壊、さらに直後に発生した火災によって多くの死傷者を出した。現在の阿曽原温泉小屋はこの宿舎跡地に設置されており]、現在でも旧宿舎の基礎部分が残っているのが確認できる。(Wikiより引用)

 

 

 前回

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 一泊二食10000円、テント泊一人800円

阿曽原温泉小屋に、なんと、自動販売機があった。昨日の仙人小屋の自動販売システムとは違う、見慣れた四角い機械の箱だ。なんとも久々に見る近代機械に興奮。コインを入れると、冷えたビールになって出てくるのだ。当たり前じゃねえからな、と、どこかで聞いたフレーズが脳裏の片隅でささやく。とりあえず、一杯いただく。美味しい。

山小屋とテント場は少し離れている。階段で少々下りたところにテント場がある。この距離感は不便かなと思ったら、テント場に専用の炊事場とトイレがあった。まさかの予想外だったが、かつて公営か何かのキャンプ場として運営した経歴があるのだろう。そういった名残があった。

テント場は広い、奥のほうが水が溜まらない、と宿の人が教えてくれた。そのとおりに私達は奥の方にテントを張った。

その名の通り、ここ阿曽原にも秘境系温泉がある。このテント場をさらに下りたところにあるらしい。結構な距離のようだ。 

いちおう日本で一番危険な温泉と称されている。欅平からは、明日通る12キロに渡る地獄の水平歩道を通らないと来れないからだ。

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下りてみると、道は、登山道。転ばないように下りないといけない。おすすめはきちんとした登山靴。サンダルで行くと大変かも。

温泉の湯船は大きい。

ゆっくり足を伸ばせるどころか、泳げるぐらい広い。下には川が流れている。目の前に人工物は一切ない。湯船に入ると山の中にぽつんと佇んでいられる空間に癒やされる。山側はトンネルがあった。そういえばテント場にもトンネルがあった。これらもきっと黒四ダム開発の名残だろう。

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少し雨が降ってきた。今夜は台風が日本にやってくる日だ。この地域には直接は小なさそうではあるが、雨量や風はいつもよりも増える確率が上がるはずだ。

そうなる前にテント場に戻る。やはり上りはきつい。せっかく洗い流した汗をまた書かないように、ゆっくりゆっくり登る。

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台風の備え

テントが飛んでいかないようにK氏がいつも以上に石で補強していた。私も習ってすべてのペグに石を巻きつけた。おそらく石を運ぶための大八車が置かれていたので、使わせていただいた。食事は何を食べたが覚えていないが、カップラーメンと、パスタを食べた記憶がある。でも全く覚えていない。今回は殆ど食事の写真がないが、そういうものだと思う。登山の食事など、見てキレイなものでは無い。登山の食事がオサレキャンプとは違う点だ。

夕方になると、眠気とともに外は本格的な雨になり始めていた。明日、ここから出発するが、いきなり丸太でできた可愛らしい橋を渡ることになる。どんな橋か下見に行ってみた。一応しっかりはできてそうだし、もしこれが流れるようならこの後の水平歩道はもっと過酷な状況なはずなので、強制的にスタート中止というのもあながち間違ってない。テントに戻ると、豪雨や暴風で上の山小屋にすぐ避難できるように入念にパッキングをした。台風直撃前夜の家と同じ雰囲気だ。ただし、あえてなぜ布切れの中にいるのだろうと、思ってしまう。

雨はどんどん強くなり、風もさらに増してきた。ただし、睡魔も増しているので気にせず寝る。

夜中、何度か起きた。風雨は少し収まりかけていた。このまま収まってくれればよいなと、思った。どうやら急な避難も不要な感じだった。

何度か起きているうちに次第に外が明るくなってきた。少し小雨がふる程度の天気が続いていた。

何事も被害なく、夜は過ぎ去ったようで安堵した。

 台風一過

曇り空の朝、朝ごはんを済ませ、テントを畳み出発の準備を整える。雨天モードの準備、ザックカバーにレインパンツ、スパッツと完全防備。荷物も多いので、スリップ防止のために、チェーンスパイクを付けた。

水平歩道に出発

本日は水平歩道を通って欅平に行く。これで今回の登山は終了だ。

まず、いきなり、木の橋を2本渡る。昨日見た橋だ。水量は増えていなかった。よかった。

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 ここからはほぼ水平に等高線つたいに黒部川の左岸を通っていく。真下に切り立った岸壁の底を流れる黒部川、そして上を見上げるととんでもない高さまで伸びた岸壁。一体トータルでナンメートルあるのだろう。こんな渓谷は見たこと無い。小雨降る霧の中、私達は進んでいく。左手には各所にセイフティのワイヤーが張られている。このあたりから、完全にダム土木系の工事に変わっているように思われる。こういうのも面白い。職種によって工法やアプローチが違うらしいが、なるほどと思わせる。

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いたるところに滝が出没

雨量が多く、とにかく滝が多い。小さな谷を横切る時は確実に滝行となる。向かいの崖にも滝が流れているのが見えるが、それこそ何百メートルの滝なのだろう。「滝」に認定されるには、通年を通して水が流れていないといけないので、こういう臨時の滝はいくら落差があっても「滝」とはみなされない。

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くり抜かれた数少ない場所で休憩を取る。K氏の休憩を取るタイミングは素晴らしい。

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大きな雪渓があった。

あれはどうやって越えるのだろう。まさかトラバースするのか、死んでしまう。とおもったら、トンネルがあった。

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ヘッドライトを付け、中にはいる。

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ひんやりと冷凍庫だ。周囲の岩には凍った水分が張り付いている。先程まで蒸し暑かったのに、中はこんなに冷えている。なかなかだ。

ザ、水平歩道という感じになったきた。

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ほんとに、よくこんなものを作ったなと感心する。そして、当時とあんまり変わってないっぽい状況にビビる。
それにしても、こういう壮大な景色は人間を小さく見せてくれる。

水平歩道のメイン部分を越えると、次第にギリギリのトラバースは終焉を迎えた。

森の中に入り、暫く行くと、今回最後の高低差の下り坂。

コースタイムが狂ってるんじゃなかろうかという結構な急坂。日帰りの荷物ならまだしも、縦走テント泊の最後の日はこの劇下りは結構辛かった。

がしかし、もうこれで終了だ。身体には諦めてもらいながら下りていく。

上り下りは少ないこの水平歩道、一見楽そうだが、足を踏み外したら即終了の場所が多すぎる。かといって回り道も考えれない。橋も壊れているのが何箇所かあった。これを見て、じゃあ行けるとは安易に思わないでほしい。

どうしても行くならば、雨天の準備、ヘッドライト、体力、そして何より、温泉のためのタオルは決して忘れてはいけない。

そうして私達は無事、欅平に着いた。

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K氏らは、車をピックしに立山駅まで行くので私達とは別れて先に急いで電車に乗った。私達は最後の温泉に入った。じゅうぶん秘境系だが、かれこれ最強の風呂に入ってきた私達には、景色の良い露天風呂、といった感じだ。

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風呂に上がり、駅に向かう。

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後ほど富山駅の寿司屋で待ち合わせだ。

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 トロッコ列車にのる、観光客でいっぱいだ。登山者は、ほとんどいない。

富山地方鉄道に乗り換えて富山駅に行く。

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お寿司は、富山駅の人気店、「廻る富山湾 すし玉」これが回転寿司とは思えない味だ。4人で、無事の登山と再会を祝して祝杯を上げた。

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おしまい。