山と僕とカメラ

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登山初心者のバタバタ日記

【連続登山日記シリーズ】はじめての八ヶ岳 赤岳 その5

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真っ暗な山道を歩く。昨日、明るいうちに入り口付近だけは確認していたので、数ある登山口から迷わず赤岳方面に向かう道を確認できた。ホテルでの非常口を確認するようなものだが、それはあまりした事がない。夜明け前1時間という事もあり、次第に周囲の状況が見え始めた。「日没」これは皆、日々経験していると思うが、「日の出」はあまり意識した事がないかもしれない。日が地平線を越えて出るまで、あたりは真っ暗とお思いであろう。たしかに真っ暗な部屋にパッと明かりが灯るような印象が日の出にはある。現実は30分前くらいから次第に空は青く明るくなり、そして日の出を迎える。日の出の写真を見るとわかるが、だいたい空はすでに青い。

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というわけで、すっかり明るくなったのでヘッドライトを消し、登り続ける。雪はしっかりしまっており、流石の人気ルート、トレースがある。赤岳鉱泉は赤岳の西側に位置している。というわけでコースは天気が良くても頂上まではずっと影だ。そういう事情もあり、赤岳山頂で日の出を拝むのを一つの目的としてナイトトレッキングをしている人もいるはずである。きっと輝かしい光景が見えるだろう。

日陰には良いこともありる、身体が暑くならない、それくらいだが。

ああ、伊吹山のつらさよ。。。

 

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 前回

 

しばらくすると行者小屋に着いた。ここでも、宿泊を考えたがステーキに負けた。

ここからはすでに取りつき部分なので急な斜面が待ってるだけだ。

同じ100メートル上がるのにも「緩やかに長い斜面派」と「急な短い斜面派」がある。日頃からあるはずだ。私は後者。

ここからは尾根を上がっていく。急激に視界が広がっていくのはとても気持ちいい。

樹林帯を抜けようとするぐらいから目指す山頂が見えてきた。

ああ、あれが赤岳か、立派な山容だなあ。それにしても北斜面はなかなか手強そうだけど大丈夫だろうか。とビクビクしながらも前進した。

次第にあれは「阿弥陀岳」ということが、わかり、その奥に赤岳の山頂らしき可愛らしい突起がみえたので、安心した。

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いつのまにかすっかり朝、振り返ると中央アルプスがくっきりと見えた。振り返ると奴はいた。いや、ヤツは正面にいる。八ヶ岳だけに。

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今、シーンと静まり返っているだろう。

 

そう、そんな雰囲気に包まれた赤岳登山。そこにガシガシとアイゼンが凍った雪面に刺さる音だけが聞こえる。

 

樹林帯を終えると、そこから梯子が始まる。凍り付いているし、斜面が急になる。私たちはハーネスにロープをつけて1人づつ登った。梯子を登ると今度は鎖がある。これに頼るかどうかは別としてその鎖のルートを進んでいく。

 

早速降りてくる人がいた。聞いてみるとやはり日の出を見に登った人だ。凍った梯子を降りるのは少し危険だったので、私達は帰りはここではなく文三郎尾根というもう一つの登山道で降りる事にしていた。

事前にYOUTUBEでこの赤岳の、登山の動画を見ていた。魚眼レンズで撮られた「goproあるある」、にいい意味でまんまと騙された。映像ではどんだけ細い尾根筋なんだろうとビクビクしていたのが実際にはそうでもなかった。そういえば「第一印象が大事よ」と魔女のキキも黒猫に言っていた。

そんな第一印象超絶キレット、第二印象、安心登山の赤岳の斜面を順調に登りきると「ご苦労様」と語りかけてくれた地蔵様がそこにいた。

彼はまるで後光のような太陽を背に浴びこちらを見ていた。

何という美しさでしょう。その向こうには富士山があり、完璧な3Dウェルカムボードだ。

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この地蔵さまに感謝して手を合わさなかった人はいないのではなかろうか。

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私たちはとうとう稜線に立った。苦節1日、バスに揺られ、チェーンスパイクを渇望し、ステーキを満喫し、綺麗なトイレ、暖かい部屋で寝た苦労が一気に解放された。

何と清々しい、登山道だろうか。まるで人が作った、いや、登山道は人が作ったのだが、そうではなくこの場所に山荘があり、いや、山荘も人が作ったのだが、この場所に来て初めて見える風景、そうこれ、これは人のために、いや全ての頑張って登った鹿や猪や人のために神がつくりたもうたのだ。知らんけど。

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私たちは感動しながら赤岳に向かった。その途中に山荘がある。赤岳天望荘、本当に山小屋の多い山だ。素晴らしい。そこで少しばかり休憩をした。山荘にいたおそらく働いているであろう人が、もう1人の人に「1時間半で降りる」とか言っていた。え、どこまでだろう。もしかしたら超人なのかもしれない、が、恐ろしくて詳しくは聞かなかった。

すっかりほっこりしたところで、再度赤岳山頂を目指し出発した。

ここからは斜面をひたすら登るだけだ。細かくジグザグになった道を登っていく。あまり雪はついてなく夏道のようだ。日々、風もあるのだろう。木の生えてないない景色は距離感がわからない。遠くのようで実は近くだったりする。

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ここも山頂近くの人を見る限り、そんなに距離は無さそうだ。私は日々、距離感を日常に置き換えて考えている。そうすれば、遠くに見えていても、なんだが頑張れそうな気がする。

それの応用だが、垂直に立っているものは90度傾けて水平に考えると意外と高くないことが分かる。高くないと言うと語弊があるが、垂直の100メートル、水平の100メートル、同じ100メートルと考えると大したことない。必要なエネルギー量は雲泥の差というのは置いておこう。

と、言ってるあいだにいつものことだが、山頂に着きかけた。そこにさらに山荘があった。なんだこの山は、すごいな。営業はしていなかった。

そこから少しばかり歩いたところに頂上の神社などがあり、人が混み合っていた。

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私たちも山頂に向かって歩いた。

無事、今回の目的地、赤岳頂上にたどり着いた。ほんとに混み合っており、あまりゆっくりはできそうにないし、ゆっくりできる場所もない。狭いのだ。落ち着ける場所を見つけて少しだけ休憩する。

あとは降りるだけだ。復路というのは、少しだけ寂しい。だが、待っているのはビールだ。頑張ろう。

 

あれが富士山です。

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続く

 

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