山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

岳沢からジャンダルムへ その8 ジャンダルム復路編

ここ、ジャンダルムから奥穂高に戻る道は、行きと同じだが、行きは下りがメインだったのだが、帰りは登りが多い。それはとても嬉しいことだ。崖は登りよりも下りが難しい。木登りと同じだ。下りは足場が見つけにくい。そいうわけで、幾分安心感があった。慢心してはいけない。

まずは、正しい下りぐちからジャンダルムを下りる。天使から遠ざかるように頂上を歩いていくと、なだらかな斜面があった。なるほど、ジグザグに道ができている。。。

これか。。

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下まで降りると、やはり予想通り、思っていた登り口よりも更に奥に着いた。

右手に巻いていき、きた道を戻る。帰りは、若干の余裕があるので、その分、写真を撮った。

途中、おそらくここだろうなと、登った斜面を見上げた。ただの切り立った崖だった。

いや、終わったことは忘れよう。今は、足元だけを見て歩こう。

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ジャンダルムを背にして、どんどん降りていく。こんな道通ったかなと思うぐらい、行きと帰りは雰囲気が違うし、おそらく視界も狭くなっていたのだろう。

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崖を降り、鎖場を横切ると、ロバの耳の鞍部に着いた。

そのあたりでは、後続の人たちも結構いて、行き来を譲り合いながら交わしていく。

「そのザックいいですね」

と声をかけられた。

「いいですよ、軽くて」

私のザックはHYPERLITEMOUNTAINGEARという、読んだまんま、軽いザックだ。

アメリカのメーカで、色は白い。こんな、ゴリゴリの場所には似合わないけど、軽いことはとても良い。

「背負ってみます?」

「いいんですか?」

「はっきり言ってクッション性もあまりないですから背負心地はあまりいいとは言えませんが、はっきりいってめちゃくちゃ軽いです。」

「おお、たしかに、かるー」

「でしょ、おすすめですよ、今ならセールで15%引きです」

「まじすか!!!ありがとうございます!」

と、回し者のように営業してしまった。でも嘘じゃなく、ほんとにいい。

そんなこんなで、彼から律儀にも帰宅後に「なんていうメーカーでしたっけ?」とメールが来るのであった。

そんなこんなで、ロバの耳を目前に、こんなとこ降りてきたのかと、ビビる。

小さく取り付いている人が見える。

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まあ、直登ではなく、巻きながら登るので大丈夫なのだが、実際こうやって目にすると、すさまじい。

西穂高から来た人は、これを後半の後半にみて、何を思うのだろう。いやこの先にもう一個「馬の背」というラスボスが控えている。

いや、大丈夫、下りるより楽なはずだ。一歩一歩。

文句も言い尽くしたので、とりあえず取り付いた。

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なかなか厳しい。笑ってしまった。しっかりボルダリングだ。緊張感も増して、ホールドを掴む手に力が入る。

 

途中、花が咲いていた。

すごい、お前は孤独で自由で、清らかだ。

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ロバの耳を巻き終わると、馬の背についた。ご丁寧に「ウマノセ」と書かれている。

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これを越えれば奥穂高岳だ。西穂高から来る人達は、登るという感じではなく、乗り越えるという感じで奥穂高岳にやってくるのだな。なかなかおもしろい。

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ウマノセを登りつめていく。思ったほどではなさそうだ。そして例の細い足場を通っていく、これは少し思ったほどだった。二回目でもなかなかだ。

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稜線に乗上げると、少し落ち着く。奥穂高の祠も見える。

ここからは、ただただ、真っすぐ進んでいく。

急に力が抜けていく。肩が凝ってしまったようだ。お疲れ様。

穂高に帰ってきた。振り返ると、霧の中にジャンダルムがあった。

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あそこまで行ったんだ。よかった。

また違う季節に来よう。いつ行っても素晴らしい場所だ。

ひと休憩する。天気は曇り、見通しはまあ、昨日ほどではないが、雲も良い。

そういえば久しぶりに空を見た気がする。さっきまでずっと足元しか見てなかった。

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吊尾根の遠くに登山者が見える。その先には前穂高がる。ああ、あそこまで行くのか、遠いなあ。

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よし、と心を決めて吊尾根に向かう。

時刻は7時半、十分ゆっくり降りれる時間だ。バス出発は15時半。

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つづく
 

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北海道で地震がありました。緊急時に備えを

    

   

 

 

岳沢からジャンダルムへ その7  ジャンダルム編

山荘に戻った。すっかり夜だ。

乾燥室にたちより、服を回収する。寝室の前の廊下で荷造りをする。明日は午前3時起き、4時出発。日の出が5時位なので、4時半くらいから明るくなってくるはずだ。ということは最初の30分が暗闇だということである。ヘッドライトを頼りに登って行くことになる。それをしてでも早出をしたほうが良いし、時間的にもそんなにたっぷり余裕があるわけでもない。今朝、岳沢小屋であった人も、おそらくかなり早く出発したはずだ。そう、私以外にも明日はきっと早出組がいるに違いない。いておくれ。

明日の服とヘッドライト、水を寝床に持っていく。もう寝ている人も多い。皆、お疲れのご様子だ。

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私もストレッチをして、睡眠に入る。ほんとに楽しい一日であった。明日も、こうやって寝れるように、一歩一歩ゆっくり安全に歩けるといい。

そして、次回も、その次も、綺麗な景色を山頂で見れたら、、ぐ、、ぐうううーーーーすやすや。

 

聞き慣れた山口百恵の「いい日旅立ち」が聞こえてくる。せっかく、いい夢を見ているのに、そういうときに限って、百恵ちゃんはいつも邪魔をする。

そうか、これはアラームか。ほんとに3時に目覚ましをかけて律儀な昨日の私である。もう少しゆっくりでも全然大丈夫なのに。

のそのそ、と起き上がり、暗闇の中で服を着る。

ほんの少しヘッドライトを付けて、忘れ物を無いことを確認して、部屋を出る。

私の他にも数人が起きてモソモソと準備をしていた。よかった。ノットアローン

一通り顔周りを洗って準備を整える。ザックを持って1階のロビーに降りる。

結構な人がいた。ほっとした。

どうしようか悩む事が一つあった。

実は朝食のお弁当、これは大体の山荘で、朝食を定時に食堂で食べれない人用にお弁当を渡してくれるのだ。

そのお弁当を持って山に登るべきか、今、ここで食べるべきか。

眼の前の人が、お弁当を食べている。

答えは決まった。

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なんとも美味しい、甘く炊いた鮎に、お寿司。

贅沢極まりない。今食わずしていつ食うのだ。もしかしたら、もう、、いやいや。

電灯はまだ点いていない。ヘッドライトで食べるご飯も、これまた良い。

ありがたいことに、ここ穂高岳山荘は、ゴミが捨てれる。すごい。

朝ごはんのゴミをすてさせて頂き、水を補充し、出発。

外に出ると、寒い。当然ながら今回で一番寒い。ジャケットをまとい、ヘッドライトを奥穂高の岩稜に向ける。

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その岩稜に4つほどライトが見える。先行者だ。彼らはお弁当を食べてないのかもしれない。大丈夫だろうか。と、いらぬ心配をしながら、岩場に取り付いた。

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手元しか見えない。逆に言うと。いなえみかしともて。

ではなく、逆の意味でいうと、手元に集中できる。一旦遠くを見て、ルートを確認し、手元に戻り、一歩一歩、歩いていく。

いきなりの梯子も、そんなに怖くない。梯子は梯子だ。むしろ梯子だ。

丸い印がヘッドライトでは意外とよく見える。それが連なって見えるので、ルートも決めやすい。と思っていたら、何回か間違ってしまった。油断大敵である。

左手から振り返ると、東の空が明るくなってきていた。まだヘッドライトのほうが明るい。がしかし、上り詰めると共に、あたりは薄い青色に包まれ、ライトの需要はなくなった。うっすらと目的地が見えてきた。

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そののち、奥穂高山頂に着いた。ここが今回の本当のスタート地点だ。

ほかの登山者は東の稜線に集まっている。日の出を見るためだ。

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残念ながら、私には、その時間はない。

ハーネスをつけ、西に向かう。

眼の前には、静かにあいつが佇んでいた。

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その名はジャンダルム

ドローンでは1分で着いたが、歩いていけば1時間はかかる。

ジャンイチ、ジャンダルムにむけて出発。言っとくけど、ピストンである。

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最初から、もういきなり登山道がおかしい。道ではなく、細い岩場である。海岸の小さなテトラポッドをポンポンと歩く感じである。この海水の透明度は500メートルはあろうか。暫く行くと、右に降りるようになっている。

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足場はしっかりしている。そしてまた、ナイフリッジの稜線に戻る。無風であるため、なんということもないが、これが風があるときならば、とてもおっかない。

稜線は傾斜がついてきて下降する。一人なので、足場の選択にもたつくが、これはこれで楽しい。焦らずゆっくり降りていく。所々、平らな場所があり、少し落ち着く。

次第にジャンダルムは見えなくなり、そのかわり、目前の登るべき斜面とにらみ合う。

けして平らではない岩の連続。まるで怪獣の背中のように尾びれが刺さったような岩の間をまたいで進む。丸印があるとホッとする。海でいうと、沖のブイのようだ。 とりあえずルートは間違っていない。左右にかわせない岩は飛べない跳び箱のようにまたいで超えていく。お恥ずかしいあるきかただが、安全にとなると、こうなってしまう。

急峻な降り口にやってきた。馬の背か、これが。

名前のあるところは、たいてい危ない。皆の記憶に残っているから名がついているのである。ここはクライムダウンで降りる。一歩一歩。もうずっと一歩一歩のことしか考えれない。これが長い。ボルダリングのコースの下りをずっとやってる感じだ。ホールドもきちんと確認しながらでないと次の一手はなかなか出ない。

途中、まさかというほど細い足場になった。靴の幅一足もないようなスラブの重なりの隙間に足を置く。そしてそこを歩いていく。猫になりたい。

そうして、ようやく馬の背を降りる。

よく降りたものだ。ここを。

そしてさらに降りただけ登り返す。そうここは鞍部になっており、また同じ高さ以上に登りつめないといけない。

行きは、写真が少ない。とてもじゃないが、安全優先で行かせていただいた。申し訳ない。

次の越えるべきは「ロバの耳」だ、どこがどうロバの耳とかは、もういい。

ただ、ひたすらに崖を登る。

ここは巻きながら鎖が設置してある場所を登っていく。

どこよりもここが難しかった。一回ポッキリのチャレンジコースのようだ。鎖があるところは主に横移動のトラバースで、そこは、ハーネスにつながれたギアで、確保しながら渡れるが、縦のルートには、鎖はない。

残置されたスリングなどがある。おいおい、ここ登るのかよ。

どうにかギリギリ楽しめて登れた。クリアすると、あるあるだが、ここをかわす巻道が存在した。

そうやってロバさんの道を超えていくと、目の前にジャンダルムがそびえ立っていた。

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おおおお、登れるのか?あれ。。

取り付きから各心部まではなだらかな岩の道だ。手を使わない場所は、もう道と呼ぼう。そして、白い岩の部分から、直登するコースと、裏に回って登るコースがある。当然、直登のコースのほうが険しい。もちろん裏のコースを選択するつもりだった。

でも少し試しに直登コースにしがみついてみた。

なんとなく行けそうだ。

と思ったが、やめた。

ここは安全に安全に。

左から回り込むと、西穂高に行く分岐点に出た。

ということで振り返ってジャンダルムに登り始める。以外ときついではないか。

足場はもろく、ホールドも薄い。こっちでこれなんだから、直登コースなんかやめて正解だ。そう思った。

カニ歩きで少しずつ登っていく。腹筋背筋、すべての筋肉を使い、最後の岩を登りきると、目の前に天使がいた。

あれれ、思ってたコースと違う。山頂の反対側に出るはずだった。

あれれ。すこしばかりコースを間違えて登っていたようで、結局直登コースから出てきたようだ。まあ、いいか。

何はともあれ、ジャンダルムに登った。達成感、満タン。

360度、見晴らしは、、、霧であった。仕方がない。早朝日の出から次第に雲があがって来てあたりは白くなってしまった。しかしながら、その雲の隙間から奥穂高や西穂高につづく岩稜が顔を覗かせる。それだけで十分だった。雲の速さも、心地よい。

ようやく会えたジャンダルムの天使。カメラをセットして写真を撮った。と、そこへ、登山者が一人、おそらく正しいコースから一人歩いてくる。やはりあっちか。。。

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来た人と話してみると、分岐点の更に向こうにもっと登りやすい道があるらしかった。念押しありがとう。おおおうう。

ついでに記念写真を撮ってもらう。

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お礼にいっぱい写真を撮った。今が一番撮り時に間違いない。

しばらくしていると、登山者がチラホラ登ってきた。でも、半分以上は私と同じ様に間違えて、厳しいコースをヒーヒー言いながら登ってきた。おそらく、初心者が陥る定番なのだろう。次からは、もう少し向こうまでいって登る。というのも、正しいコースから来る人は、とても楽しげに登ってくるのだ。まさに笑うしかない。とはいえ、どうせ登るなら、いや、登れたならと結果論だが、厳しくても良かったとあとになって思えた。結果論だ。

ここから西穂高岳に向かう人、私のようにピストンする人と半々くらいだ。縦走か、またいつか、そうしてみれるようになった時に、しよう。

しばらく、嫌というほどしばらく、ここにいた。

時間を忘れ、ただここにいた。

パンも食べた。美味しかった。

風が強かったので、合間を縫ってほんの少しだけ、ドローンを上げた。強風で吹っ飛んでいきそうだった。うちのエンジェルが天国に行きかけた。

思い残すことは、多々あるが、下山だ。ここからが折り返し地点である。同じ距離を同じだけ歩く。

気を引き締めて行く。

 

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 つづく

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岳沢からジャンダルムへ その6  奥穂高岳から穂高岳山荘編

時刻はまだ13時半

本日は1時間ほど降りた穂高岳山荘に宿泊するだけなので、まだまだ時間がある。

明日の目的地、今回の目的地、ジャンダルム様が真正面にそびえ立っている。たくましく立派な出で立ちである。

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明日はそんなに天気は良くないという情報だった。今日は天気はまだいい。今日も行けそうな気がするが、時間的に、あと体力的にやはり、明日に回した方が良さそうだ。それで天気が悪く、行く事が出来なければそれはそれで良いではないか。山はいつでもそこにある。

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ザックからドローンを取り出して上げてみる。まず、奥穂高周辺、そして稜線沿いにジャンダルムへ。ナウシカではないので風は見えない。高度に気をつけ、谷に入らないように慎重に飛行させる。ジャンダルムまで、足で行くと1時間だが、ドローンでは、ものの1分でジャンダルム頂上に着く。なんとももどかしい。

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明日会うべきエンジェルのモニュメントがあるのを確認し、飛行を終える。やはり、ジャンダルムは少し複雑な形をしている。

まってろよと、誓う。

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荷物をまとめて奥穂高から下山する。ここからはしばらく稜線を岩場を乗り越えながら進んで行く。正面には涸沢岳、その向こうに槍ヶ岳が見える。ゴールデンウィークに来た時は、左に見える岩場の斜面が雪壁になっていて、そこをピッケルを突き刺しながら上がって降りた。が、夏はこうやってなんの苦もなくおりれるのだから、季節によって山はこれほどまで、姿を変えるのだなと、嬉しくもドキドキも両方の感情が込み上げてきた。

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岩場を下りて行くと、今夜の宿、穂高岳山荘が見えてきた。まだまだ下の方だが、人がいるのがよく見える。テラスと言うか、お庭もあんなに広かったのか、とびっくりした。前回はただの雪の塊だった場所が、きれいな石畳に覆われたお庭になっている。

前回5月の穂高岳山荘はこんなかんじだった。

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そこで、登山客がゆっくり休んでいる。早くあそこに行きたい。

前回はほぼ直登で登っていったが、夏道は斜面をジグザグに道が作られている。何度もいうが、道ではなく、ただの通りやすい岩の連続だ。

ようやく見覚えのある梯子にやってきた。もう山荘は目の前だ。うれしい。ただいま。早く寝かせておくれ。

最後の岩を下りる。もうそこが山荘の敷地だ。素晴らしい。

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そそくさと館内に入り、宿泊の手続きを済ませ、中に入る。

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靴を脱ぐ、ふう。

ザックを下ろす、ふう。

スリッパに履き替え、売店でビールを買う、うほ。

テラスに出て、ビールを飲む。ふうううううう!!!

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たまらなく気持ちいい。

最高という言葉があるなら、今こそ使いどきだ。

最高だ。

わざわざ地上から持ってきたポテトチップスをつまみにいただく。

うれしい、なんにも言えねー。

今まで生きてきた中で一番幸せです。

チョー気持ちいい。

初めて自分を褒めたいと思います。

わが柔道に悔い無し。

と、まるで金メダルをとったかのような気持ちが次々とこみ上げてきた。

下には涸沢のテントが見える。この時間なので、まだそこからここに登ってくる人がいる。そうだ、頑張れ、ビールは目前だ。とエールを送った。

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テラスに綺麗なデッキのようなものがあり、そこに寝転がる。

気温がちょうどいい。風もちょうどいい。眠気もちょうどいい。

ぐっすり寝てしまった。

なにか考え事をしていたはずなのだが、そんなことを私の脳みそが許すはずもなく、思考を終えてしまった。

何時間、ねたであろう。スッキリした状態から考えると、1時間半は寝させてもらった気がする。何時間寝たかは、忘れてしまった。だが、スッキリ、心地よい気持ちになった。残りのビールを飲み干し、部屋に戻る。汗で濡れた下着などを乾燥室に干す。明日の準備をする。

ヘッドランプ、ハーネス、を出す。行動食も今一度整理する。

明日は、3時に起きて4時出発の予定だ。早いに越したことはない。

日の出は5時位なので、4時半には明るくなってきているはずだ。なので最初の30分岳ヘッドランプ、あとは、次第に見えてくるだろう。なるべく早く、奥穂高岳に戻り、時間をしっかり使ってジャンダルムに挑みたかった。

そうこうしていると、晩御飯の時間となった。まってましたよ。

食堂にいき、隣界隈の皆でご飯をいれ、味噌汁を注ぐ。おひつ、お鍋前のタスクだ。

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みな、そそくさと食べ始める。わたしも黙々ともぐもぐいただく。

おかわりもした。明日もいっぱい歩く。

それにしても、この3000メートルでこの食事、前回に引き続き、ほんとにありがたい。

心していただいた。

みなそそくさと食事をする理由は、実は、日の入りの時間にかさなっているからである。

そう、本日はとても天気がいいので、夕日は間違いない。すでにその美しさの片鱗を夕食前に見た。

わたしも、カメラを持って涸沢岳まで上がる予定にしていた。

なので、そそくさと食事を終え、実はすでに食堂に持ち込んでいたカメラと上着を持ち、すでに玄関においていたブーツを履き、そそくさと外に出た。

涸沢岳に上がるまでもなく美しい。美しい夕日だ。

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雲海をまとい、笠ヶ岳の向こうにオレンジ色の火の玉が輝いていた。

涸沢岳は、ここ山荘から15分かそこらで登れる山である。初めてだったが、登山道も丁寧に作られていて登りやすかった。頂上にはすでに何名かが登っていた。テント泊の人や、自炊の人であろう、すでに夕日を楽しんでかれこれ30分という顔をしている。

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座り心地のいい場所を見つけて座る。

きれいだ。本当に綺麗だった。

オレンジと、紫と青と赤と、黒の世界。

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左の穂高の岩肌やジャンダルムはより荒々しく存在感を放っていいる。右手には北穂高から大キレット、そして槍ヶ岳が見える。

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何だこの贅沢空間。そして、贅沢な一日。振り返れば6時から12時間、山を登り、空を見上げ、汗をかき、山並みに喜び、そよ風に癒やされ、そして、今、夕日に包まれている。なんという一日だ。

シャッターを切る。

夕日は刻々と地平線に近づく。それと共に彩りも変わっていく。上空は暗くなり、日を浴びたオレンジと影の紫が混じり始めるは。右手のキレットはその険しさを一瞬、増したかと思うと、一転、優しい空間に包まれていた。雲海は時間と共に高さを変えている。

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ふと、左後ろに白いパラソルを感じた。

まさか。

そのまさかであった。

あの健脚婦人が、またもこの涸沢岳で、白いパラソルをさして夕日をじっと見ていた。

すごい。

この人は、ほんとにこの北アルプスの景色が好きなんだろう。

初めて見た時は、高台から岳沢を眺めおろしていた。

二回目は奥穂高から、富士山の方をじっと見ていた。

そして、今、夕日が沈むのをじっと見ている。

きっと、それだけではなかろう、色んな所で、立ち止まり、じっと景色を見てきた一日に違いない。すばらしい。

ふと気がつくと、もう夕日が終わろうとしていた。

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太陽は、沈みつつある中でも色彩を操り、様々な空気を色に変え、私達に見せてくれた。それはまるで花火大会の様に、まだか、まだ終わりじゃないか、まだあるか。といった風に、クライマックスとエンディングを何度も引きのばすのであった。

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そう、気がつけばすっかり陽は沈んでいるが、それでも残りの紫色と藍色が空を包み、遠く離れた月を照らし、それらと穂高の山並みがみごとに色合いを整えていた。

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しかし、このままでは真っ暗になってしまう。私はヘッドライトを持ってきていない。

すこしばかり名残惜しさを山頂に残して涸沢岳を下りた。

振り返ると、まだパラソルの御婦人は沈んだ夕日を見ていた。

いつかまた会えるだろうか。

 

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 つづく

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岳沢からジャンダルムへ その5  吊尾根から奥穂高岳編

紀美子平から奥穂高につづく一般登山道が吊尾根と呼ばれる尾根沿いに続いている。

写真で見るとなるほど、吊橋の様にきれいに湾曲している。両サイドにきれいに圏谷ができているので、こんな感じになったのだろうか。

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この道、吊尾根も、ここ紀美子平から奥穂高に行く場合は、なかなかの登山道だ。吊尾根という柔らかい名前に騙されてはいけない。

忘れてしまいつつあるが、一旦前穂高から、30分かけて下りたのだ。だから、その分、同じくらいの高さ以上ある奥穂高に行くには登り返さないといけないのだ。

 

前回

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たくましい岩肌をこちらに向けている奥穂高岳は、なかなか近づかず、その高さは近づくに連れ次第に高く感じてくる。

登山道の目印の◯が、はっきりと描かれているので迷うことはないし、たとえ少々間違っても、視界は広いので、すぐにもとに戻れる。ただ、通行人がいない岩場は浮石だけは注意しなければならない。

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吊尾根は稜線上を通る場所以外はほとんど岳沢側沿いに作られた細い道である。道というか、岩の連続を歩く感じだ。でも、ここまできた人は、どこでもドアでぴょんと飛んで来ない限り、この状況にひるむことはないだろう。

左手には、ずっと上高地がみえているし、西穂高につづく岩稜も見えている。もちろん、今回の目的地、ジャンダルムも見えている。

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今回特に注目をしているジャンダルムを見えるたびに確認しているのだが、場所によって形が違う。面白い。

富士山のような形以外の山はそもそも、場所によって形が大きく違う。とんがって見える山も、実際はなだらかな尾根沿いに登って、まったく尖った険しさを感じることなく山頂に着くことも多い。いや、むしろ、安全側に作られている登山道は、そういったルートに道はあるだろう。

ジャンダルムは寸胴なバケツをひっくり返して平手で挟んで潰したような形をしている。一体どこから登れるのかと思う。実は西穂高側からは傾斜がゆるく、難易度も低い。他の登り方も、今後、技量と共に考えるとして、今回はその容易なルートで登らせていただくつもりだ。

その前に、このはじめての登山ルート、吊尾根を楽しもう。気がつけば、先程まで見えていた奥穂高山頂にある目印の祠は見えなくなっていた。いや、どうだろう吊尾根に入ってすぐに見えなくなってしまっていたのかもしれないし、ついさっきからかもしれない。とにかく見えない。山頂は尖ってないと、すぐに隠れて意外と見えにくい。

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たまに尾根の稜線にでると、涸沢方面が見渡せる。前回天気が悪く、景色は楽しめなかった表銀座の稜線もくっきり見える。あのへんの山は花崗岩でできているのであろうか、こちらの穂高の山々とは全く違う山容である。いろいろあってすばらしい。

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振り返ると前穂高岳がそびえ立っていた。かなかな立派な山容である。あそこにいたのだ。あそこから来たのだという経験が目の前にそのまま見えるのはうれしい。

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普段、大阪にいると、山という山はあまりない。近場は六甲山や、金剛山、くらいだ。奈良や和歌山、滋賀の方へ行けばまだ登りがいのある山に出会える。それでも山頂まで樹林帯の山ばかりだ。

森林限界、という言葉がある。森林がもう生息できない限界の地域帯域という意味だ。

日本では、場所によっても大きく違うが、だいたい本州では2500メートルくらいだ。

それがどうしたという話ではあるが、このまま続ける。樹林が多いと、見晴らしが悪い。樹林がないと、見晴らしがいい。見晴らしがいいと、山登りが楽しい。樹林帯がない山登りは楽しい、という三段論法で、日本アルプスの2800メートル界隈は登山として人気なのだ。きっとそうだ。ちなみに、北海道に行くと、もっと森林限界は低い。ツンドラとなると、もう標高0メートルで森林限界だ。

なんとなく読者の皆さんは、お気づきのようだが、この吊尾根の道は、岩場ゆえ、集中に次ぐ集中で前半はよかったものの、後半は、目の前の岩場の対処で、残された記憶がとても薄い。だから、話が北極圏まで及んでしまった。大変申し訳無い。

ふと気がつくと、最後の斜面に取り付いた。なんとも都合が良い話だ。

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そこにある鎖を、一歩一歩上がると、上がると、、いや、まだ、見えない、まだ見えないのか祠。

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こういうときは振り返るに限る。富士山が見えていた。ほら、振り返ってよかった。

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なんとなく、目指すものが見えた。この瞬間、ふっと落ち着く。そして足を滑らせる。そんなことのないように、最後まで気を抜いてはいけない。きっとこのへんは事故が多い。

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しばらく、奥穂高山頂付近の稜線を登っていく。しばらくがどれほど長かったか、短かったかは、もうどうでも良い、やっと祠に着いた。帰ってきた。奥穂高岳山頂。

そう、二回目は、「帰ってきた」という安心感に包まれる。

時刻は13時15分。紀美子平を出発したのが11時45分。一時間半の長い橋であった。

私は今年の5月にここ奥穂高に登った。当時はまだ雪に包まれていた。それが、こんなにゴツゴツとした岩の集まりで成り立っていたとは、少々驚きだった。前穂高とほぼ同じ岩なのだが、ここ奥穂高で、二回の登頂のその違いから、岩の塊でできていることに驚いた。

多くの人がいる。ここ奥穂高岳は、今日の宿となる穂高岳山荘からほど近く、多くの登山者が登ってくる。ここに来る人の登山ルートは大きく分けて3つだ。

一つは何かしらのルートを経てここに来て西穂高に向かう、またはその逆を行く人、一つは私のように岳沢、吊尾根を通って奥穂高に行く人、もう一つは涸沢などからピストンで奥穂高を目指す人。

そういう理由で、ここ奥穂高岳は、常に人がいる賑やかな場所だ。朝の早くから、夕方日没ギリギリまで人がいるに違いない。山荘がすぐそこにあるというのはとても心強い。とりあえず、二回目の奥頬高山頂の写真を撮る。

 

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そしてここでも、皆が口を揃えて「今日はみはらしがいいなり」「さようでござるな」とつぶやき、来てよかった感満載の笑顔で地平線を見渡すのだった。

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と、ふと、山頂から一番遠い頂上稜線の端のところを見ると、なんと、例の傘の奥方が、立っていた。写真でも小さく写っている。背を向けていたが、あの白い傘は間違いなく、さっきの人だ。じっと彼方を見ている。

すごい、、、すごすぎる、、

あの後ろ姿、じっと遠くの山を見ているのだろう、おそらく何度もここに来ているに違いない。初めて登ったとき、誰かと登ったとき、天気も悪い日もあったであろう。そんなことを、遠くの山々が思い出させてくれるのかもしれない。

私はまだ、ここはニ度目だが、そういった思い出と経験を彼女のようにじっと時間を忘れて山を見つめれるくらい経験を重ねていきたい。

 

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つづく

 

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北海道で地震がありました。緊急時に備えを

    

   

 

岳沢からジャンダルムへ その4  紀美子平と前穂高編

岳沢の重太郎新道というのは、穂高岳山荘をつくった今田重太郎、彼が一般登山客の安全を思い、一生懸命作った道である。その途中に「紀美子平」と言われる場所がある。

そこは、岳沢小屋から前穂高に行く途中、そして奥穂高に行く分岐点となっているところである。そして急峻な崖の中にぽつんと開けた場所になっている。前穂高岳に登る際はここに荷物をおいて上る人が多いとても便利な場所である。紀美子平の紀美子とは、重太郎の娘の名であり、道を作る間、ここによく娘をこさせていたという。

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その、紀美子平を目指して登っていく。樹林帯は終わり、ハイマツが増え、見通しが良くなる。先程から、紀美子平、カモシカの立場など、いろんな名前がついているが、これは観光スポットの名称というより、レスキューの座標として命名され役立っているというのをどこかで見た記憶がある。なお一歩一歩、気をつけて進む。

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見通しが良くなってからは、岩の稜線を突きあがっていく。天気はよく、暑い。時刻と共に下りてくる人も増えてきた。おそらく穂高岳山荘から朝イチで下山していく人たちだろう。そういえば、下の岳沢小屋にちょうど同じタイミングで下りてきた人がいたが、彼は、3時間程度で下りてきたという、恐るべし速さだ。きっと前世はカモシカだ。

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それにしても岩場が持ちにくい。さっきも言ったが、岩が滑り台のような傾斜でそれがドミノ倒しのように重なっている。そう、ドミノ倒しだ。

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とはいえ、各所に鎖場やはしごがあり、足元に気をつけていけば、とにかく進める。

追いついた中にはご年配の方も多く、軽装のいでたちに「モー駄目よ、何この道」といった口癖を発せらていたのがやや心配だが、そういった方も多く登られていた。モーダメおばちゃんは本当に心配だった。

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岳沢から2時間、ようやく紀美子平に着いた。

そこには多くの登山客、そして置かれた荷物があった。

予定の時間よりも1時間早く来れたので、ここでたっぷり休憩をとった。

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ザックからパンを取り出して頬張る。うまい。

ドリンクは水かスポーツドリンクしかないのだが、どっちもパンにとても合う。喉の渇きは最高の調味料だ。

岳沢から登ってくる人、そして奥穂高から下りてくる人、前穂高に登る人、と賑やかだ。見晴らしも最高である。

正面に見える上高地は、とっても遠く、小さい。そのかわり右手には穂高の山々が目前に迫っている。直ぐ側には奥穂高が悠然と。左手には明神岳、そして後ろには山頂は見えないが、前穂高がある。これは紀美子さんも毎日飽きずに来れただろう。どうだろう。

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来た道もよく見える。なだらかに見えるが、そうではない。

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しばらくした後、前穂高に登る。荷物はあえて背負って行く。トレーニング、といえばいいのだが、アタックザック的なものを今回は持ってきていないので、カメラ以外、置いていくにしてもその袋もない。というわけで、全部持って上がることにした。

なかなか、きつい。重太郎新道のさらに過酷バージョンだ。荷物、置いていけばよかった。最近のスマホはよく撮れる、、、

30分ののち、前穂高岳山頂に着いた。

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広い。なだらかな岩場の山頂だ。その向こう側には涸沢が見下ろせる。

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よく見ると、富士山が見える。それどころではない。南、中央、北アルプスのほとんどの山が見えているのではないだろうか?天気がほんとにいい。

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(右、槍ヶ岳から左、ジャンダルム)

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私はあまり山の名前は知らないのだが、他の登山客が地平線に指をさして〇〇岳だ、〇〇山だ、と言っている。」

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乗鞍岳御嶽山

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明神岳

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槍ヶ岳と北穂高

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(奥穂高が間近に迫る)

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表銀座のその奥、白馬かしら?)

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表銀座

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上高地乗鞍岳

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(西穂高

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(奥穂高

「こんな日めったにないよ」

という名言が聞こえた。

こういうのはほんとに今日来てラッキーと思える。

滅多にない、初めてきた。やったー。

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穂高には北に尾根が伸びていて、2峰、3峰と、8峰までピークが連なっている。

涸沢の方から5峰あたりに取り付いて、そこからあがってくる人たちを山頂から見ることができる。

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最後の2峰から、懸垂で降りる人たち2人がいて、その人達が、その後、この山頂に来たのだが、なんと、なんと女性二人組であった。

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後々、写真を確認すると、先程の中にも彼女たちの姿が、勇姿が写っていた。

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すごいなー。ほかにも、クライミングでここに来た団体も多くいて、そのうちのリーダーのオジサンが「さあ!片付けて岳沢小屋のカレー食いに行こう!」と、ちょっとコンビニ感覚でもの申していたのが印象的であった。

むむ?岳沢小屋のカレー?気になる、帰りに食べよう。

ということで、私も前穂高から降りる。

なるほど、結構危ない。今回はじめての下りであるが、大きな石にしては、浮石も多く意外と滑りやすい。ほんとに一歩一歩ゆっくり下りた。

往復1時間の前穂高山頂めぐりを終え、紀美子平に帰ってきた。

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今回、何回「紀美子」と書いただろう。9回だ。

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 つづく。

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岳沢からジャンダルムへ その3 岳沢小屋編

次第に見通しが良くなっていく。岳沢という場所を登っているのだが、実際の沢は大きな石がごろごろ転がっていて歩けないので、その沢沿い雨の登山道ができている。標高が上がるに連れて沢に近づき、所々木々のない場所から穂高の山脈が見えてくる。

 

前回

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振り返って見える上高地の建物も見るごとに小さくなっていく。なかなか、よい。上りがいがある。

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しばらく進むと、とうとう岳沢小屋が見えてきた。

沢を横断し、対岸に進む。岳沢小屋までもうすぐだ。

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茶色いきれいな建物についた。岳沢小屋だ。

こじんまりしていて、テラスがあり、数人が休憩している。

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きれいなのは、10年ほど前だろうか、雪崩で建物が流れてしまったらしく、再建したためだろう。

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ここで、朝食、トイレ、水くみを済ませる。

小屋には店番の人がいて、さらに外にはアルミ缶を大きな袋に入れてまとめている人がいた。ここでいつも疑問だったことを聞いてみた。

「すみません、どうして、小屋の人たちはアルミ缶を潰さずにそのまま大きな袋にいれてまとめるんですか?」

と小屋の人はこう言った。

「そうなんですよね、このゴミはヘリコプターで運ぶんですが、私達も潰したいんですけど、そのほうがたくさん袋に入るし。でも、潰さないでくれって言われてるんです。」

きっと、ヘリや重量や、燃料コストや、袋の大きさ料金など、色々な理由がザワワーと見えた。

 

登山は100円玉が多く必要だ。トイレ、水にそれぞれお金を払う。おつりや、管理している人が常にそこに存在するわけではないので、きっかり払わないといけないので、100円玉ポーチがあると便利だ。

にしても、100円玉硬貨は、もう少し軽くならないのかね。1000円分も持つと、ずっしり重い。紙幣とはよくできた一品である。あんな軽くて薄っぺらの紙なのに、山頂では美味しいカレーやラーメンと交換できるのだから、すごい信頼度だ。そもそも硬貨はその素材自体に等価の勝ちがあり、それを金額としていた。金貨や銀貨である。それでは流通に難があるし、そもそも貴重な物質なので硬貨を広く発行することはできない。そういうわけで、国が価値を保証した紙幣ができたのである。多分。ちなみに1円玉は、材料費が2円ほどかかるのは有名な話である。嘘か真か。だから硬貨は加工、変形すると罪になるのである。決して潰して塊にして売ってはいけない。

そんなことは、全く考えす、来た道を振り返り、そしてこれから進む山を見上げる。

そびえ立つ前穂高岳そしてそこを弓状に伸びた稜線、名を「吊尾根」と呼ぶが、そこを通って奥穂高岳、ここに向かう。

時刻は7時半、高原地図の標準タイムと比べると、1時間速いペースでここに来ている。特に急いできたわけでもないので、サンプルのタイムテーブルがゆっくりなのだろう。

ここからは、遅い人も早い人も、遅い。そんな道が待っている。そんな気がする。

装備を確認し、今一度靴紐を締め直し、出発する。

岳沢小屋、ありがとう、また帰りに来ます。

小屋を出ると、チラホラとテントがあった。ここから出発する人もいるのだろう、ここに昨日帰ってきた人もいるのだろう。

ここ岳沢小屋を起点にするルートは、重太郎新道だけではなく、いっきに西奥ルートのど真ん中に出る天狗沢ルート、冬季は奥明神沢を通るルートと、様々ある。

その中で、一番安全なのが重太郎新道なのだから、他のバリエーションルートのレベルの高さたるや、、、だ。

序盤はお花畑に囲まれながら愉快な登山道から始まる。

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例のすこし臭う匂いがする。

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そしてお花畑をすぎると一気に急登が差し掛かる。

九折の道は、道というより、岩場の上りであり、標高がまだ低いゆえに土もミックスされており、この日はまだ良かったが、雨の日とかの下りは、滑って滑って大変だろう。

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そうした道が延々と続く。トレッキングポールを置いてきてよかった。使い所などない。たまに手を使って登る場所もある。

経験した中で例えると、御在所岳の本谷の岩場に伊吹山の8合目あたりの斜度をミックスさせ、それが延々とつづく感じ。

とはいえ、厳しすぎる場所には、きちんと梯子や鎖があるので、おちついて登れば誰でも登れる。そんな気もした。降りるのはどうだろうか。

ここに来て気がついたのだが、どうも岩が斜めに落ちて重ねっていてホールドがしにくい箇所がある。山の成り立ちでこうなったのであろう。

少しだけ傾斜がない場所についた。見晴らしの良い場所だ。カモシカの立場というらしい。

そこで、日傘をさして景色を眺めている人がいた。確かに日差しはきつく、少し暑い。

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お声をかけ、写真を撮らせていただいた。母親ぐらいの御婦人だ。健康そうだ。

そして、更にきつくなる登山道を迎え、気を引き締めた。

浮き石も多く、大きな石でも油断できない。

一歩一歩ゆっくりあがっていく。

こういったとき、晴れていれば、振り返り、先程よりも少しでも標高があがって見えると、それなりの達成感がある。晴れていてよかった。

岩場、は延々と続く。これはほんとに厳しい登山道だ。ショートカットとはいえ、けっこうカロリーを消費する。水もたくさん減っていく。

登るに連れて、涼しくなっていくのが救いだ。これが、下りの場合、体力は使わないのだが、暑くなる、あれは萎える。

私は小屋泊なのだが、登山者の中には当然だがテント泊の装備の人たちもいる。素晴らしい。私も次はそうしてみようか、どうしようか。

振り返る。先程の傘の奥方が、傘をさしたまま登っている。

暑いんだな、そう思った。

二度見した。

おかしい、あの岩場の連続を傘をさしたままあの御婦人は登っている、只者ではない。

そして、見るからにペースが早い。魔女のようだ。きっとあの傘で少し浮いているにちがいない。

20分もすると、御婦人が追いついてきた。驚愕のスピードだ。

たまらず声をかけた。

私「こんにちは、暑いですね。さっきはありがとうございます。」

婦「いい天気ですね〜」

私「ところで、ずっと傘さして、この岩場登ってるんですね、すごいですね。ほんで、めっちゃ速いっす。」

婦「いえいえ、実は2ヶ月寝たきりだったの、それで久々の山登り、少しきついですね。」

私「。。。。。。。マジっすか、、、、じゃあ昔はもっとエグかったようですね、、、」

婦「ええ、でも、昔ですよ。」

私「そうですか、ではでは、お先どうぞ、足を止めてしまい申し訳ございませんでした。」

婦「いえいえ、ほんとに今日は気持ちがいいですね、では」

と、過ぎ去っていった。何たる軽やかさ。。。

実は、この健脚傘の御婦人とは、今後も各箇所で会うことになることを、このときの私は、まだ知る由もなかったのである。

 

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つづく

 

 

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岳沢からジャンダルムへ その2 出発の朝編

上高地北アルプス南部登山の出発点。ここからは様々なルートを通ってアルプスの山々へ行ける。

 

前回

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バスターミナルから、南に引き返すように行くと焼岳、その途中の尾根を上がると西穂高岳梓川沿いを真っ直ぐ行くと、横尾という分岐地点に出て、そこから涸沢方面に行くと、奥穂高、北穂高へ。横尾を槍沢の方に行くと槍ヶ岳へ。横尾の背中の斜面を登ると、蝶ヶ岳常念岳へ。

そして、河童橋を渡り、岳沢に入り、重太郎新道を通ると、最短ルートで前穂高、奥穂高に行ける。今回は、この岳沢ルートを行く。

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通常のメインルート、横尾、上高地を通って奥穂高に行くのと比較してみる。

山と高原地図」で標準タイムは

上高地-横尾-涸沢-奥穂高で約10時間

上高地-岳沢重太郎新道-前穂高-奥穂高で約7時間半

地図上の距離も岳沢を通るほうが遥かに短い。

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ということで、2時間半短縮できるから、後者のほうが楽、というのは間違いだ。いっきに斜面を駆け上がるルートということなので、急登が続くというハードルがそこにはある。

がしかし、いつもとは違った景色を見ながら山に登れる、という発見や喜びもある。なので、魅力的な後者を選んだわけである。

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このルートの途中に「岳沢小屋」という山荘があり、そこのブログで詳しくこのルートを紹介している。落石、滑落など危険を伴うルートであるという事がしっかり書かれている。登りよりも下りの方が危険ということも書いてある。実際滑落はほとんどの登山において下りの際に起きやすい。気持ちのゆるみ、視線の移動、加重のかけ方、道迷い、などが登りよりも起因しやすく、結果、滑落事故につながりやすいのだという。確かにそんな気がする。私は登山行程最後の1%で大抵足をくじく。前回は、山荘敷地内の階段で足を捻ってしまった。

というわけで、背中に背負う荷物はなるべく減らす。そのほうがバランスも取りやすく、事故率が減るし、体力も保てる。

テント泊はやめる。

テント、銀マット、シェラフ、マット、枕、などが除かれる。

自炊をやめる。

バーナー、コッヘル、ガス、食器等が除かれる。

これで、まるで日帰り登山のパッケージスタイルに変わる。

少々味気ないが、味気を求めて危険度を増やすこともなかろう。

食料はすぐに食べれるようなパンをムギュッと潰してザックに入れる。

行動食のsoyjoy的なものは多めに準備して、ビタミン剤やアミノサプリも多めに持っていく。軽くなったその分、水分を多く運べる。岳沢小屋から穂高岳山荘まで水の補給はできないので、水分は多めが必要だ。気温も初日はまだ暑そうだし。

 

さて、河童橋から、しばらく木の歩道を観光客と共に歩く。

上高地の名所の湿地帯を通る。何だこの美しさは。

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さらに、しばらく行くとぽつんと岳沢に入る登山口がある。ここが今回の出発地点である。

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時刻は午前6時前。他に登山客は少ない。静かで気持ちがいい。

しばらくは樹林帯を進む道のようだ。天然の樹林帯、様々な木々の中を縫うようにして登っていく。

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登山道は真っ直ぐではなく、小川を越え、くねくねと登っていく。気温はまだ低い。体は暖かくなっているので、 一枚上着を脱ぐ。私はだいたい一合目で今後のエネルギー消費から発生する暑さが始まる前に少し寒いけど薄着になる。暑いのは嫌いだ。寒いほうがまだいい。寒いからと言って、厚着でマラソンをする人はいない。

しばらくすると「天然クーラー」と書かれた風穴がある場所についた。

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全くクーラーの気配はない。何なんだろう。

登山口から岳沢小屋まで10のチェックポイントにそれぞれ看板がある。「お、おう、まだまだか」と思ったり、「およよ、よしもうすぐだ」と思うことができる例の看板である。

 

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メリット・デメリットを両方持っている看板だ。アレのたぐいは、たいてい3合目とか、6合目あたりが、まだまだか的な一番変化がなく感じるのはなぜなんだろう。

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道は次第に直線になり、斜度もきつくなる。序盤も序盤にしては結構な坂道だ。左手にはガレ石の沢が広がっている。もうすぐ岳沢小屋な気配はしたが、まだ7割らしい。気にしない。 

振り返ると上高地の建物が見える。思えば遠くまで来たものだ。

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穂高の山々の次第に太陽を浴び、色づいてきた。

山稜は方角によって見える形が変わる。だけでなく、登るたびにも形は変わる。最初は低いところから見ると、実際の標高ではなく、手前にある山が高く見える。それが次第に登るに連れ、遠くの本当に高い山が高く見えてくる。

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というわけで、私のジャンダルムへの道は始まったのである。

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つづく

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